最も身近な百名山・・・赤城山(黒檜山)
平田影郎
群馬の山にもかかわらず、埼玉県の北部に住む私にとっても赤城山は地元の山である。県境に座しているならともかくこういうケースはあまり聞かない。それだけ裾野が広く、また遥か遠くからでも仰ぎ見る事ができるこの山の特徴であろう。
最高点の黒檜山頂でも1.828㍍で、大沼登山口からピークまで2時間を要しない低山であるが、その風貌は3.000㍍級の山々にも劣らず、北関東一円の人々から象徴として崇められている。歴史的には国定忠治の逸話が夙にしられ、私の世代ではこの事での親しみを禁じえない諸兄も多い事と思う。また澄み切った日には池袋や新宿の高層ビル群も確認する事ができる。
大沼や赤城神社、ロープウェイ(現在休止中)を利用しての地蔵岳など、過去に何度も訪れていた。
大沼沿いを神社入り口より更に車を進めると道路の左側に空き地があり、今日も既に数台が停められていた。ここから展望のない樹林帯を1時間半ほど登る。途中の猫岩では唯一展望が開け、大沼などを見下ろすことができる。斜面を登りきり僅かに開けた稜線に飛び出すと小さな社が祭られていて、ここからほんの少しで山頂標が立っている。この付近からは木立に遮られ展望は得られない。おまけにこの日はガスが湧き全く眺望は期待できなかった。北側に移動すれば展望の利く場所があるらしい。
社の前を通り抜け一旦稜線を大きく下り、少し登りかえすと小さ木札に表示された駒ケ岳山頂である。鞍部の道は笹に覆われ歩きにくいところも何箇所か見受けられた。花はリンドウを数株見つけることができた。
駒のピークから樹林帯を更に下ると覚満淵に出る。時季には多くの花々が見られ、赤城の代表的な散策コースとなっている。しかし私は綺麗に咲き誇る花の時季に当たったことがない。大沼から黒檜、駒、覚満淵とゆっくり一周して4時間程の散策である。関東平野の眺望なら黒檜よりも地蔵岳や長七郎の方が勝っている。