今日の記述内容は硫化水素についてが中心です。
が、私は化学者ではないのでその方面の知識と言えば、仕事上で知った思い込みに近い半端な知識しか持っていません。
その辺を考慮して読んでください。
マンホールの点検などに「なぜノウハウを持っていない人が従事してはいけないのか」です。
それは記述しましたが下水には硫化水素の発生が必ず付きまとい、硫化水素というガスは濃度次第で瞬時に命を奪う危険があるから。
日本は何をするにも免許や資格が必要な、制約だらけの国です。
時には【天下り役人】の給与を賄うために資格取得を義務付けるようなものもあります。
しかし今回の作業に必要な【酸欠防止作業主任者】の様に、今回の事故を防げたはずの資格もあるのです。
一般的に・・・資格を持っている人を選任し届け出れば済む資格(選任資格)と作業現場や実際の操作に必要な資格(従事制限)があります。
今回の現場に酸欠防止作業主任者はいたのか?・・・が2つ目の疑問です。
少なくても二次被害は防がなければなりませんでした。
何故・・・一人目が滑落した時、硫化水素による酸欠を疑うべきだったからです。
硫化水素事故現場のテレビの画面からの判断ですが、送風機によって大量に送風してあった様子がうかがえます。
また酸素濃度計のような器具も見えていますから、酸素濃度・ガス濃度も計ったのでしょう。
ここからが3つ目の疑問です。
テレビではマスクをしていなかったことを事故の原因の様に報道しています。
我々の場合も確り送風し続けることと、連続計測をすることで作業効率が落ちるマスクを必ずつけたとは言えません。
今回の事故現場は黄色いホースがマンホールから抜かれています。
いつ抜かれたかに寄りますが・・・マンホールの径は60センチ、その中に30センチの径のホースが入っていたら人間が入れず。
おそらく作業員が入る時点で抜いていると思うのです。
硫化水素の特性として・・・塊で浮遊する・・・と言われ、地上での様に風で拡散されないために塊が来るとあっという間に濃度が上がります。
だから連続送風と連続計測が物凄く安全に影響します。
ホースがあったら人が入れない・・・抜いたら危険・・・どうすれば作業できるの。
しかもこの現場下流側が伏せ越しで、下流側のマンホールから送風はできません。
物凄く難しい現場で、資格者であっても経験が少ない人では無理だったかもしれません。
ホースを人が入れるほどの細さにして連続送風をすることが必要。
当然、送風機の能力が変わる可能性があります。
さらに作業前に上流側のマンホールから送風をしてみて、硫化水素の値を連続計測をして濃度の変動を確認しておくことも必要でした。
上流のマンホールからの送風でも効果があるのかどうか?を。
我々はあまり大きな声で言えませんが、マスクをしての作業・・・と問われれば、答えに窮します。
更に安全に念を入れれば、最初の一人が落ちた時のことですが。
下まで滑落させないためにチェーンブロックのような器具で、作業員の背中のあたりにフックをかけてあれば良かった。
意識を喪失したとしても、その器具でマンホールの外へ吊り上げる方法が取れました。
3人が続いて入り込んだは、ありえない行動でした。
硫化水素の危険な特性は、固まりで浮遊して窪みなどに滞留します。
かなり昔、自衛隊の訓練で積もった雪に塹壕を掘って、隊員が身を潜めていたところに硫化水素で死亡。
温泉地で露天の浴槽が雪の壁で囲まれ、入浴していた温泉客が硫化水素で死亡。
私が良く通った玉川温泉の岩盤浴では数年に一度、テントの中で眠ったまま死亡する人も出ます。
塊で浮遊し、窪みや閉鎖域に滞留する危険なガスと言うことは、以上の例でお判りいただけると思います。
昨日あたりからテレビが変な話を流しています。
検証能力もないマスコミが、警察や消防が発表する内容を垂れ流しで放送するからでしょう。
それは・・・一人が下水に落ちたことで、下水が攪拌され硫化水素が発生し、後続の3人を死に至らしめた・・・と。
そんなバカな・・・と思います。まあありえない話ではないけど・・・。
じゃ、最初の一人はなんで落ちたの・・・滑って梯子から落ちたって言うの?
人間、3点確保で絶対落ちません、スポーツクライミングの選手じゃなくたって、3点支持は山での常識。
明かにガスで意識が無くなり、身体を支えられなかったのです。
こんな変な話が出て来ると・・・測定していなかったことを隠蔽したいの?・・・なんてへそ曲がりは勘繰ります。
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