3.000㍍峰一気に6座の大縦走・・・荒川東(悪沢)岳・赤石岳
丸山 ・ 荒川中岳 ・ 荒川前岳 ・ 小赤石岳
(3.032㍍) (3.083㍍) (3.068㍍) (3.081㍍)
登頂日 11・10・02(日)~04(火) 天 候 晴れ 百名山登頂順 80番目・81番目
標 高 3.141㍍・3.120㍍ 登山口 椹島 同行者 単独
温 泉 無し
タイム | |||
- | - | 備 考 | |
場所・地点 | 着 | 発 | - |
畑薙ダム臨時駐車場 | 17:00 | 8:00 | 車中泊 |
椹島ロッジ | 9:05 | 9:15 | - |
清水平 | 12:15 | 12:30 | - |
駒鳥池 | 14:05 | 14:15 | - |
千枚小屋(1日目泊) | 14:50 | 5:30 | 百枚小屋 |
千枚岳 | 6:10 | 6:20 | - |
丸山 | 7:00 | 7:05 | - |
荒川東岳 | 7:25 | 7:35 | 悪沢岳 百名山 |
中岳避難小屋 | 8:30 | 8:40 | 中岳へは数分 |
荒川前岳 | 8:55 | 8:56 | - |
荒川小屋 | 9:50 |
10:10 |
- |
赤石岳 | 12:15 | 12:25 | 分岐で食事 百名山 |
赤石小屋 | 14:25 | 14:30 | - |
樺段 | 15:30 | 15:35 | - |
椹島ロッジ (2日目泊) | 16:50 | 6:30 | 畑薙到着7:40 |
歩行時間 一日目 5:35 二日目 11:20 |
もっと気候条件に恵まれた時期に計画していた山行だったが、今年の天候には大いに翻弄されてしまった。天候が安定すると道が崩落
し、道が開通すると今度は天候がおかしくなる。それに合わせて私と妻の体調との兼ね合い、そしてスケージュール・・・これだけ
を満足させるにはとうとうこの時期になってしまった。
静岡から362号で千頭をめざす。車一台がやっと・・・と言う箇所も長い区間あり、結局ダンプカーに三度もバックさせられるはめに
なってしまった。
千頭から井川へも狭い道が続く。井川はそこそこ大きな町なのに、こんな道路状況で我慢している住民の皆さんの我慢強さには感服
する。むしろ井川から畑薙ダムまでの林道の方が安心して走れたというのも・・・・・実におかしな話ではある。
途中、アプト式の気動車を見たりしていたら、東海フォレストの臨時駐車場に到着したのは17時になっていた。車は30台ほどある
が人は一人もいない。こんな夜は寂しくて嫌いだ。白山の駐車場の夜がそうだった。天候が崩れそうで登山者いないのだとしたら、
それも不安である。
大井川鉄道アプト式の気動車 東海フォレスト畑薙ダム臨時駐車場
明けて6時過ぎに一人の若者がやってきた。思わず嬉しくて声をかけると、ラッキーなことに私と同じコースを行くという。これで一
人ではなくなり、大いに力強くなった気がする。さらにもう一人若い女性がやってきたが、話をすると赤石岳へのピストンだという。
反対方向でちょっと残念。
しかし彼女も登山者が少ないことに不安があったのかもしれない。さらにはコースタイムを検討すると、時間的には悪沢岳を往復する
方が短いと判り、結局はバスの中で予定を変更して我々と同じコースを行くことになった。ますます心強くなった気がする。
3.000円を運転手さんに支払ってバスにのる。結局この日の乗客は4人のみであった。ちなみにこの3.000円のバス代は山小屋の料金に
充当できるので・・・・・早い話が【無料】の送迎バスなのだ。今シーズンは登山者が激減し経営を脅かすほどだったという。
椹島で身支度を整え、千枚小屋に出発できたのは9時を過ぎていた。ロッジの中の道を進むと近道がありそれを登って一旦林道に上が
る。そのまま進んで大きな橋が見えてくると、その橋の手前が登山道入り口になっている。入った途端にさっそく細い橋で崖をヘツル
ことになる。
送迎バスに乗り込む同行者二人と白い帽子の運転手さん 鉄の橋を渡る【イエネコさん】
コースタイムは長いものの決して厳しい登りではなく、何度か林道と交差しながら高度を上げていく。彼と彼女とは着かず離れず追い
越したり追い越されたり・・・今日の予定は千枚小屋まで・・・なので三人とも急ぐ素振りはない。ちょうど3時間で休憩ポイント
の清水平に着く。
清水平で昼食とした。彼はお湯を沸かしてチキンラーメンを食べているが・・・その匂いが何ともラーメン好きの私にはとても辛い
ものであった。
何度か林道と合流する。ここが最後の林道横断 沢水が一年中採れる【清水平】で昼食
見晴らし台で初めて眺望が得られたが、悪沢・赤石が青空に向かって高く高く聳えていた。
駒鳥池を見ると千枚小屋はもうすぐだ。駒鳥池は雨水が溜まったものらしいが、とても神秘的で忘れられないロケーションになり
