針ノ木岳縦走2
           
岳(2.641b)・赤沢岳(2.677b)・スバリ岳(2.752b)・蓮華岳(2.798b)
              

  登頂日  11.08. 27(土)〜28(日)     天 候  晴れ       
  標 高   2.820 b             登山口  扇沢周回           同行者   単独
   温 泉   なし

タイム  
-     往  路 復   路
    場所・地点      着     発     着      発
新越乗越山荘  5:30 -  -
鳴沢岳  6:00  6:10 - -
赤沢岳  6:50  6:55 - -
スバリ岳  8:15 8:25    -   -
針ノ木岳   900   9:10  - -
針ノ木小屋    9:40   9:50  - -
蓮華岳  10:40   10:50  - -
針ノ木小屋  11:30   11:50  - -
大沢小屋  13:30   13:40  - -
扇沢登山口  14:30 - - -
   所要時間 2日目   9:00     


夕べは食事の後、談話室で少し話していたが7時半には眠りついた。あまりに早く寝すぎたために2時半には目覚めていた。3時に表を

確認すると星が瞬いている。

昨日針の木小屋まで行くのを断念し、ここに停滞したことが狙い通り功を奏した。明けきらぬ山々を写真に写したがシャッター速度が

長くなり、手振れで全く使えない。

表に出たり中に入ったりしているうちに5時に近くなり、埼玉の単独行の女性が出かけるという。玄関まで送りに出た。それにしても

こんな暗い中を女性一人で怖くないのだろうか、とても不安である。人通りの多いコースならともかく、このコースは寂しい。

5時から食事をとって5時半に私もスタートした。滋賀のご夫婦は6時出発だと言う。

雲一つ無い・・・とまでは言えないが、山行には十分の天候だ。とりあえず周りの峰々を写していると、一段低くなった針の木峠の所

に、槍の穂がくっきりと見えている。

 
朝焼けのスバリ岳と針ノ木岳                        針ノ木峠越しに槍がのぞく


縦走路から見た剱岳

明るくなっているので道に不安はなく、快調に進んで鳴沢岳には30分で到着。コースタイムでは1時間になっているが、かなり甘い。

鳴沢への登りはコースの中では最も岩場らしい感じのするところで少しは緊張感を持ちたい。まあ、しかし心配するほどの場所は

ない。

頂上では完全に明るくなっていて先に進んでいるだろう彼女を探すと鳴沢と赤沢の間の最初のピークのところにいるのが見えた。

『ヤッホー』と声をかけると彼女は止まって振り返った。思わず私は頂上から手を振っていた。彼女も認めたらしくこちらに向か

って手を振っている。

10分の休憩を取る。今日は長〜い行程になるので、しっかり休憩を取りながら進むと決めていた。ところで彼女との差はどれだけ

か・・・気になって彼女が手を振った位置を頭に入れて赤沢岳に向け歩き始めた。


 
鳴沢山頂手前で振り返ると小屋が          縦走路をバックに鳴沢岳


遥か彼方に針ノ木   左手に対雪渓が少しだけ見える

10分進むとちょうど先ほど彼女が手を振ってくれた場所に到着。彼女との差は20分だと判った。そして振り返るとちょうど滋賀のご夫

婦が鳴沢の頂上に立っていた。

またしても私は『ヤッホー』と手を振る。私を見つけたのかご夫婦も手を振ってくれていた。当然顔まで判別できた訳ではないが、

この時間に鳴沢に立つ事が出来るのは【新越山荘】を出発するご夫婦しかありえない。

赤沢岳の頂上に彼女の姿を認めてから5分ほどで山頂に着く。鳴沢から赤沢岳までもやはり40分ほどで到着する。赤沢岳への登りは

広い尾根を登って行く、たおやかな稜線歩きの感がある。安心して登れる峰だ。

しかし鳴沢までの間も、そして赤沢までの間もスパッと切れ落ちた崖際を歩く所が現れる。そこは慎重に歩きたい。

コースタイムがやはり甘めの設定だ。彼女はすでにスタートしていて頂上にはいなかったが、差は5分ほどになっているようだ。ここ

でも確り休憩を取った。山頂からは黒部湖が眼下に展開する。【平の小屋】の茶色の屋根が見えていた。

一度釣りで訪れてみたいと思っている場所・・・しっかりとイメージを脳裏に焼き付けた。

 
赤沢岳に到着                       奥から白馬三山・唐松と五竜そして鹿島槍


山頂から黒部湖を望む

稜線に目をやると遠大な尾根が続いている。そして次のスバリ岳までは1時間40分も要すると地図にある。随所に切れ落ちた崖際を

へつる箇所があり、高所恐怖症の私としては余計に緊張する。振り返ると鞍部に新越山荘が見えていた。

先ほどまで確り見えていた剱岳が雲に覆われている。それでも昨日とは雲泥の差で、ガスの中を歩かずに新越に泊まった事は大正解で

あった。素晴らしい天候とロケーションの中を進む私の心は、ウキウキと弾んでいた。それだけに慎重に足を運ぶ。躓いたりしない

よう慎重に・・・慎重に。

スバリ岳へは1時間20分で到着、コースタイムを20分短縮している。短縮した中から休憩時間を捻出しているので、実際の所要時間の

短縮は併せて40分になっている。

どうしてこんなに時間を気にするか・・・今日は針の木を越えて蓮華岳まで何としてもやりたいと思っていた。そのための時間を生み

出す事が出来るのか?

