僅かに残る花百の面影・・・谷川岳【トマノ耳1,963㍍、オキノ耳1,977㍍】
平田影郎
前回はマチガ沢からの巌剛新道を登っているので、今回は西黒尾根に挑戦。
西黒尾根は三大急登と言われているが、どれほどのものか確認の意味もあった。
結果、とても屈指の登りとは程遠い・・・どんな山でもこれぐらいは辛い。
特に樹林帯を突き抜けるまでのスパンが短くて、1時間も登れば突き抜けてしまう。
この日の西黒尾根はそれほど登山者が多くなかったが、ロープウエイを利用する人が多くて山頂は押すな押すなの人出。
トマの耳からの下山は渋滞が出来るほど。
谷川岳の知名度は高く、しかも首都圏や関東圏からのアクセスも良く、休日の混雑は避けられない。
富士山と同じで・・・一度は登ってみたい山の代表格だと思う。
関東からのアクセスが2時間、登山口からトマノ耳まで3時間から4時間。
選択しやすい山ではある。
昔から多くの山家の命を飲み込んできた岩峰ではあるが、バリエーションルートでなければ今日から登山を始めた人でも大丈夫と言える。
不安のある人はロープウエイで天神平に上り、そこから天神尾根を登るのが最も安全なルートとなる。
コースは様々あって平標山方面に谷川連峰を縦走したり、茂倉岳を通って新潟サイドの土樽までの縦走、または蓬峠を経由して下山など、一般の登山道を利用してのバリエーションは豊富で、楽しみ方も奥が深い山域である。
ラクダの背という箇所に5個(?)連続する鎖場があるが、三点確保で何の問題がない。
この鎖を連続して繋げたら100メートルに誓かもしれない。1本が10メートル以上はありそうだ。
ただ鎖もステップも確りしていて心配は不要で、逆に山をやっていたらこれぐらいの方が楽しめる。
巌剛新道にも2か所の鎖があるが、それとは比較にならないほどラクダの背の鎖は長いので、岩や山慣れしていない登山者は一瞬おじけづくかもしれない。
経験不足の登山者は、むしろこのように確りステップの取れる鎖場で練習を積んだ方がいい。
後年、夫婦の登山者と知り合って一緒に下山することになったのだったが、ガレ沢の頭で夫婦はどちらを下るかと相談していた。
奥さんがひざを痛めていたようで、しかも谷川岳は初登頂でコースの内容が不案内。
巌剛新道と西黒尾根のどちらを下ったら良いか?・・・と尋ねられたことがあった。
1か所だけ鎖場が連続する箇所があるけど、それを過ぎると普通のくだりだ・・・と。
その話を夫婦は鎖が1本と誤解したようで、簡単そうな西黒尾根を選択して私に続いてきた。
ところが鎖は1本ではなく連続・・・奥さんの苦労を見かねた旦那さんに怒られたことがある。
私は鎖が連続する・・・とはっきり伝えたのでしたが、そんな失敗談を思い出す。
9月とは言えまだまだ花は楽しめる。
秋の花はあまり目を引くような色は少ない。
吾亦紅・アザミ・りんどうなどで、春の花よりは落ち着いた感じの種だ。