花の飯豊を大縦走・・・飯豊山【大日岳】 T     

  登頂日  12・07・19(木)〜21(土)  天 候   晴れ     百名山登頂順   83番目    
  標 高   2.128b・          登山口  天狗平    同行者         単独
   温 泉   飯豊山荘    500円

タイム  
-            往  路 復  路
    場所・地点      着     発     着    発
 天狗平 (梶川尾根)  5:00 - -
 五郎清水  8:30   8:40 - -
 梶川峰(1.692b)  9:50 10:00 - -
 門内小屋 11:25 11:35 - -
 梅花皮小屋 (一泊目) 13:10  500 - -
 烏帽子岳(2.018b) 5:40 5:45 - -
 御西小屋 7:45 8:00   10:15   10:30
 大日岳(2.128b) 9:05 9:20 - -
 梅花皮(かいらぎ)小屋 13:30      13:50 - -  
 門内小屋   (二泊目)     15:20     5:20 - -
 地神北峰     6:35     6:50 - -
 夫婦清水     8:20     8:30 - -
 天狗平(飯豊山荘)     9:55  : - -
    所要時間  一日目 8:10  二日目 10:20  三日目 4:35

【1日目】

                                   飯豊山大日岳 Uへ

梅雨が明ける前の晴れた日に行こう・・・こう考えるようになってから何年が過ぎたろうか。なかなかタイミングが

合わずに数年を空しく費やした気がする。家族の病気、仕事の都合、何より財政難・・・妻の理解を得なければ

不可能な計画。私の山行費用は毎月の小遣いの中から・・・冬の間に爪に火を灯しながら蓄えたものだ。

だから冬の期間に何かが発生すると、翌年の夏の期間の山行は制約されざるを得ない。

今年はなぜかすでに底を突いている蓄え・・・そしていきなりの梅雨明け宣言、完全にだまし討ちにあった

ようにまごついてしまった。マーケットがオープンするのを待って食料を買いに行き3日分の簡便食材を揃えた。

そして夕方出発。

費用を削減するために0時をまたいで高速を利用したい。本当は少しでも早く小国町の天狗平駐車場に到着し

・・・眠りたい・・・が途中の豊栄SAで眠る。そして2時半に起きて天狗平に向かった。

今回の山行には食事の出る山小屋を利用できないから、すべて自分で担ぎ上げなければならないしシェラフ

などの寝具も自前だ。

今年は何故か費用が少ないと不思議だったが・・・・理由はダウンのシェラフやシェラフカバーなどを買い求めた

事で数万円の違いが出たようだ。飯豊山行のための事前の費用をすっかり忘れていた。



4時半に天狗平に到着。準備が終わると5時になっていた。最近のバッテリートラブルに意識を奪われ、とんでも

ないミスをしてしまった。

なんと夕べ豊栄SAで寝た後に網戸のままでここまで走ってきたらしく、しかもチェックしないで出発したために

キャンピングカーは窓が開いたままだった。幸いなことに網戸があったために閉まっているように見えたのか

盗難などの被害もなく、3日間雨が降る事なく救われた。

丸森尾根側に2台、梶川尾根側に5台駐車されていただけで、どうも寂しい山行になりそうだ。空いているのは

嬉しいが・・・もう少し登山者がいてくれないと。

 
温身平へのゲート                   梶川尾根登山口
梶川尾根はいきなり急激に登りだす。そして何より辛いのは人間の歩幅で上がれるような段差ではなく、木に

