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63-2. 槍ケ岳

百高山ピークハントの大激走・・・槍ヶ岳 大喰岳(3,101㍍)・中岳(3,084㍍)・南岳(3,032㍍)

メ モ
登頂日 15/09/11(金)〜12(土)
天 候 晴れ
百名山登頂順 再登頂
標 高 3,180㍍~3,032㍍
登山口 上高地
同行者 単独
温 泉 梓湖畔の湯

タイム
場所・地点 往路 (着) 往路 (発) 復路 (着) 復路 (発)
上高地(1日目) : 7:30 14:30 :
横尾 10:05 10:10 11:50 12:00
槍沢ロッジ 11:20 11:35 10:55 11:05
槍沢大曲 12:25 12:30 : :
槍ヶ岳山荘(泊) 15:30 3:15 :
槍ヶ岳山頂(2日目) 3:40 4:20
槍ヶ岳山荘 4:40 5:20
中岳 6:15 6:20
南岳 7:15 7:20 : :
分岐 7:45 7:50
天狗池 8:50 9:00 : :
天狗原分岐 9:30 : : 9:35
所要時間 一日目
8:00
二日目
11:15

平田影郎

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4日間の日程を開けて南アルプスの南部に行こうと予定していた。ところが関東大水害が発生。同行する予定だった仲間の実家が水害の被害大の常総市では、流石に心配で山になど行ける状況ではない。今回は中止することになった。不謹慎にも・・・日程が開いてしまった私は世間の大騒ぎをしり目に・・・結局は山に向かう事にする。

さてどこに向かったものか・・・あれこれ悩んだが、畑薙ダムまで一人で向かう気力が湧かないし、大雨の後の道路状況が心配された。こんな時にはアクセスに恵まれた北アルプスに限る。

たまたま山友のホロホロ3世も、この時期北アルプスに入っていて上手くすれば何処かで会えるかもしれない。無難なところで上高地から槍か穂高にしよう。

そう考えると今年は百高山の山を全く稼げていない。槍から大喰岳・中岳・南岳と縦走すれば、一気に3座の荒稼ぎである。目標は決まった。

松本から沢渡に向かう。新島々を過ぎると道の駅にホロホロのキャンピングカーが見えた。車を寄せてみたが、人の気配は無い。既に出かけてしまったと早合点したが、実はこの時間はまだ車の中で準備していたらしい。私の後を追うように沢渡に到着して、バスで上高地に入ったという。上高地は9時ごろだったらしい。霞沢岳に向かうとブログを読んで知っていた。私はタクシーの相乗りで入ったので、時間が全く違いこの時点で出会うことは無かった。

シーズンオフの平日と言うこともあって、上高地にしては賑わいがない。空いているのは歓迎だが、ちょっとは人がいないと山は楽しくない。

何時もなら穂高岳をバックに河童橋の上で写真を写す人が鈴なりなのに、御覧の通り静かに通り過ぎる人が一人。

上高地バスターミナル
河童橋

明神に向かっても私の前を歩く人も・・・後ろを歩く人も僅かに数人。明神で休憩する人もほとんどいない。徳沢まで進むと早立ちした人たちに追いついたようで登山者は一気に増えた。

徳沢のテントサイトでは多くのテントが設営されていて、特に外国人カップルのテントが目につく。ここのサイトは抜群の環境で、何日でも過ごせそうだ。次回はここをベースにして・・・計画性を持たずにまったりと過ごしたいものだ。草地に寝転ぶカップルをみて、思わずうらやましくなった。

平日とあって登山者は少ない。明神への道
明神岳、明神から

横尾まで入るとさすがに登山者は増えるが、それでもピーク時とは雲泥の差。山小屋は空いていそうで、槍ヶ岳山荘と決める。人が多い時は殺生ヒュッテの方が空いている確率が高い。

横尾大橋も比較的閑散としている
横尾山荘前で憩う登山者

正午を予定していた槍沢ロッジに、余裕の時間を残して到着した。先を急ぐあまり・・・あまり途中で食事を摂れない私にとっては、こんな時間がありがたく、たっぷりと時間をかけて1個のおにぎりを頬張る。おにぎり1個に15分だから・・・何とか飲み込むことができた。

木陰のベンチで韓国人の登山者がグループで食事していたが、相変わらず・・・うるさい。元気がいいのか・・・明るいのか、得な国民性である。ここは日本なのに、日本人が慎ましやかだ!

ババ平まで直ぐだと思っていたが、意外に時間を要する。これではテントを持ち込んでもトイレが大変だなあ・・・と思っていたら、なんと綺麗なトイレが。

大曲までのコースタイムは少し甘いようで、ロッジから50分ほどで到着する。

槍沢には大きな雪渓も残っていて・・・もうすぐ雪が降る季節なのに・・・結局は消えずに残るのだろうか?

