現役時代にプラントの維持管理に従事し、今回の事故が起きた現場のような作業を数多く経験しました。
下水には硫化水素がつきもので、下水道管に段差があったりしたら流れてきた下水が攪拌されて・・・硫化水素が発生します。
今回の事故現場はテレビの映像で見る限りの判断ですが、河川の下を通して下水を流す【伏せ越し】と呼ばれる箇所で起きてます。
河川の中に下水管を横断させたら洪水の時などに川の流れに影響を及ぼし、あるいは流れの勢いで下水管が壊れます。
したがって川の中を下水管が横断すると言うことはあり得ません。
川の手前で一旦河川の下側を通る管に下水を下げて、河川の下を通り過ぎるとサイホン現象で下水を持ちあげます。
こうして下水処理場方向に下水を流していきます。
問題はここで下水が落下・滞留することで硫化水素が発生しますし、汚泥と呼ばれる泥状の残渣が発生します。
ケースは違って12月に発生した八潮市の流域下水菅の陥没は、細い径の管から太い径の管に変わる場所で落差が出来て下水が落下・滞留。
下水は硫化水素の発生原因ですが、自然に流下していれば滅多に硫化水素は発生しません。
が、その落差で長年にわたって発生してきた硫化水素がコンクリートを腐食させて陥没が発生。
その穴に車が落ちてしまったのでした。
硫化水素の発生メカニズムはお判りいただけたでしょうか?
八潮市の事故が特異なケースではないことを、各地で連続して起きている事故が証明しています。
危機感を持った国土交通省(下水道行政を所管)は、全国の自治体に直径1㍍以上(?)の管渠に設置された伏せ越し等の調査を指示。
今回の事故現場はまさしくその調査のための現場でした。
先ほど述べたように伏せ越し部には泥が溜まるために、それを撤去しないと下水道管が詰まってしまうので定期的に清掃・撤去します。
その作業のために河川の左岸と右岸には、必ずマンホールがあります。
そこは事故が起きうる場所なのです・・・と言うよりは硫化水素が発生する場所と思ってください。
さて、では・・・事故について考えてみましょう。
調査のためには経験豊富な専門業者が当たります。
今回の三栄管理は埼玉県でも1・2番を競う歴史と作業実績を持っていた会社です。
管渠清掃、・管渠調査のノウハウは十分で、産業廃棄物処分などに特化した優れた会社です。
昭和の時代の創業開始当時はミスや悪意のある業務内容もありましたが、会社として改善に取り組まれたようです。
そのためここ10年・20年は自治体等から高い評価を得ていて、業界内でも悪い噂はとんと聞いたことがありません。
どうしてそんな会社がこんな重大なミスをしたのか? 理解できない・・・疑問です。
おそらく下請けに丸投げで・・・現場代理人・監督員はいなかったのでは・・・が、第一の疑問です。
業務に精通した人がいなかった・・・アルバイトで集めたような・・・初めて従事するような方が起こした事故なのか?
疑問はまだまだありますので・・・partⅡ・・・として後日。
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