フェルメール展《東京・上野の森美術館》
上野の森美術館は恩賜公園にある。私立の美術館で、1972年に日本美術協会が設置した。
初めてだったので探しながらだった。
西洋美術館から千鳥ヶ淵方向へ歩いてみたが、何となく違う感じがして戻って再確認。
上野の公園口から最も近い距離にあったのだったが、遠回りをしてしまった。
実は上野駅構内でチケットを買い求めたのだから、ここで場所を聞けばよかったのだ。
上野の森美術館が2009年に企画した『チベットポタラ宮と盗まれた至宝』は中国から横やりが。
美術館の企画と言えど政治の世界・国家間の覇権争いに巻き込まれることもある証しだ。
この催しはすべてのチケットが予約制。だが持っていない私はダメ元でチケットぴあで飛び込みで確認。すると既に9時は過ぎていたが9時の回が購入できた。
既に9時半だったが、別に入ってしまえば何時間居てもオーケーなので全くラッキーだった。
美術館前には10時の回のチケットを持つ客が長蛇の列。それを横目に9時のチケットの私は得意げに入場。
フェルメールは今、日本では最も人気のある洋画家と言っても過言ではない。
前回のフェルメール展では『真珠の耳飾りの少女』が出展されていたが、代表作のこれを見逃してしまった。
ヨハネス・フェルメールは1630年代にオランダで生まれた。
写実的で空間構成と光による巧みな質感表現が特徴。
現存する作品は三十数点しか確認されていない。特に人気はあの青いバンダナを頭に巻いた少女の絵。
だれでもマスコミなどで一度は目にしたことがあると思う。
生きているような生々しい表情や肌の色・・・魅了されてしまう。
他の今回出品された作品もそうだが、登場する人物の表情などからストーリーを感じ取ることができる。
窓の外に視線をやりながら、この人物は何を思っているのだろう・・・フェルメールならではの心情表現だ。
フェルメールを語るときに必ず出てくるのがメーヘレンによる贋作事件。
素人では判断できなくても致し方ないが、プロが見れば光の表現に明確な違いが感じられるらしい。
どうしたことか当時の美術界は騙された。
こうした人気の高い催しには観覧するテクニックがある。フェルメールのコーナーの前に、同時代のオランダの画家のコーナーがあったが、これを一気にカットして数百人を追い抜いてフェルメールのコーナーへ。
まだ9時に入場した客だけなので比較的空いた状態で拝観。ゆっくり鑑賞してから、振り出しに戻る。
これがコツである。このころにはフェルメールのコーナーは押し合いへし合い状態。
今回のメインの作品は『牛乳を注ぐ女』。しかしこれは小品ですぐ間近で見ないとよく見えない。
元々はバロックで画家として出発したフェルメール。『取り持ち女』辺りから風俗画へと転身していった。
今回の作品の中で表現されている登場人物の衣装などは、解説を聞かないと作者の意図が分からない。
だから解説は必須・・・だが解説付きで2.500円ぐらいだったか・・・他の催しよりは高価だった。
帰りには有名レストランでオムライスで昼食。なんとなくリッチな雰囲気を纏って家に戻った。