    
切れ落ちた尾根で  ストックの垂直を参考に  暗部に新越山荘が見える 


三座目のスバリに到着

スバリ岳の山頂に着くと彼女がちょうど頂上を出たところであった。差は1分ほどに詰まっていた。このバトルを滋賀のご夫婦は後ろ

で見ていたらしい。『大分詰まった』などと二人で話していたらしい。ご夫婦も私たちに追いつこうと考えたらしいが、良く考えると

二人は【本日針の木泊り】。急いで早く到着しても時間を持て余すだけ。途中でそれに気が付き、バトルに参加しなかったという。

山頂から彼女の後ろ姿を映す。稜線の先に目をやるとあれほど遠くに聳えていた針の木岳がもうほとんど目の前にある。またしても10

分休憩してスタートした。

縦走路は僅かだが切り立った崖際をへつる。うっかり滑落せぬように慎重に行動する。こんな時はむしろ臆病なほど慎重でありたい。

 
新越山荘で一緒だった埼玉の女性  健脚         赤沢岳を振り返る


穂高の吊り尾根を彷彿

針の木への最後の登りで頂上にいる彼女が見えた。それから私が頂上を踏んだのは5分ほど後だったろうか、彼女はまだ山頂にいた。

蓮華岳の往復で会うことができるかどうか・・・と思っていたが、予想より早く会うことができた。

ここまで来ると針の木峠から針の木岳に登る人もかなりいて、山頂には5・6人の登山者がいた。今日の縦走路ではスバリ岳と赤沢岳の

中間付近で、針の木を出発して種池を目指す方と10人ほど出会ったが、こんな素晴らしいコースにしては登山者があまりに少ない。

もっともそのお蔭で【個室】で眠れたのだが・・・。

針の木の頂上でスバリに目をやると、頂上にご夫婦と思しき二人の人影が認められる。手を振っているところを見るとやはり私と確信

したようだ。

 
今回の目的地 針ノ木岳                    イワギキョウ

彼女が出発して5分ほどして私も針の木峠を目指す。途中、登りの集団に遭遇し大分時間を奪われる。お年寄りの集団は【心の余裕】

【体力の余裕】【知識】が欠如している事が多い。そして特に女性は会話に夢中なって、周囲への配慮に欠けている事も多い。

むろん全部がそうだという話ではなく、一般論としての話だ。実際この時も全く譲ってもらえず、ひどい人は狭まったところで休んで

しまっている。リーダー自身がいっぱいいっぱいのパーティと思われた。

針の木岳は花の百名山だがお花畑としては少し物足りない。良く知っている人に聞くと、『時期が遅いからで盛期はもっとすごい』と

の事。扇沢側のカールには随所に群生する花々が見られ、花の百名山の片鱗は見ることができた。

 
ダイモンジソウの群生                      シシウドやウサギギクが中心のお花畑


タテヤマリンドウもこの時期を楽しませてくれる花


針の木小屋でザックのデポをお願いして彼女と蓮華岳に向かう。彼女は鍛錬のためと言ってザックを背負ったまま出発、私は身軽だが

彼女に置かれ気味であった。

栂海新道を目指していると言うだけあって、やはり相当の健脚者である。頂上までの間で大分差を着けられてしまった。

新しい山地図のコースタイムは1時間30分だが、二人は50分で到着した。二人はコマクサの写真を撮ったりしながらの歩きだったか

ら、歩き続けていれば40分ほどか。

