フィナーレのはずが・・・鍋割山・荒山(赤城山)

登頂日    05..17(日)     天候      晴れ(春霞)          登山口   姫百合駐車場  
  同行者   単独            所要時間   4:09(鍋)055(荒)119
  温 泉    なし

上毛三山完登計画の赤城1300b超峰13座もいよいよ今日で終了と思いきや、インターネットを見

ていると小黒檜山(1.600b級)という初めての名前が飛び込んできた。確認すると登山道も無さそうな

山である。が、知った以上は放っては置けない。性格上、未踏頂のまま終わりには出来ない。また課

題が残ってしまった。

姫百合駐車場はまだガラガラで登山者は数人だけだ。丁度8時に出発できた。荒山高原まで僅か30

分で到着、そのまま勢いに乗って鍋割山を目指した。最初はそこそこの登りだが尾根に出ると、後はダ

ラダラのアップダウンだけだ。15分ほどで山頂? そんなはずはないと思いながら登り切ると更にその

先にピークが現れる。ニセピークを3つ超えてやっと本物のピークに立った。それでも荒山高原からほ

んの30分である。歩きは快調である。コースタイム60分は相当に甘い。

 この日は赤城マラソンが行われていたようで、ジャージ姿のオジサンが登ってきた。私の隣に腰をお

ろす。広い山頂、座るところは沢山有るのに何で私の隣なの・・・変なヤツ。

 『マラソンの途中で看板が目に付いたので登ってきた。近いと思って何も持ってこなかったので・・・

水をご馳走してくれませんか?』『どうぞ』とペットボトルを渡したが、てっきり私は喉を湿らせる程度の

事と思っていた。

 変なオジサンは一気にボトル半分の水を飲んでしまった。『フゥー、しみるー』と言っていたが次の瞬

間、また残りの水をごくごく飲み始めた。『おいおい、俺はそれしか水がないんだ』と制止する間もない。

あっ!という間の出来事であった。そしてボトルの底に1センチの水を残して返してよこした。全部飲ん

では悪いと思ったのか、それとも全部なくなった途端にゴミと化すボトルが邪魔だったのか、今となって

は知る由も無い。呆れて腹も立たない。山では水が命。山をやらない人には一本150円の水がどれだ

け重要かは理解できないのだろう。お陰で水なしの山行になってしまった。幸い妻が昼用に持たせて

くれたコーヒーが魔法瓶に入っていた。


 【幾つめかのニセピーク】       【遠くには冠雪の山並み】       【変な叔父さん出没、鍋割山頂】

尾根からは春霞にぼんやりと浮かぶ上越の山並みを望むことが出来る。まだまだ雪に覆われていて、

透き通った空なら白い壁がダイナミックに迫っていたはずだ。他愛も無い山だがこの展望は一見の価

値有り。一気に下り、再び荒山への登りにかかる。鍋への登りよりは歯ごたえがある。10分ほど登って

からついつい15分ほど休んでしまった。水を全く取っていなかったので喉はからからに乾ききっていた。

ザックからコーヒーを取り出しゆっくり味わった。ところが再び登りはじめると全然力が入らない。長く休

んだことがペースを乱してしまった。変なオヤジに飲まれてしまった水が恨めしい。

 まだまだ1bの雪が残っている箇所もあってコースタイム50分を60分も要してしまった。山頂で食事

をしていると上尾からご夫婦で来た方が燧ケ岳の見えるところを教えてくれた。残念だが今日の春霞

では望むことが出来ない。これをきっかけに色々な話をした。

 聞けばご主人はガンの手術をしたとの事。私もこんな理由で山に登っては山頂の祠に祈願をしてい

ると話すと、奥さんが目から大粒の涙をぼろぼろ流して泣き出した。私のどの言葉かが琴線に触れた

のだろうか。また人妻を泣かせてしまった・・・が、意味は全く違う。本当に仲が良くてしかも上品さが

伺えるご夫婦だった。いつか私も再び二人で山登りが出来る日が来るはずである。

 『祈願は絶対効果があると信じています。頑張ってください』と励まされた。お互い信じて頑張らねば

・・・とあらためて心に誓った。

 湿っぽい話になったことをお詫びして別れた。今度は何かを振り払うように駆け下った。


【鍋への登り】     【残雪の荒山】    【山頂からは地蔵のアンテナ】  【小学生が好みそうな愛妻弁当】

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