ババ平キャンプ場に新設されたトイレ
槍沢に残る雪渓

水沢で休憩していよいよラストの登りに挑む。前回はここグリーンバンドで遭難騒ぎアリ、何ともお人よしの私は連絡のために殺生ヒュッテまで走って登る。

それが思い出された。何時までも忘れられないほどのインパクトがある出来事だった。

その時も播隆窟には立ち止まってお参りしたが、今回も確りと家族と数人の友の健康をお願いした。

播隆上人を祭る播隆窟
僅かに夏が残る、それとも短い秋

グリーンバンドから望める槍は、今日は見ることができなかった。何とも恨めしいガスだったが数時間後に私が小屋に到着すると、雲一つない青空を背景に槍がそびえたっていた。

しかし、グリーンバンドを過ぎて播隆窟あたり・・・ここまで快調だった私の足はパタリと止まる。いや・・・後で考えると【足】というより【呼吸】か【心臓】だったかもしれない。

殺生ヒュッテを過ぎて槍岳山荘までの1時間は、これまでに経験がないほど辛いものになった。富士山でもこんなに苦しくない・・・如何したことだろう。

青息吐息・・・喘ぎながらの山荘到着。あまりの辛そうな様子を見ていた登山者が『何処から?』か尋ねるので、『上高地から』と言うと、『よく一日で登ろうと思いましたね』とっ。実力不相応の行動と思われたのだろう。がっ言い訳すれば、決して無理をしたわけではなく、突然の不調であった。

折角晴れ渡った空に浮かぶ槍だが、こんなヘロヘロでは足元も覚束ない。無理して滑落でもしたら『年よりの冷や水』と笑われてしまう。今日の登頂は止めておいた。翌朝早起きして登頂することにした。もっとも・・・今回の主目的は、百高山の3座である。槍は付録だ。

槍岳山荘へ最後の急登。残りの距離が表示されている
ガスが巻いていた槍は一気に素晴らしい眺望に変身

空いているはずの山荘は6時を過ぎても登山者が次々にやってきて、結構いっぱいになった。槍岳山荘の割り振りは疑問だらけで・・・腹立たしい。知っている限り新越山荘や双六小屋、北岳山荘などは間隔を開けて割り振ってくれる。ところが西棟を全く温存したまま、詰め込まれていた。また、個別の部屋を見るとぴっちりと詰め込まれた部屋もあれば、向かい側には全く入っていないケースもある。

小屋は詰め込まれるものとみんな覚悟してはいるが、空いているなら便宜を図ってほしいのが本音だ。

私の隣にも余裕なく詰められたが、向かい側は一人も入っていない。そこで隣の人に『向こうに行って寝た方がいいですよ』と勧めて行ってもらった。お陰で熟睡できた。山小屋で眠れたのは久しぶりである。

6時を過ぎてもまだまだ登山者が到着する
下界は雲海の下に。殺生ヒュッテを俯瞰する

食事の時の食堂が2回転だけなので、宿泊者は精々200人以下では・・・。美味しいと評価の高い食事も特段の事は無く・・・泊まった事が無かったので泊まったが2度目は無い。

この日は風が強くてテントサイトはみんな辛そうだった。テントを持ってこなくて良かった・・・。

西鎌尾根
キレットへの稜線、眼前の大喰岳

さて翌朝

トイレに行きたくて2時半に目が覚めた。これ幸いにこのまま起きだす。前夜のうちに音がしないように準備してあったので、周りに迷惑をかけることは無い。ところが私の一つ空けた隣の人が、ヘルメットを床に落としたりビニール袋を取り出したり・・・ビギナーなんでしょうね、迷惑な話。2時半ですから。

私が疑われるようで・・・私の方が他人の事で気を遣ってしまった。

なぜ私が槍に早朝に登るか・・・それはヘルメットを夜中に落とす人は、槍に登りながら岩も落としそうで・・・こんな人たちがいる場所ではリスクをへらしたい。暗くても3点を確保してコースの指示通り登れば危険は無い。

危険な場所には鎖や梯子が設置されているので・・・暗い事より、ビギナーが怖いのだ。前回同様山頂は私一人の貸切状態。丁度ポケットのように岩で囲まれた場所で風を避けて、ご来光を待つ。2時間は待たないと朝は来ない。

それを覚悟して化繊のTシャツの上にウールのシャツ、更にフリースの上にゴアの風除け・・・帽子に襟巻り完全装備だった。寒さは全く大丈夫だったが先ほどまで満天の星空が・・・雲の流れに見えなくなってきた。

