和賀源流歩き      元鉄イワナ

 沢内村の林道を高下川に沿って進み和賀岳登山口より歩く。登山口付近は、タニウツギが盛

りで枝先が垂れ下がらんばかりにラッパ状の薄紅色の花が咲いていた。

 登山者カ−ドが入ったポストには、昨年末の日付の登山者名簿が記載されており、先に登っ

ているはずの仲間達の記載は無かった。

 歩き始めの森は、放置されたスギの植林地である。スギの根本は、雪により湾曲し根本曲が

りとなっており見るも哀れな状況である。スギの植林地として全く適正を無視した植林であり、き

っと2030年前にブナやミズナラを伐採した跡地に体裁程度に植林されたものであろう?

 歩き始めは、急な登りでありドンドン高度が稼げるが、息があがる!・・・きっと昨日の仲間達

も苦労したことだろう!!

 前回この林道を歩いた記憶だとこんなにもチシマザザ(ネマガリダケ)が多くは無かったはずで

あり、ブナの倒木の数も多いような気がする。ブナの倒木の数が多いのは、近年にこのあたりに

接近した台風の影響であると思うが、立ち枯れした中規模なブナが多いこがとっても気になる・

・・

 チシマザザが多いのは、登山道周辺の人が歩いて地面が固くなった周辺であり、登山者が増

えたことも影響しているのであろうか?極相林の特徴の一つとして、林冠の高木と下層の植生

の間が広いことがあげられるが、この森も空間が広く明るい印象がある。空間が広いから、陽

光が沢山入り下層植生が豊かとなるそんな条件のもと実生の稚樹が盛んに成長する。森の構

造を立体的に確認すると、林冠にブナ、ミズナラ、クロベ()その下層にコシアブラ、トチノキ、カ

エデ類、ヤマハンノキ、ムシカリ、レンゲツツジ、ユズリハ等々、草本類は、シオデ、ギボウシ、エ

ンレイソウ、チゴユリ等々。

 昔からあった水場が枯れかかっていたり、林床にイヌツゲや北限が福島あたりとされているユ

ズリハ等の常緑樹の稚樹が侵入していたり・・・・怪しい!

 この森までもがかなりの外圧を受けているようである。

 足を運ぶ毎に感じる土壌のフカフカ感と、お約束である夜間の激しい雷雨でも全く増水しない

沢の流れが土壌は、まだ健全であることを知らせてくれる。今回は、ブナの実が沢山落ちていた。

きっと昨年は、ブナの豊作年であったのであろう?ブナは、5年程度に1回の豊作年とその他の

凶作年を繰り返す。ブナが豊作な年は、アカネズミやリスなどの小動物が増加し、餌とする猛禽

類等も増える。勿論ツキノワグマも同様に子育てに適した状況となり、今年は子連れのクマと出

会えるチャンスが増加する。


         
      【耳を澄ませば森の声が聞こえる】    【ブナの大木、200年以上のお年寄り】

《目に付いた植物》  
        木本類
          ブナ、ミズナラ、コシアブラ、ミネカエデ、ハウチハカエデ、コハウチハカエデ、オオモミ

         ジ、ウリカエデ、ウリハダカエデ、クロベ、ホオノキ、トチノキ、スギ、ヤマハンノキ、リョ

         ウブ、ミズキ、ウワミズザクラ、ムシカリ、ガマズミ、タニウツギ、ナナカマド、タムシバ、

         ヤマアジサイ、ヤマウルシ、レンゲツツジ、ツルアジサイ、ユズリハ、ミヤマシキミ、チ

         シマザザ、ミシバアケビ、ノイバラ他

 ・  草本類

       シオデ、ギボウシ、モミジガサ(シドケ)、ウワバミソウ(ミズ)、ウド、ブキ、ワラビ、ゼンマイ、

       コゴミ、ウバユリ、等々 
 
   
       *
全部食用

  
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