御利益が霧と散った・・・立山(大汝山・雄山)
登頂日 03. 7. 4(金)〜5(土) 天 候 晴れ 百名山登頂順 21番目
標 高 3.015b 登山口 室堂 同行者 先生
温 泉 みくりが池温泉 単純硫黄泉 一泊二食 12.000円
葛温泉 高瀬館 アルカリ単純泉 600円
タイム | ||||
- | 往 路 | 復 路 | ||
場所・地点 | 着 | 発 | 着 | 発 |
みくりが池温泉 | : | 5:15 | - | - |
室堂山荘 | 5:40 | 6:10 | 11:40 | - |
一の越 | 6:50 | 7:40 | 10:50 | 11:00 |
雄山山頂 | 8:50 | 9:15 | 10:10 | 10:20 |
大汝山山頂 | 9:40 | - | - | 9:55 |
所要時間 6:25 歩行時間 登り 2:40 下り 1:25 |
昨年から練りに練った計画であった。というのも先生は一度もアルペンルートを通ったことがない。北アにある百名山に登った
ことがない。3.000b峰の経験がない。この条件を一気にクリアできて、しかも手軽な山行はこれしかない。
2ヶ月も前にみくりが池温泉には予約を入れた。前夜発で深夜の大町市街でビールを買い求め、扇沢には空が白みだす少し前に
着いた。相変わらずビールをあおって眠りつく。
6時半に目を覚まし車外に出てみると意外に寒く震えがくるほどである。先生に準備を急がせバスターミナルには7時半前に並んだ
が、平日のせいか人出も少なく一旦並ぶのをやめて灰皿の近くで様子を見ていた。
しかし始発の時間まで列に並ぶ人は増えず、出発するまで灰皿を離れずに済んだ。あと10日もすればこんなに空いたバスが走る
ことはない。乗り換えも全く急ぐ必要がなく、先生には黒部ダムや大観望からの眺望をゆっくりと楽しんでもらった。
そういえば黒部平からのロープウェイは40年ぶりにワイヤーを張り替えたとテレビ番組が報じていた。何とはなしに自分が携わった
ようで懐かしい気がした。
全ての乗り継ぎで始発を利用できたため室堂には9時20分に到着した。先生は寝起きの食事が苦手なので、このターミナルで
食事にした。開いていた蕎麦屋はまあまあの味であった。
ターミナルからまず玉殿の湧水へ。外は強風、一転にわかに掻き曇った空からは雨も落ちだした。迷いに迷う。明日はもっと荒れる
かもしれないが、とりあえず様子を見ることにした。大汝までのピストンなら昼まで待つ余裕がある。
室堂山荘を回りこんで岩屋を探したが、おそらく雪の下になっているのか発見することができなかった。残雪は山荘の付近でも1b
以上はあったと思う。アイゼンを置いて来た事が後悔される。
結局、降ったり止んだりの雨と強風で今日の登頂は見送ることにした。どうせなら眺望が利く日に登りたい。が明日はどんな天候で
あれ登らなければならなくなってしまった。11時にターミナルに戻り昼食をとった後、チエックインのためみくりが池温泉に向か
った。少し早かったが気持ちよく「どうぞ」と言ってくれて、おかげでゆっくり休むことができた。天候はますます雨が強くなる最悪の
状態で、止めておいてひとまず正解であった。
【みくりが池温泉に泊まる】 【静かにすごせました】
みくりが池温泉は単純硫黄泉の白濁した湯。これが私の感性にピッタリとマッチング。夕食も美味しく山小屋と違って詰め込まれ
ないため静かで満足の宿であった。
日本最高所の温泉は噂どおりの◎(二重丸)。8時に就寝するまでに先生と同じペースで4回も入浴し、私は初めての湯あたりを
起こしてしまった。頭痛は翌朝目覚めても続き、下山するまで悩まされてしまった。それにしてもこんな素晴らしい温泉が“単純泉”
は可愛そうだ。
翌朝4時半に目覚め恐る恐るカーテンを開けると、明けて間もない空だが一目で晴天と判断できるほど晴れ渡っていた。
思わず「よし! 晴れた」と大声。この声で先生も目を覚ました。
室堂山荘まで雪の上を歩くが放射冷却で気温が下がり、昨日の雨を含んだ残雪はカチンカチンのアイスバーンである。やっばり
アイゼンを置いて来たのは失敗であった。少し雪が緩むまでいけそうにない。とても斜面を歩くことはできないと判断し、日が射す
のを山荘裏のベンチで待つことにした。7時でも8時でも待つしかないし、何時になろうと待つつもりでいた。
6時ごろになると数人のパーティが登っていく。いずれもアイゼンをつけず、キックで登っている。一番きつい斜面も全員がクリア
したようだ。
逆に暗いうちに登ったらしい若者が降りてきた。話を聞くと上にはほとんど雪がなく、厳しいのは先ほどのパーティが慎重にキックで
登っていた所だけと指差した。それを聞いて我々も行動を開始した。パーティのビブラムソールのおかげで雪は少しザクザクに
なっていて、心配したほどのこともなくクリアすることができた。
空は快晴であるのに一の越山荘では風が強く不安になるほどであった。ここで朝食をとる事にし長い休憩をとった。そして食事の
間も二人はロケーションを楽しんだ。今日は槍を始め、ありとあらゆる山が望めた。まさに二度とない程のピンポイントで登頂日は
正解であった。
再び登りにかかり、白山などを同定しながら1時間ほどで神社に着いた。500円を支払い頂上で家族の健康を祈願。神主はたった
二人のために10分も祝詞をあげてくれた。あまりに丁寧な祝詞で申し訳ないようであった。
神社に降りていくと別の神官がほら貝を四方に向かって吹き始めた。これを見ていた先生は「下手くそだから、きっと登山者が少な
いうちに練習している」という。私はそんな罰当たりなことを言うもんじゃないよと先生をたしなめた。
神官に向かって先生が「練習ですか?」と聞くと神官は「四方に邪気をはらっているんです」と憮然として言い放った。
よほどカチンと来たのだろう。先生!あれは失礼だよ。でも満足に音も出せないのに“よくやるなー”と私も罰当たりな考えが頭を
よぎった。
【もうすぐ神社・山頂】 【みくりが池を俯瞰する】 【参拝者を待つ神主さん】
大汝に向かう。30分強で到着した。立山最高峰もあっという間であった。それにしてもものすごい展望である。黒部湖、みくりが
池。山はと言うと剱を始め槍、富士、後立、薬師、中央ア、大日、八ヶ岳・・・思いつく名前の山が全部見えた。
最高の日に登ったものだ。しばらく頂上からの眺望を楽しんだ。
予定ではこのまま別山まで縦走するはずだったが湯あたり(?)の頭痛で、来たコースを戻ることにした。
一の越から室堂山荘への残雪の斜面では、いい年のおばちゃんたちがコンビニのビニール袋をWサイズの尻にしいてシリセードを
楽しんでいた。キャーキャーワァーワァー全く・・・みんな子供も一人前になっていることだろうに・・・。
【聳え立つ剱岳と大日岳】 【大汝山頂にて・後ろは剱岳】
【凍った雪渓】
12時前には室堂バスターミナルに戻り、12時半の臨時便に乗り2時には扇沢に戻り着いた。
下山後の温泉は葛温泉の高瀬館。これも湧出量が豊富でバスターとしては満足の湯だ。
日本百名山に