岩手県の奥州市(旧水沢市他)は、偉人を多く輩出している地として知られています。
初代東京市長の後藤新平、第30代内閣総理大臣の斎藤實、幕末の蘭学者高野長英・・・。
近年ではあの剛腕政治家の小沢一郎、メジャーリーガーの大谷翔平etc
平安時代まで遡るとアテルイが中央政権に屈服しなかった歴史は燦然と輝いている。
地理的には平泉の藤原氏の文化圏でもあり、鎌倉政権と対峙した時代に象徴されるように「気骨」に富んだ人物を輩出した。
高橋克彦氏の【炎立つ】という小説を読むと、平泉や奥州市の時代背景と精神風土が理解いただけるだろう。
余談ではあるが・・・岩手県は5人の総理を輩出していて、東京・長州閥をのぞけばトップでもある。
原敬・斎藤實・東条英機・米内光正・鈴木善幸。
奥羽越列藩同盟で会津藩などとともに、最後まで薩長と交戦したのも南部藩である。
そんな風土が奥州市なのだが・・・。
世界で6か所設置された最初の緯度観測所も水沢市にあり、小学校の遠足では緯度観測所が目的地でもあった。
歴史に興味のない人には酷な文章の羅列だが、坂上田村麻呂が築いた胆沢城も水沢市の行政区内だったし・・・。
前九年の役や後三年の役、源義経のあずまくだり・・・歴史的な事柄の枚挙には暇がない。
鎌倉政権の画策によって、義経は衣川で死んだとされているが・・・。
またまた余談だが「高木彬光氏のジンギスカンの秘密」いう小説では、義経は落ち延びて大陸に渡ってジンギスカンになったというロマンあふれる話がある。
そんな奥州文化に育まれた黒石寺(こくせきじ)の蘇民祭。
実に千年の伝統・歴史を有しているが、今年限りで終焉を迎える。
かつてJRの車内広告にポスターを掲示しようとしたところ、JRから「裸の男は卑猥で、これを嫌う人の目に触れる」という理由で拒否された経緯があるのは記憶に新しい。
確かに卑猥と言われれば反論はできないが、文化とか伝統とか・・・そういう観点でモノを見られないものだろうか?
下帯姿の男衆が「麻袋」を奪い合い、最終的に袋を持っていた人が住む方角が五穀豊穣に恵まれると言う祭り。
下帯姿が卑猥と言うならそんな祭りは腐るほどある。博多どんたく然り。
もう済んだことを蒸し返しても意味はないので終わりにするけど・・・伝統・文化に思いを遣らない残念な考え方です。
そして肝心な祭りの終焉もまた残念。
後継者がいない・・・今、日本中の祭りが危機的である。
ちなみにこの黒石寺、大谷翔平の実家から2キロほどの位置。
昨年、祭りの終わりを知らずに、どんな舞台なのかを見に行ったばかり。
その時に大谷選手の実家の近くの道の駅に泊まる。
そこから黒石寺を訪ねたのだった。
寺は静寂に包まれて、祭りの喧騒は微塵も感じられなかったが、瞼には麻袋をせせり合う下帯姿の男衆の体臭までが焼き付いている。
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