昨年の雨に続いて再び雨の北横岳【縞枯山・北横岳】
平田影郎
10年以上前に縞枯山には登った事があって・・・となるとなかなかマイナーな山に二度目の足を向ける気になれなかった。
しかし、八ヶ岳の主だったコースを歩いて、地図に赤い線を引くためには縞枯山から先、北横岳までの間を歩く必要があってそのための山行が今回だ。
昨年も北横岳は雨だったが、今年もまた雨。麦草峠の駐車場で1時間ほど待つ。が止む気配は無い。
駐車場は徐々に車で埋まり、その中から登山者がヒュッテの方に向かっていく。風は相変わらず強く吹き付ける。
これ以上は帰りが遅くなるので、雨の中を歩き始めた。
風は強いが茶臼への登りで雨は小降りになった。このころには前にも後ろにも登山者が歩いている。
団体を追い抜き茶臼到着。
女性のグループが休憩していたが、雨が強くならないうちに少しでも進もうと茶臼を後にして縞枯を目指す。
途中に一か所だけ南アルプスを望めるように樹林が途切れていて、休憩場所としては最適だ。
茶臼も縞枯も眺望は効かない。ここで少し休憩にした。雨は予報通りにあがる気配だ。雨具を脱いで進む。
雨池峠への下りは台風被害の倒木がいっぱいあって、整備が追いついていないようだ。
かなりきつい下りだが短いスパンに救われる。
吹きっさらしの縞枯山荘前を通って坪庭の階段に到着。雨模様なのに観光客が結構いて、驚かされる。
坪庭を通過する間に10人以上に出会う。ロープウエイの効果で観光客が躊躇せずにここまでやってこられるのだろう。
坪庭を抜けると北横へ向かう道と、ロープウエイの駅に戻る道の分岐になる。右に進んで北横を目指す。
話を戻すと縞枯から先は初めて歩いているコースで、目的の赤い線が引けるコースである。
大河原峠から北横までは赤い線が引かれているので、この区間に色を付ける事が出来れば北八ヶ岳はほぼ線が繋がる。
北横岳ヒュッテへの登りを進み、三つ岳への分岐を過ぎるとガスの中から北横岳ヒュッテが姿を現す。
こんなぐずついた天候でも2パーティが小屋前のテーブルで食事中だった。
もう北横は目前。こんな天候だが、線が一本につながることを思えばテンションも上がる。
最後は少しキツイ登りを克服して、山頂に立つ。眺望もない山頂では写真を撮って早々に退散しようとしたが・・・ふと不思議な事に気が付く。
山頂標の矢印が『北横岳』の方向を示している。えっ!北峰が有るの?
ということは『ここは南峰なの?』と初めて昨年踏んだのは北峰の山頂だったのか・・・と思い至った。
このまま気が付かず南峰に登頂して下山していたら、南峰と北峰の間の200㍍ほどに線が引けずに終わっていた。
この区間に線を引くために、もう一度わざわざ来なければならないところだった。
気が付いて良かった。確かに昨年踏んだ北峰山頂とは、何となく違いを感じていた。そのちょっとした雰囲気の違いが私に注意を喚起してくれたのだろう。全くラッキーだった。
北峰に向かうと・・・高低差のない僅かに数百㍍の距離。
山頂を踏む事だけが目的だから、登頂した以上は長居の必要がない。再び南峰に戻る。そして少し下った窪地で食事にする。
ヒュッテに戻ると先ほど休憩していたグループが、出発の準備中。追い越して先を進む。
七ツ池に寄るつもりだったが、悪天候の中でモチベーションが下がり放棄する。
再び坪庭まで戻り、一方通行らしいので同じコースを戻る。
ロープウエイとの分岐から[出会いの辻]に進路を取る。とにかくなるべく初めてのコースを歩いて、多くのコースに赤い線を引きたい。
しかし、変に傾いた木道は、雨で滑って滑って何度も転倒した。注意しないと骨折などの大けがになる。
出会いの辻まで進むと木道は終わり、転倒する心配は無くなった。が、大石ゴロゴロの道ではある。
メルヘン街道に近づくとトリカブトが、今を盛りと咲いていた。
メルヘン街道を横断して、苔の道に進む。雨に濡れた苔の森は美しくて、これはこれで見ごたえがある。
歩いて良かったと言える道だ。
国道を左手に見ながら麦草ヒュッテへと戻った。今日のコースも良い歩きができた。
八の中ではマイナーな山だが、八ヶ岳はどの山も素晴らしい植生があって楽しめる。