御小屋尾根を断念・・・八ヶ岳(硫黄・横・赤・阿弥陀縦走

  登頂日   2018. 7. 13(金)〜14(土)    天 候   晴れ          百名山登頂順   再登頂
  標 高    2.899b               登山口   美濃戸口        同行者         単独
   温 泉   樅の湯  ア単 500円 

タイム  
-     往  路       
    場所・地点      着     発     着      発
 美濃戸口   6:30
 赤岳鉱泉     9:15    9:20 - -
 硫黄岳    11:20   11:30 - -
 横岳    13:05   13:05 - -
 赤岳天望荘    14:20(泊)    5:45 - -
 赤岳     6:40    7:00 - -
 阿弥陀岳    8:30
  8:50
 行者小屋     9:50   10:10 - -
 美濃戸口    13:00 - -
       所要時間    一日目 8:00      二日目 715

 山シーズンもいよいよ本格化。今年最初の大イベントを実行に移す。

 朝は早めに出発して、少しは美濃戸口で眠れるだろうとキャンピングカーで向かった。

 がっ到着は5時で全く時間の余裕は無く、装備を整えて出発するはめになった。

 キャンピングカーでは美濃戸まで車を持ち込むのに抵抗がある。今回も美濃戸口に置いていくことにした。

 道が掘れていると思われ、新しい車ではなおさらだ。山荘に二日分の駐車料を支払って、トイレを借りて出発。

 1時間弱で美濃戸に到着。途中、数台の車に追い越される。駐車場はまだ余裕があった。

 北沢か南沢か・・・どっちを登るか迷ったが、硫黄岳から縦走することにして赤岳鉱泉を目指す。北沢を選択。

 北沢は下りで何度か利用しているが、登りでは記憶がない。非常に歩きやすく、南沢よりエネルギー消耗が無い。


 
山荘から人が出て・・・駐車場の整理に余念がない    北沢と南沢の分岐

 ゆっくり1時間程で堰堤広場に着く。ここまで赤岳鉱泉が食材を車で運び上げているので、数台の車が停めてある。

 ここまでは林道だったが、ここからは本格的な登山道となる。

 登山道は何度か北沢を橋で横断しながら、ゆっくりと登って行く。

 最後の橋を横断し目の前に大同心が現れると、そこが赤岳鉱泉だ。

 
堰堤広場                                       北沢に架かる橋

 大同心は袈裟をかけたお坊さんが合掌している姿を彷彿する。何度見ても感心するし、思わず手を合わせてしまう。

 赤岳鉱泉でトイレを借りて硫黄岳を目指して出発。シラビソの原生林の中を登って行く。やはり歩きやすい道だ。


大同心

1時間半ほどで樹林帯を抜けると赤岩の頭に出る。計画ではここから“峰の松目”に向かうはずだったが、今日

のコース全体を考慮して中止。主脈の縦走に限定して完走を目指す。

あわよくば今日中に主脈を踏破し、御小屋尾根を下って美濃戸口にたどり着きたい。

この時点ではまだ、行ける可能性を信じていた。


赤岩の頭からの左は横岳、真ん中は赤岳、右が阿弥陀岳        硫黄岳はもう少し

山頂直下の岩場を超えると硫黄岳の広々とした台地に飛び出す。爆裂火口側に山頂標が設置されている。

硫黄岳は私の登山歴の中で、比較的早い時期に登頂していて15〜6年ぶりの山頂となる。

前回は本沢温泉から登っていて『河原の露天』に浸かった記憶が鮮明だ。


頂上直下の岩場                        硫黄岳山頂

 荒々しい爆裂火口。今にも崩れそうな断崖絶壁に恐怖を覚えた記憶が蘇る。

 前回のその日はガスが巻き、夏沢峠からコース途中のケルンの道案内を頼りに登った。

 おにぎりやバナナジェルを取り出してエネルギーを補給する。

 今日の先は長い。休憩もそこそこに出発する。

 この時点で今日の予定の3分の一程。計算では、あと10時間も歩く事になるが・・徐々に・あきらめムードが漂う。

 硫黄岳小屋で個室が空いてたら泊まっちゃおうかな・・・。

 小屋近くなるとコマクサがちらほら目につくようになり、場所によっては群生する。見事。


硫黄岳爆裂火口                        コマクサが群生する

 かねてから訪ねてみたかった硫黄岳山荘。今回が初めての訪問になる。いや、山荘と言うよりはコマクサの

群生地を見てみたかったのだが。

 個室を取れるか聞いてみると『本日は予約でいっぱい』と。個室でなければもっと先に進みたい。本日中の

下山も視野に入れて。

 でもそろそろ足に効いてきているので、少しずつ限界に近づいている感じ。

 

