中島千波美術館と栗菓子の塩屋桜井 【長野・小布施】  

小布施と言えば北斎の天井絵で知られる『岩松院』。曹洞宗の寺で本尊は釈迦牟尼仏。

この鳳凰の目がどこから見ても自分の方をにらんでいる・・・八方睨みの鳳凰図。21畳ほどの大きさらしい。

寝転んで仰ぎ見たが・・・確かに私をにらんでいた。

この曹洞宗の寺には他にも福島正則の霊廟がある。また裏庭には小林一茶の代表作『やせ蛙 まけるな

一茶 これにあり』という句の舞台となった《蛙の合戦》の池もある。


天井絵の鳳凰 

そして北斎館。晩年北斎はこの地に逗留し、多くの作品を残した。岩松院の天井絵もその一つ。

北斎館では肉筆画や屋台の天井に描かれた絵も見ることができる。

小布施は小さな町だが、観光資源には恵まれていると言える。




歴史的資源とは対照的だが、中島千波氏の美術館もある。朝早くから開いているので、早めに到着がお勧め。

有名画家の美術館としては駐車場が小さい。駐車場のすぐ隣まで、一般の家庭の建物が迫っている。

画伯の絵は何と言っても桜。最近は・・・人間を描きたい・・・と制作過程を紹介するビデオで話していた。

作品の傾向が変化しているようだ。

美術館で桜の絵のジークレーを販売していた。この美術館は町の施設だが、少しでも町の収入になれば

との画伯の心遣いと思うが、無秩序に枚数が増えてしまうのは避けられない。

ジークレーとは大きく言えば版画に属する作品で、発行枚数を確り表示して価値を保つ事が必要なのだが。

パソコンで原画のデータを撮りこんでアウトプットする・・・要するに印刷に近い表現方法なので枚数に

ついては管理不能だと思われる。したがって私はあまり評価しない制作方法だ。

がっ逆にパソコンで撮りこむのは、限りなく原画に忠実だと言う評価もあり好みは人それぞれ。

一般的に版画は200分の30と言うように、何枚中の何番目と表示している。この事で価値が保たれる。

ところが最近は『AP』や『AE』等と言う表示で、何枚発行されているのかが不明な作品が多い。

本来APなどはアーチストが保管するものや、お世話になった人ように確保する分10枚程度に表示される。

それが先ほど言ったように無秩序に出回るのでは・・・希少性は失われていると思ってよい。

本画作品は数が限られているが、版画にすれば大量に多くの人に所蔵していだくことが可能になるとの

作家の思い。それと作品を流通させることで経営が成り立つ画廊との利害が一致。

必然的にさまざまな制作方法が生まれ、ジークレーもその一つだ。


中島千波美術館駐車場からのアプローチ   50bほどで門。ここにトイレがある


変わったオブジェ。意味はよく分からない    玄関へのアプローチ。玄関前の椅子に座って待つ


仏画もよく描く画題


それでも私の中では中島千波と言えば『桜』


圧倒的な存在感の『桜』

過去に栗が入った落雁を頂いたことがあったが、お店の名前を忘れてしまっていた。朝早いせいか小さな

お店は開いておらず、大型で綺麗な店舗が2軒開いていたのでお土産を。

そして試食してみたが・・・かつての味には程遠い。入店した手前最小包装の600円のを購入。

そして応対してくれた店員さんに恐る恐る聞いてみる。『昔、栗が入った落雁・・・』とっ。

そしたらなんとその店員さんは親切にも『栗を使って作っているのは1軒だけで、そのお店は塩屋桜井』と

教えてくれた。

混んでいて御客が立て込む中を、場所とオープンの時間を調べて教えてくれた。

塩屋桜井は文政2年(1819)の創業。小布施栗菓子の元祖ともいえる。 026-247-2141

落雁は小布施の菓子店全店の栗菓子の中で、最も歴史が古い。

古い伝統菓子は若者の嗜好に合わず、時代に取り残されても仕方のない状況にある。しかし200年

の間脈々と息づいてきた味を、ぜひ一度確認してもらいたい。

甘すぎず、栗の風味が口の中で広がって・・・これは美味しい。現代のスイーツとはちょっと違う。

お店の前に立つと、いかにも歴史ある寂しい建物で、少し離れた大型で近代的なお店に目が移ってしまう。

がっ食べてみてすぐわかる。『伝統』というものが・・・。

高速道路のSAとセットの道の駅でも出ているが、木型で一つ一つ手作りのため大量生産ができない。

そのため6個入りの1包装単位だけでの販売で、お土産としてはもう少し大包装のものがほしい。

しかし美味しいので、小単位でも頂いた方は十分満足してくれると思う。


高速道路のSAとセットの道の駅


塩屋桜井の落雁。栗を使っている落雁はこの店だけ

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