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幌尻岳で死亡者

百名山・北海道

幌尻岳で三人もの方が亡くなりました。沢の横断中に流されたのです。

私も登ったことがある山ですが、実に30回以上沢を横断した記憶があります。

増水したら本当に危険な沢の横断・・・いくら山のベテランでも沢の経験がない限り判断を間違う可能性はあります。

これからは話すことは、死者を冒涜したり、誰かの責任を追及するための話ではありません。

沢の経験が豊富で、そうした危機を何度も経験した私が、今後の事故防止のための提言と受け止めてください。

まずは新聞も言ってましたが、止める勇気についてです。

私の判断基準は川底が見えなかったら、絶対にやめます。深さや水勢の問題ではなく急に深くなっていたりしてバランスを崩すと、あとは流されてしまうだけだからです。

そして川底が砂だったりすると、今まで安定していた川底が足を突いたことによって砂が流れ始めたりして、不安定な川底にバランスを崩すからです。

新聞は「腰の高さの水量・・・」なんて言ってましたけど、それは沢を知らない人のコメントを垂れ流ししているのでしょう。一概に言うことはできません。

膝下の水量でも流されることは十分にあります。水量と水勢、川底の状態、パーティの人数と力量、装備の状況・・・で沢は危険度が全く違ってくるのです。

だから経験のない人は自制できるリーダーと行ってほしいと思わざるを得ません。

今回の事故を検証すると

最初におそらくベテランが、ザイルを張って対策したと新聞に出ています。

そこまでは山の知識でも可能でしょう。しかしここからは沢の知識でないと逆に危険が増します。

今回はまさしくそんな事故と想像できます。

まず、スリングで本ザイルに連結するとき、自分の手の長さより短いスリング「補助ロープ」で繋がなくてはいけません。

何故なら流された時に一旦手を放すと、二度と本ザイルに手が届かなくなるからです。

逆に流されていたら、運よく岸に流れ着いたかもしれないのに。

今回は逆に水中に固定されてしまったのですね。きっと。

実際にはスリングを掴んで元ロープに戻れる腕力と、水勢のどちらが強いでしようか。水勢にあらがえなかったのだと思います。

だから手の長さより、短い補助ロープで連結するのは沢のイロハのイなのです。

三人とも本ザイルに繋がれた状態でおぼれていたようです。

沢の知識がある人が行っていれば・・・と悔やまれます。

そして次に、沢に入っていくときにはザックの腰ベルトをはずします。

腰ベルトをしたままだと、ザックの浮力によって身体が浮いてしまって、川底をしっかり踏ん張れないのです。

身体が浮いてしまい、踏ん張れない状態で、ザイルには固定されていて、水の抵抗で水中に引き込まれ・・・という事故の真相が想像できます。

人間、呼吸を1分は止められますから、慌てずにザックの腰ベルトをはずしたら、川底に足が着けたかもしれません。

そうすれば足で踏ん張り、手で補助ザイルを手繰れば、本ザイルに戻れたかも・・・。

水勢によってはザイルを張らずにスクラム渡渉だとか、いろんな方法があるのですが・・・。

ザイルで固定すれば安全・・・なんて生半可な知識で事故を招くことが無いように、あえて・・・結果として非難めいた話と誤解を覚悟で話してみました。

参考にしていただいて、事故が無くなれば嬉しいのです。

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