台湾夫婦が大天井ヒュッテに向けて出発した時、私も一緒にテントサイトまで見送りに行ってました。
そして小屋に戻ろうとすると一人の若者が・・・。
「ちょっとお願いして良いですか?」と話しかけてきたんです。
「ああ・・・良いよ。何?」
「テントを張るのが初めてなんですけど、ちゃんと張れてるか見て貰っていいですか?」
「もちろん」
見てあげるとフライシートにも紐が通してあって、4角も大石で固定してあり正しく張れてました。
テントはモンベルのゴア性で、良いテントでした。
テントは絶対ゴアテックスでないといけません。
「良いテントテント買ったね」なんて話し、取りあえず全部チェックすると・・・ペグが全然効いてません。
「ちょっと見ていて」と言って注目させ、するっと引き抜いて見せました。
ペグの打ち方を教えて、フライシートの固定ももっと遊びが無く固定して・・・と。
家で練習してきたそうですが、家の中でやったのでペグは打つことができなかったそうです。
ポールを差し込むことに夢中になってると、後ろを通る人に踏まれることもある・・・。
組み上がったら固定する前にザックを放り込むと、テントが風にも揺らがなくなる・・・。
などなど・・・いろいろ教えました。
勉強になりました。ありがとうございました・・・と実に好印象の若者。
介護施設で働いているとか・・・老人思いの良い介護士になるでしょう。
写真は教えてあげた若者とテントです。
偉いと思いましたね! 知らないのに知ったかぶりをする世代なのに・・・聞くは一時の恥・・・という精神も大切ですけど。
更に一段進化して・・・教えから吸収してありがたいと素直に思える考えは、人間性を高く評価できると思うのです。
私のサイトを教えて別れました。多分来てくれるはずです。
これからさらに山を好きになって、大いに楽しんでもらいたいものです。
前夜の食事の際、私の隣に座った若者。
隣のいい加減な爺さんが「常念岳にクマが出た」とクマの話に盛り上がっていて。
若者は真剣に聞いてました。
翌朝、私より先に出発したのに、ちょうど私が中天井岳から下りて行くとバッタリ。
「どうした? なぜ引き返した?」と聞くと、昨日の爺さんが更に念押ししたらしい。
怖いので帰って来た・・・とっ。
「大丈夫だから行こう」
「大丈夫ですかね?」
「そう言われたら確実に会わないとは言えない。でも出てきたら俺が追い払ってやる」
でもまだ不安そう。
「今、日本中で個体数が増えすぎて、どこにでもクマはいる。もし今、中房温泉に引き返したら絶対クマに会わないと言えるの?」
「実は私もそう思ってました」
納得してくれて・・・結局常念岳まで一緒に行きました。
クマには会いませんでした。
それにしても罪な爺さんたちですね。
常念山脈の縦走者は、後ろにも前にも数珠つなぎ程にいます。
クマの方が怖がって逃げると思うのですが・・・慎重さは山には絶対必要ですが、必要以上に怖がるのは判断を誤るので不必要です。
山の先輩として・・・正しく教えないと。
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