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旅あれこれ 甲信越2【平山郁夫シルクロード美術館】

平山郁夫シルクロード美術館【山梨・北杜】

2008/12/14

 雪の中をパン屋さん巡りに出かけました。事前に調べておいたパン屋さんの確認を終え、午後は楽しみにしていたシルクロード美術館に寄ることにしました。小泉にあるのは知っていましたが、なかなか訪れる機会がありませんでしたので今回は絶対に寄ると決めていました。

 平山画伯を最初に知ったのは30年程昔だと思います。画伯が最初にシルクロードから帰った頃ではないでしょうか。ある場所で6号か8号ぐらいの砂漠の中のラクダの絵が何枚か展示されていました。

 私は絵など理解する力も無く、せいぜい投機の対象としてみるに過ぎませんでした。その隣には伊藤深水の美人画があり、1000万の価格が付けられていました。鉛筆の下書きに薄い絵の具で塗られた絵が途方も無い価格で・・・驚きを禁じえませんでした。それに比して記憶は定かではありませんが、そのラクダの絵は号10万(?)ほどの価格がついていたと思います。いずれにしても当時給料が15万円にも満たない私たちの経済力でも、貯金も含めると求められる価格だったと思います。当然平山画伯の名前など知りませんでしたが、妻がその絵に魅せられてしまい『何としても欲しい』と駄々を捏ねたのです。私は同じ感じの絵が数枚あったことから『同じようなものが何枚もある絵なんてダメ!』と妻を説得し買わずに帰ったのでした。しかし【平山郁夫】という名が妙に二人の脳裏に焼きついて、忘れさられる事はありませんでした。

 時代は移り平山画伯の評価は誰でもが認める通りです。今では到底手に入れることが出来る絵ではありません。よしんばお金を積む事が出来たとしても・・・手に入れることは不可能だと思います。また絵心の無い私などが持ってはいけない・・・という考え方もありますが・・・。

 妻がこの話を思いだすたびに私はポリポリと頭を掻いてごまかしています。

シルクロード美術館
チケット

 美術館には画伯の絵ばかりではなく、旅するたびに集められたシルクロードの文化財も展示されています。コインや一緒に埋葬された唐三彩の傭など一般人にはなかなか見る機会はありません。また仏像も展示されています。日本で寺めぐりをする時に目にする仏像はやはり日本人的なお顔ですが、シルクロードから持ち帰られた仏の顔はやはりその土地の民族の顔立ちをしています。これが少し妙な印象を受けました。この空間は見事に私達の意識をシルクロードへと誘ってくれます。十分に堪能できました。

隊商《パンフレットから》
夜の隊商《パンフレットから》

 絵は比較的新しいものが展示されています。当時の絵に巡り会って見たいという気持ちもあり、少し期待があったのですが残念ですがありませんでした。ここに無くても何処かで画商が持っているかもしれません。いつの日か是非とも出会ってみたいものです。

 絵に対してのコメントは差し控えさせていただきます。なぜなら画伯の絵を確り理解するだけの知識も目もありませんし、私ごときのつたないコメントなどどうでもいいでしょう。ただ何となく理解しやすい絵という気がします。具体に言うと私が大好きな【東山魁夷画伯】の絵はロマンが感じられ、【平山郁夫画伯】の絵はメッセージが感じられます。シルクロードを本当に愛しているんだな~~と、素人でも分かります。それは一種の《男のロマン》かも知れません。

 数年前テレビでも報道されましたが、破壊された石窟仏の悲しみ・怒りが表現されていると感じました。

 今度は薬師寺に行ってバーミヤンの障壁画を見て来たいと思います。

仏像もシルクロードの顔立
死者と一緒に葬られた傭
当時の栄華を偲ぶコイン

      
 二階には休憩コーナーも用意されていて、作品集や図録を楽しむ事が出来ます。窓の外に目をやるとラクダが佇んでいます。そしてその先にはJR甲斐小泉駅のホームを望む事が出来ます。逆にホームからこのラクダを見ることが出来るはずです。初めて見たらやはり驚きを禁じえないと思います。

 そんな遭遇でもよかったかも・・・。このラクダは画伯のロマンであり、シルクロードへの夢の象徴なのかもしれません。美術館の目印になりますので記憶しておいてください。

甲斐小泉駅のホームを望むラウンジ

【展示品の写真は全てパンフレットから転用しています】

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