山行計画になかった・・・常念岳 燕岳(2,763㍍)・大天井岳(2,922㍍)・中天井岳(2,890㍍)
平田影郎
燕岳・大天井岳から続きます。
大天荘の朝食は並んだ順。4時からの食事3時45分に並ぶと3番目だった。ゆっくり食べても4時半には終了。
パッキングも既に終了している。
暗い中で縦走路を歩きたくないので、歩きだすのは5時以降になる。
それなら山頂にご来光を見に行こうと決めて、装備を完全にして大天井山頂へ。
既に多くの人がヘッデンで山頂に向かっていた。がっ私が向かう時には既に空が白んでいた。
御来光は5時少し前。山頂まで10分なのでゆっくり間に合った。
槍の穂がモルゲンロートに染まっていた。
小屋に戻ってザックを背負い、目的の常念岳を目指す。
途中これまで未登頂の中天井だけがあるので、これだけは山頂を踏む。小屋を振り返ると朝日に照らされていた。
下の写真のこのピークがおそらく中天井岳だが表示がなく、確認できなかった。
このピークから縦走路に戻ると、昨夜隣で食事した若者が常念岳方向から戻ってきた。
聞くと・・・常念岳にクマが出たと多くの人が言うので、怖くて戻ってきた・・・と。
身体を見るとクマが怖がりそうな身体なのに・・・おかしかった。
しかしみんな無責任に怖がらせて、罪な大人たちだ。自分たちは行かないのか・・・と思うと、自分たちは確り予定したコースを行くようで、正直な若者だけが戻ってきたようだ。
若者に聞いてみた・・・今、戻って中房温泉に下山したら、確実にクマに合わないの?・・・って。
クマなんて今、日本中にいて・・・誰もがいつかはどこかでクマに遭遇するはず。怖いんなら山登りは止めた方がいい。
恐くないの? 当然、出会ったら怖い・・・が、山をやりたいか、クマが怖いから山を辞めるか・・・二者択一だ。
大丈夫だから一緒に行こう・・・と連れて行ってあげた。とうとう常念岳まで一緒に行動する。
東天井岳に登ろうと思っていたが、前回もそうだがこの山は頂きへのルートが分かりづらい。そして山頂の表示もない。話に夢中になっていたら、いつの間にか通り過ぎてしまった。
日本百高山のピークだが、一度山頂を踏んでいるので戻ることまではしなかった。
そして横通岳も一度山頂を踏んでいるので、そのまま縦走路を進む。とっ・・・雷鳥が登山道脇で何かをついばんでいる。
何十回も雷鳥に出会っているが、ここ数年は出会っていなかった。
一旦常念小屋の前で休憩を挟み、態勢を整えて常念岳のあの厳しい登りに挑む。小屋前からは仰ぎ見るような傾斜で、とても1時間で登れるとは思えない。
一歩一歩喘ぎ喘ぎ高度を上げていく。厳しいだけではなく岩場の登りで落石などにも注意が必要だ。
一度傾斜が緩むか所があり、そこまでがほぼ3分の2に相当する。残りは15分程度。
丁度1時間で山頂に立った。目の間には槍と穂高があり、キレットが大きく口を開けている。
いつかは歩かなければならないのなら、1年でも早く歩くべきだがなかなか踏ん切りがつかないでここまで来た。
若者グループにどれぐらいの時間で登ったか問われて『小屋から1時間だ』と答えると、何歳だと聞かれる。
もうすぐ70歳になると答えたら・・・早すぎると驚かれた。
冗談じゃないよ。年寄りを知らなすぎ・・・まだまだ年寄りは元気だし、年を取って分かるのは『上には上がいる』事。
まだまだすごい年よりは沢山いる。
大天荘から一緒だったクマの若者と分れて下山にかかる。
常念の山頂から蝶ケ岳ヒュッテが良く見えた。この間のコースも残っているので、何時かは歩く事になる。
常念小屋でタクシーを頼もうとしたら、ドコモの携帯なら自分でかけなさいと教えられる。小屋に頼むと100円の料金がかかるとか。
10時前だったので3時間半のコースタイムと予想して、1時半に一の沢にタクシーを予約した。
大滝ベンチまでは少し早いペースで下り、大滝ベンチで時間を調整した。ここからはゆっくり1時間なので、12時に出発しても余裕はある。沢に入って身体を洗ったり・・・時間を潰した。
タクシーは1時10分ごろに来てくれて、靴ひもを緩めたりしているだけの時間でほとんど待たずに済んだ。
穂高神社駐車場までの料金を聞くと、5.000円と言うのでそのまま穂高に下った。
一ノ沢登山口も、もう3回目になった。
当初の計画に入っておらずに、中房に戻るのが嫌で登った常念岳。何だか感慨は・・・薄い。