硫黄岳山荘の個室は予約満杯               縦走路から振り返る硫黄岳山荘

 横岳に向かう途中の“台座の頭”で白花のコマクサを発見。かなり花を観てきた私としても、初めての経験だ。

 登山道わきには1株だけだったが、奥の方を目を凝らしてみると3〜4株の白花があった。


台座の頭で白いコマクサ発見               縦走路からの行者小屋(?)と赤岳鉱泉

 横岳付近にはウルップソウがあったが、いずれもまだつぼみ状態で来週あたりか。そしてツクモグサは既に終わ

ったようで1株も見つけることができなかった。

 三叉峰から地蔵の頭までのアップダウンはそこそこ厳しく、結構足に効いた。このペースではとてもの事に御小屋

尾根を下る事は不可能判断、稜線での泊と決定する。

 頂上山荘よりは天望荘の方が混まないだろうと考えて、天望荘に泊まると決めた。そして個室を申し込むと、早い

時間と言うこともあって見事にゲットできた。今夜は安心して眠れる。

 個室は『個室棟』というのが別にあって、一般室とは隔絶されていて快適である。
 
 天望荘には風呂もあって早い時間に入れた。遅くなるとお湯が汚れると、縦走路で出会った登山者が言っていた。

 また、食事はバイキングで好きなものを皿に盛って食べる方式。これも良いシステムと思う。

 小屋では地蔵の頭付近から一緒に進んできた横浜の方と話が弾み、あれこれ山談義。来週、東鎌尾根を槍ヶ岳

に向かうという。うらやましい。

 この方とは翌日も一緒に行動し、行者小屋で別れた。


奥の院が横岳山頂?                    赤岳天望荘とガスに煙る赤岳

 赤岳を何度も仰ぎ見る。食事の前も食事の後も・・・こんなところを1時間で登る事が出来るのだろうか?

 さすがに八ヶ岳の主峰。雄々しくどっしりと、天望荘の私を見下して威圧する。

 そして赤岳の向こうには阿弥陀岳。


阿弥陀岳の勇姿


翌朝の朝食もバイキング。5時からの食事で、6時前には出発できた。

富士山が雲海の上に浮かび、そして赤岳頂上山荘に到着するころにはご来光の時間になっていた。

雲海の上に顔を出すのにさらに数分を要してようで、いつもより日の出が遅かったようだ。


日の出前の富士                       赤岳で迎える御来光

 頂上山荘から数分で赤岳山頂。もうすっかり明るくなっていた。

 北アルプス、南アルプス、中央アルプス・・・すべての峰々が存在を主張する。

 このロケーションは2度目だが、何度も見たような気がする。

 八ヶ岳は何度登ってもそのたびごとの表情があり、素晴らしい感激を味わえるので好きだ。

 そして距離的にも我が家から2時間から3時間で、どの登山口にでも立つ事が出来る。

 この山域で20回を越える山行と思う。特に天狗は10回に喃々としている。


赤岳山頂と右手に北アルプス


山頂標と富士

 御小屋尾根は長い・・・早々に赤岳を後にした。このあたりから小屋で一緒だった若者も一緒に行動する。

 登山は富士山と白山しか登った事が無くて、今回の八が三座目だという。

 阿弥陀岳をどうするか迷っていたが、一緒に行くことになった。

 初心者の割には岩場への恐怖心も無いようで、体をしっかり壁から離してへつっていた。
 
 赤岳から中岳への下りは初心者には少しレベルが高いが、この若者は心配いらないようだ。

 途中の分岐でキレットからの縦走者を見ることができる。足場は確りしているが、気を抜くことはできない場所だ。


赤岳を下る、この日一緒に行動した登山者        キレットからの縦走コースと登山者

 中岳を過ぎて中岳のコルで一緒に休憩する。私の話を聞いて御小屋尾根を一緒に下るという。私としては

初めてのコースなので同行者がいるのは心強い。

 阿弥陀岳へは20分から30分の登りで到達できる。山頂で山座同定をして、いよいよ御小屋尾根に取りつく。

 コースが分かりにくかったが、這松を伝って下り始めると若者も後を付いてきた。

『確り這松を掴んで降りて来い』と指示をする。

 そして二十メートルほど下った先が大きくカーブしていて、その先を見ることができない。

 そのカーブの場所が難しいへつりが必要で・・・その先がどうなっているのかもわからずに冒険する気には

なれなかった。事故は下りで起きるのが山では常識で・・・それを知っていて危険は冒せない。

 一度登りで利用してコース状況を把握してからでないと・・・と戻ることにした。そしたら若者も戻ることを選択。

 一緒に再び阿弥陀岳の山頂に戻った。


中岳山頂                           阿弥陀岳山頂標と赤岳

 今回は御小屋尾根を断念し、行者小屋へと下った。

 私は北沢を登ったので南沢を下る事にし、一方若者と横浜のO氏は北沢を下る事にし行者小屋で別れた。

 もうかなり足は・・・自由にならない程のダメージがあり、今シーズンはまだまだ鍛錬不足。

 行かなくてはならない山ばかりなのに、その前に脚力不足を何とかしないと!

 美濃戸から美濃戸口は体の周りを飛び交うアブやブヨに苦しめられての下山だった。

 美濃戸まで車を入れていたら・・・この苦労だけはしなくて済んだのに。


行者小屋への下りで赤岳天望荘と稜線を仰ぎ見る

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