そうである。
やっと顔を見せてくれた、明日挑む事になる峰々 雨水が溜まってできたという【駒鳥池】は神秘的な空間
千枚小屋には15時前に到着。火災で焼けたためプレハブでの仮営業中、併せて基礎工事なども進んでいたが完成は来年とのこと。
宿泊受付をすると百枚小屋を割り振られた。隣に建っている月光荘ともどもログハウス風の確りした綺麗な建物である。焼けたのは
管理棟だけだったようだ。
百枚小屋の宿泊者は8人。定員は30人ほどだからこの日はゆったりとしたスペースで過ごせた。寝具はシェラフ(寝袋)が各自2枚
ずつ、そして毛布も2枚。しかし宿泊者が少ないため寝具は沢山余っていて、夕方から冷え込んだにもかかわらず快適に過ごす事
ができた。
隣の月光荘にはカメラマンの集団が貸切で入っており、夕方の富士を被写体にしてカメラの列が小屋前にできていた。この中にかの
有名な山岳写真家【白簱史朗】氏がいた。弟子たちのファインダーを覗いてはアングルの指導をしていて、プロのアングルを私も覗か
せていただいたが・・・素人には違いが理解できない。折角のチャンスなのでツーショットでお弟子さんに写真を写していただいた。
この日の私の向かいに場所を確保したご夫婦のご主人が、悪沢岳で百名山達成・・・縁起にあやかりたくて写真を撮らせていただい
た。これから私が考えている山の情報なども詳しくて、飯豊山についても教えていただいた。
来年完成を目指し工事中の【千枚小屋】 同宿のご夫婦はこの日【荒川東岳】で百名山完登
夕方からは寒気の影響でものすごく冷たい風が吹き荒れた。お蔭で富士に懸っていた雲が吹き払われ、夕焼けの富士は裾野まで綺麗に
姿を現した。赤く染まる富士・・・を私も撮ってみたが素人としてはせいぜいこの程度で満足である。
夕食前にたまたま8人が勢ぞろいし大いに会話が弾む。U社のダウンの話題が特に盛り上がった。この寒さでは当然の話題かもしれ
ない。家に戻った私は直ぐに妻の分と自分の分を買い求めた。うれしい情報である。
白簱史朗氏と競って写した【赤富士】、先生も真っ青
暗いうちに彼女は出発し、少し遅れて彼も出て行った。私は朝食を摂ってからスタートした。夕べからの風は相変わらず肌を切るよう
に冷たい。
寒気の影響で冷え込んだ今朝の体感温度はおそらく氷点下5℃ぐらいにはなっていたと思う。寒さ対策で雨具を上下とも着け、ウール
のマフラーで顔を覆った。千枚岳への登りですぐに汗が噴き出す。稜線上の風を考えるとこの段階であまり汗でアンダーウエアを濡ら
したくはない。雨具を脱いでの体温調節・・・山では面倒くさがらずにこれが大切だ。
千枚岳に出ると風は想像以上に威力をふるい、体温を奪っていく。とても長居はできそうになく先を急いだ。一刻も早く荒川三山を縦
走し、荒川小屋への下りに入りたかった。
強風吹きすさぶ山頂にも多くのアマチュアカメラマン 振り返ると千枚岳山頂にカメラマン、雲海に浮かぶ富士
千枚岳からの下りで、短いスパンだが少し急な岩場がある。寒さで集中力を失わないように再度精神を集中させて岩に手をかけた。
丸山への登りは・・・たおやかで・・・緩やかに登っていく尾根道だ。風さえなければ素晴らしいロケーション・・・ウラシマツツジ
が赤く燃えているようで美しい。
本日最初の3.000㍍峰に千枚岳から30分ほどを要して到着。雲海の上には富士が頭のてっぺんだけを覗かせていた。寒い・・・。
丸山へはたおやかな尾根を行く 丸山山頂と顔を覗かせる千枚岳
正確ではないが丸山から悪沢までは15分程ではなかったかと思う。やけに短く感じた。私が後10分程の場所にいた時、彼女は既に
到着していた。
標柱の処にいるので写真を撮るために誰かを待っていたのかもしれないが・・・寒さで私が行くまで我慢が出来なかったようだ。山頂
付近まで進んだ時に、下山を始めた彼女と会った。昨日から一緒に行動した戦友・・・とはここでお別れである。彼女は翌日の仕事の
関係でどうしても本日中に下山しなければならず、残念な思いを残して帰って行った。
彼女【イエネコ】さんは必ず山で行うミッションがある。私も千枚小屋の強い風の中でお手伝いしたが・・・それは【シャボン玉】で
ある。彼女がストローから噴き出したシャボン玉は強風に乗って、あっという間に南アルプスの寒空に飛び去った。
良いタイミングでシャボン玉の写真が取れたので・・・満足していただけたかもしれない。
折角の80座目の山頂には寒くて寒くて、僅かな時間しか滞在する事ができなかった。激しくて冷たい北風は何時止むともしれず吹き
荒れていた。80座達成と南ア南部の最高峰悪沢岳登頂・・・・・印象的な割には感激の薄いものになってしまった。
丸山からは直ぐ、南ア南部の最高峰【荒川東岳】、百名山80座達成 中岳避難小屋とその向こうの尖がりが中岳山頂
悪沢岳・赤石岳 後編 に続く
百名山トップへ トップへ