掴まったりしながら体を持ち上げるような嫌な高さが続いている。

湯沢峰まで2時間、さらに滝見台まで1時間半ほどだったろうか。滝見台ではちょうどガスが巻き、眺望を楽しむこと

はできなかった。ブナ林の中をどんどん登って行く。辛い登りだが高度は一気に稼げる。

五郎清水で水場に降りて行くが・・・どこが清水か分からなかった。ブナは数百年の年輪を感じさせる大木だ。

 
湯沢峰まで来ると、やっと眺望が           ブナの極相林が続く梶川尾根


5時間をようして梶川峰に到着、一気に視界が広がる。山々にはガスがかかるもののダイナミックなロケーション

が展開する。そして花・・・ヒメサユリ・ニッコウキスゲ・リンドウ。

辛いのはここまでであとは花を楽しみ峰々を楽しみ、ゆっくり天空の漫歩。

梶川峰付近はネマガリタケ(チシマザサ)の藪が続くが、何かものすごく【クソ】臭い。ネマガリタケが食いちぎら

れて散乱し、動物の爪痕も残っている。これは絶対【熊】だと思って、大きな声を出して進んだ。

後で梅花皮(かいらぎ)小屋管理人の関さんに話すと『猿のクソは臭いから、猿だろう』とのこと。

でも『大声を出したのは正解』と教えてくれた。

 
厳しい5時間、ここからは平坦に  花の百名山飯豊連峰は花・・・また花

北股岳が左手にどっしりと控え、梅花皮岳・烏帽子岳が続く。雪渓が山々に化粧の様に纏い、緑と白の

コントラストが心を躍らせる。

梶川峰から扇の地神まではこの山行中最もゆったり歩ける部分だ。扇の地神からは再び辛い歩きになる。

胎内山に登って下りる。

 
飯豊連峰の主脈を望む                 扇の地神


胎内山   1.890b    


やっと門内小屋が見えてくる。門内小屋は簡単に通り過ぎるつもりだった。ところが管理人さんが小屋の前で

作業していて、立ち止まって話をすることに。

『うちに泊まる人は少ないから』なんて話していたが、なぜか親しみやすい顔立ち。『それじゃ』って別れた途端に

思いだした。

『高桑さん?』と聞くと『そうだよ』と言うように敬礼をして『何処かで会った?』

そこで私が【源流釣り集団】を主宰していた話をして『ビデオや本をほとんど見ました』というと、『ありがとうござ

います』と最敬礼をし『帰りに寄ってください、酒でも飲みましょう』         

明日の工程を考えるとここで停まる訳に行かず、心を残して梅花皮小屋に向かう。


門内小屋から門内だけは1分で到着、山頂には小さなお社が祭られている。いつもの通りお賽銭に見合わない

無理なお願いをする。

 
門内岳への登りに門内小屋が見えてくる         門内岳山頂のお社

本日最後の登りと下りは北股岳へ。なかなかの難関である。特に7時間ほどの歩きで、筋肉は大分ダメージを

受けていた・・・辛い。

北股岳の山頂には鳥居が立っている。ここでもお願い・・・。

北股岳は梅花皮小屋への下りの方が余計にキツイ。下りに弱い私はなおさら【泣き】が入った・・・が、あと少しだ。

このあたりからは石転び沢雪渓を望むことができる。

 
いよいよ本日最後の登り 北股岳         鳥居のある北股岳山頂  2.025b 


石転び沢雪渓が眼下に

梅花皮小屋まで後30分ほどだろうか?  眼下に望むことができた。先ほどから上空をヘリが舞っている。荷揚げの

ヘリかと思っていたが、着陸した様子がなく不思議ではあった。良く見ると黒一色の迷彩色で自衛隊機のようだ。

最初あまりに私の頭上を旋回するので手を振ったりしていた。後で考えると私を仮想敵兵としての攻撃訓練だったの

では・・・と思える。

石転び沢雪渓の空域は狭いスペースなので、操縦技能訓練には適した空域なのだろう。


梅花皮小屋がやっと見える    自衛隊機が狭い空域を利用して訓練? 梅花皮小屋 1.500円 9人が泊

この日の梅花皮小屋の宿泊者は一階に4人、二階に5人とゆったりとしたスペースだった。小屋からは明日の目標

【大日岳】が良く見える。

小屋から50メートルほど離れた水場は、冷たい湧き水が太いパイプいっぱいに流れ出ていた。

梅花皮小屋は建物の中でコンロを使うことができる。北アの小屋では考えられないことだ。

床に50センチ幅でモルタルが敷かれている。風の強い日などは大いにありがたい。

この日の食事はお湯を注いで15分待つと出来上がる牛丼と卵スープ。栄養としては十分なはずだが何とも侘しい

食事だ。ついつい心が満足せずにパックのお酒を2個も飲んでしまった。

本当は二日分のはずだったのに・・・明日はビールでも買おう。すっかり気持ちよくなった私は6時にはシェラフに

入っていた。そして少しは眠ったようだ。

7時に一旦目が覚めてトイレに行くと、すでに誰一人として起きている人はいなかった。

明日はみんな早立ちのようだ。私も明日は長い戦いになるから・・・『今日はイビキを気にせずに・・・寝るぞ〜』

 
明日のターゲット 大日岳           梅花皮小屋の水場に集う登山者と梅花皮岳
 



   
山  飯豊連峰        この日見た飯豊山の花々

     
ナルコユリ            ヒメサユリ           リンドウの仲間

  
ハクサンフウロ                   イブキトラノオ

   
クルマユリ              シラネアオイ

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