知覧特攻平和会館【鹿児島・南九州市】 2013.04.29(月)

 九州百名山の旅に合わせてどんな所を見学したいのか・・・何か月も検討を重ね、コースの

中に入れていた。妻の主治医が【特攻平和会館】を見学して、『ぜひ観ておくべきだ』とアドバ

イスしてくれていた事もあって絶対外せなかった。

 到着したのは14時頃であったが、まだまだ駐車場はごった返していた。連休と言う事もあるが

単にそれだけではない【一度観て置く事の意義】を感じる方が多いのだろう。

お年寄りは戦争の時代をもう一度検証し直すために・・・また子供を連れた家族連れは、戦争と

言うものがいかに不条理なものかを次世代に伝えるために・・・だろう。

 凄い混雑にかかわらず多くの整理員の方が、空いたスペースに次々と車を誘導してくれる

おかげでスムーズに駐車できた。



 この地が特攻の出撃基地だった事から、かつての基地の一角に会館が作られた。戦死された

方々の慰霊を主目的とし、更には真の姿・遺品・記録を後世に残し、【特攻】という歴史的事実を

通して戦争の空しさと平和・生命の尊さを語り継ぎ、恒久の平和を祈念するための施設だ。

 結論を先に言えば・・・そうしたものをしっかりと保存し伝える役割を果たしている施設だと思う。

決して【特攻の精神】だけを美化しているだけの施設ではない。



 施設内は撮影禁止のため掲載できる写真は表で写したモニュメント類だけしかないが・・・

中の展示物はぜひ自分の感性で見てもらいたい。

とても簡単に表現する事ができない若者たちの想いが・・・1時間や2時間の見学では話し

ていけない、重みのある言葉や魂があった。

 ここから飛び立ち・・・大海原に散った若者の魂は1036にも上る。国を思い親を思い、

愛する人を思って散った崇高な魂に、今我々は託されたはずの想いに応えられているのだろうか?    



展示物は数万点に及ぶため、最初のコーナーだけで30分も経過してしまった。このままではこの

施設の主旨を感じないで帰る事になりそうで、展示コーナーはまたの機会に見学する事に。

そして視聴覚室で映像による特攻隊員の人生や思いを纏めたDVDを見る。

 残された文字からだけでは図りしれない隊員の想いを・・・掘り下げて解説してくれている。当然

死を目前にした状態の中での話だから、見ている人の多くは感極まって涙をぬぐいながらの

視聴・・・。

 でも涙を拭いている人のほとんどは男性で、女性は若いお母さんが涙していた。お年を召した

女性は涙腺が固まってしまっているのかもしれない。

 この種の方たちの心は、簡単には掴む事が出来そうにない。



 このDVDが終わると10分ほど後に【語り部さん】による講演が始まる。見学は1時間半の予定

で3時半になったら指宿に向かうはずだったが、結局語り部さんの話が終わって退館する時には

4時半になっていた。

語り部さんの話も良かった・・・・・のだが・・・思い入れが先行し過ぎているようで、知りたい事・

聞きたい事とは少し離れてしまう話が多かった。でも、当時の社会情勢や若者の考え方は十分

に伝わってきた。



若者の人生を奪った異常な時代だった。その時代を考え直す時に・・・この施設の意味を間違え

てはいけない。

国の主権と個々の人権・・・どちらも正しく守って行かなければならないのに、今この国にはその

資格や担うべき能力はあるのか。

大空に散った若者に、正々堂々と胸を張る事ができるのだろうか。


とこしえに・・・のブロンズ像         


やすらかに


庭の展示物                    慟哭、誓いの碑


特攻平和会館


三角兵舎全国から集められた隊員は出撃する日までこの建物で過ごした


  
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