無言館と信州の鎌倉【長野・上田】 09.07.05
塩田平を見下ろす高台に戦没画学生慰霊美術館【無言館】があります。そこから少し離れたデッサン館のティーラ
ウンジから見る塩田平の風景が大好きで、最低年に一度は訪れることにしています。ストーブとコーヒーそしてピクチ
ャーウィンドーは時間の経過を感じさせません。
無言館は無念にも戦争と言う不条理な手段で命を奪われた学生達の叫びが渦巻いていて、何かただならぬ雰囲
気が感じられるのです。
『いわれなく死んでいくのは無念だったでしょう』
『愛する人を残して死んでいくのは悔しかったでしょう』
『もっともっと生きていろんなことを見たり聞いたりしたかったでしょう』
残された絵と対峙するといつもそんな思いが湧いてきます。何を信じて散っていったのでしょうか。自分の命と引き換
えに日本にどんな未来を見たのでしょうか。
恥ずかしくて今日の日本の現状をつぶさに見ていただくことは出来ません。『こんな日本のために死んだんじゃない
。命を返してくれ』という叫びが聞こえてきました。
08年の9月に第二展示館が出来ました。新たに収蔵された絵が展示されました。この新しい建物は同じ丘の上に
設けられ、ドーム型天井には、傷ついた画布が飾られています。本物かどうかはわかりません。多くの絵に関する書
籍も収蔵され、コーナーが設けられて閲覧も出来るシステムです。また喫茶コーナーも併設されました。
料金は両館で1.000円になりました。昔、無言館は無料で気持ちだけ募金箱に入れるシステムでしたが、あまりに
も募金をしない方が多く500円の料金が設定されました。これも何か日本人の情けなさが現れているような例で・・・
単にお土産屋さん感覚で寄るオバちゃん達が来るところではない・・・と添乗員さん、説明してから連れてきてくださ
い。私も一度団体観光客とトラブルになったことがあります。一つの事例だけでこういうお話をする事が適切では無い
と十分理解していますが・・・言わせてください。時間つぶしにコースに入れるのは勘弁してください。私にとっては神
聖な場所のままにしていたいのです。とは言っても誰にもこの絵たちに接する権利はありますものね。
第二展示館 壁に書かれていた 中の閲覧コーナー
私達が一番多く訪れているのは群馬県みどり市の富弘美術館、二番目が長野の東山魁夷美術館、そして三番目
がここ無言館です。でも無言館が目的というより、併せて前山のデッサン館からの眺めも重要なのです。
ですからこの風景が無くなったらもう訪れることは無いかもしれません。
特別にお教えしますが長野道の【姨捨パーキング】付近からの眺めは圧巻です。夜は日本の夜景○選に入るほど
の眺めと思っています。鉄ちゃん達にもよく知られた場所で、私も列車の写真を撮りに出かけた事があります。
不思議なもので無言館より第二展示館の方が・・・・言い表すのは難しいのですが・・・・軽い気がします。何が軽い
のでしょうか・・・・・『怨念』では無いでしょうか。
作品の中に明治・大正・昭和と画壇で活躍した【小野竹喬】のご子息の絵もありました。
塩田平を見下ろす デッサン館・前山寺方向
次の目的地は別所温泉です。5月の善光寺のご開帳で【片参り】のままでしたから、早いうちに【北向観音】にもお
参りしたかったのです。2年ぶりに別所温泉をウロウロしました。もう祭りの準備が始まって、皆さん忙しく振舞ってい
ました。初めてここを歩いてから30年が過ぎていると思います。『この店で花器を買ったね』『ここで食事したね』など
と思い出は走馬灯のようです。石湯に最初に浸かった時は、もっと暗い建物でした。フッと目に入った足湯を二人で
楽しみました。ここのところ妻は足湯にはまっています。夏にしては結構な熱さで長くは出来ませんでした。
足湯から見上げる北向観音は石垣が組まれていてまるで城郭の感さえあります。きっと歴史的にそういう意味も含
まれていたのではないでしょうか。
とにかくこれで気にかかっていた【片参り】は解消されました。
まるで城郭 北向き観音 新しく出来た足湯
別所(塩田平)は信州の鎌倉と呼ばれるほど名刹も多く、長野県として初めて国宝に指定された安楽寺の【八角三
重塔】があります。建立は鎌倉後期とも言われ、苔むした桧皮葺は重厚で思わず見入ってしまいました。
仏塔は絶対見下ろしてはいけないそうですが知っていましたか。慌てて上からの写真は止めました。
この後千曲市の【あんずの里】に向かいます。おいしいあんずをたっぷり試食してから、1キロだけ求めました。ジャ
ムを作りたかったのですが、初めてでしたので1キロだけにしたのです。家に戻って早々にジャムに仕立てました。少
し硬い仕上がりになってしまいました。
安楽寺へ 国宝【八角三重塔】 千曲市はあんずの里
旅 あれこれへ 甲信越へ