山頂には針の木岳で一緒だった単独行の男性もいて、彼女は食事を始めたが私は少し休んだだけで下山にかかった。

小屋を俯瞰するところまで戻り小屋に目をやると、小屋に到着していて私を見つけたご夫婦が手を振ってくれている。

下りて小屋に到着すると拍手で迎えてくれた。これは感激したなー。こんな親近感が無性にうれしい。

 
蓮華岳を有名にしたコマクサも時期が遅い       蓮華岳登頂、今回の目標をすべて達成


小屋に戻る  

ご夫婦と話をしながら食事をとった。私が今後考えているコースはほとんど歩いていて、いろんな情報が頂けた。南アの情報や雲の平

の縦走・・・。『あの小屋からあそこまで一日で行けるか不安だ』『貴方の脚力なら十分行ける』・・・本当に勇気まで頂いた。

私のホームページのURLをお教えしたが、訪問してくれると言ってくれた。また何処かでぜひお会いしたいものだ。



食事中に小屋の上空をアサギマダラが飛んでいく…何匹も・・・何匹も。蓮華岳への登りでも多くのアサギマダラを視認した。合わせ

たら数百匹だ。

谷から吹き上げる風に乗って針の木峠を越えて行くのだろう。何百年と繰り返された自然界の摂理に圧倒される。これから数千キロの

旅をするのだ。



ご夫婦と分かれ下山。三大雪渓の針の木は崩落して通行禁止・・・今回はアイゼンまで用意しての山行だったが、使うことはできなか

った。事前に確認しておればたとえ数百グラムでも荷物を軽くできた。何より今回で三大雪渓の完全踏破達成だったのだが、いつの

日かまた歩くことになる。

雪渓を歩けない以上は崖際に登山道が作られて、今まさに小屋から人が出て作業していた。土嚢でステップを作り、岩場には鎖を着

け・・・本当にご苦労様である。おかげで登山者が安全に歩くことができる。

この岩場は私にとってはいつものフィールドで、こんな感じの場所はまるでカワセミのように飛び回る。水を得た魚のようでもある。

一気にスピードを上げって下って行った。



雪渓の崩落は怖いほどで、思わず足がすくんでしまう。数年前の白馬の事故などがよみがえるが、崩落して自然のダムなどにならなけ

れば良いが一気に流れ出す不安もある。

大沢小屋近くまで下ってくると、花が多くなってきた。シモツケやキスゲが今を盛りと咲いていた。谷側から写真を撮りたかった

が・・・諦める。

夏休み最後の日曜日で高速の渋滞は織り込み済みだが、それでも少しでも混まないうちに帰りたいのは心情だ。
 
                                                               
 
崩れて通行禁止の大雪渓、シュルンド(隙間)が怖い  かなり下って・・・やっとカラフルなお花畑、シモツケやキスゲ

大沢小屋で10分休憩した。埼玉の彼女が現れるかと思ったが少し離れたようだ。【百瀬慎太郎】のレリーフを写して扇沢を目指す。

登山口近くで奈良のパーティと一緒になり、話に付き合っていただきながら扇沢に到着。ハードだったが十分余裕で歩き切った満足

いく山行で、私の登山史でも五指に残る。

 
百瀬慎太郎のレリーフ      登山口近くから一緒した奈良のパーティとゲート
          

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