雨に降られたら下山が辛いので4・50分ほどで山頂を後にした。

誰もいない槍ヶ岳山頂
山頂標をアップで

その時間になって小屋の前ではヘッデンがチラチラと輝いていた。がっ、まだ登ってくる人はいない。石を落される心配がなくてよかった。

大喰岳・中岳方向からも光が近づいてくる。この時間に既に行動している人がいると判って、親近感を覚える。

小屋に戻って食事を取ろうとしたが、やはり喉を通らない。出発の準備に取り掛かる。

5時を回るとご来光を待ちわびる登山者が、小屋の前を埋め尽くした。雲が茜色に染まり始めてから30分もかかったろうか・・・5時半に近かったと思う。

待ちわびた御来光が朝を連れてやってきた。願うは何時もの家族の健康と友のご多幸・・・。

早朝の鉄梯子は氷くほど冷たい
御来光

御来光を拝んで出発する。風は強いものの稜線歩きは気持ちがいい。大喰岳は特に悪いところもなく、簡単にピークハント。ところが広い山頂で、山頂の場所にまごつく。

振り返ると槍ヶ岳が朝日を浴びて輝いている。槍ヶ岳の肩には多くのテントが設置されていて、カラフルで美しい。

右俣谷に降る分岐
朝日を浴びる槍を振り返る

山頂標の写真を撮らなかったので、戻ろうか・・・と思ったが手抜きで豆粒のように写す。

2座目の中岳には少し悪い場所がある。梯子と鎖の場所が数か所。ちょうど先行者が登っていたので、お願いして写真を写した。

このパーティはこの日【大キレット】を超えていくそうだ。キレットの経験者は一人だけ・・・残りの方はどんな心境なのだろうかと想像した。やはり経験者が同行してくれるのは心強いに違いない。後一日余裕があれば、このまま着いて行きたい衝動に駆られた。残念ながら・・・諦める。

山頂の場所が不明だった大喰岳
中岳への梯子を上る登山者

薬師・黒部五郎・笠・・・天候に恵まれて気持ちの良い山歩き。中岳から槍を望む。写真では難しいが、肉眼では貼り付く人の動きが見えた。

西尾根方向の先には黒部五郎
中岳から槍ヶ岳を望む

中岳からはゴーロ帯を大きく下り、登り返して天狗原の分岐に着く。中岳山頂から南岳までは1時間弱の歩きだが、遥かに伸びる尾根を望むと、とても1時間で到着できるなど思いもよらない。

天狗原への分岐にザックを置いて水も持たずに南岳を目指す。ほんの30分ほどで、往復しても1時間も要しないと思ったからだ。

南岳への縦走路
南岳

想像通り南岳へは分岐から30分も要しなかった。またしても回り中を写真に写す。特にキレットはこれほどまじかで見たことは無かったから・・・。

南岳からの槍ヶ岳
南岳山頂

北穂へ駆け上がって行ったその先、山頂直下に小屋が張り付いていて・・・その怖さは、高所恐怖症の私の想像を絶する。小屋から鋸の刃のように何峰か越えて台形のピークは北穂の南峰だと思う。その昔、足立源一郎氏の絵で記憶がある。

更にその先涸沢岳までの厳しさもまた、キレットに勝るとも劣らないように見える。恐怖症の私が歩くことは無い・・・と思っている。今日のノルマ・・・百高山三座の縦走は達成した。後は無事に上高地に下山するだけだ。

南岳小屋と北穂・涸沢岳・奥穂。
北穂の肩には北穂小屋
キレット越しに北穂高小屋を遠望

分岐に戻って朝食で作ってもらった弁当を開ける。何とも・・・寂しいが・・・炊き込みご飯が竹の皮で包まれているだけ。思わず食欲が失せてしまった。

この尾根の下りは結構怖い・・・最近はアルプスにご無沙汰で、この手の岩場がからっきし苦手になってしまった。

キレットなんてとんでもない。

横尾尾根のコル・・・まで下るともう悪い場所は無く、とりあえず恐怖症の私もホッと安堵のため息が出る。

下る途中から望む槍ヶ岳のみごとな存在感。見たことは無いが・・・エベレストにも劣らないのでは。

天狗原への下り、横尾尾根のコル付近から
天狗池には逆さ槍がくっきりと、がっカメラのトラブル

天狗池でのこと、この日は逆さ槍がきれいに湖面に映っていたが、肝心のカメラが不調。押しても引いても写ってくれない。目に焼き付けただけで後にする。ところがどうしたことか、天狗原の分岐に戻ったらカメラが正常に作動する。

これには呆れてしまった。

途中ホロホロから電話があり、上高地で待っていると・・・。何時になるか尋ねられ・・・4時ごろと答えていた。

途中駆け下るようにベースアップ・・・時間に余裕ができたので、徳沢でソフトクリームを食べて30分ほど油を売っていた。そして明神を過ぎた頃に再び電話。河童橋でソフトクリームを食べて私を待っていると。

オジサンはみな同じ行動を取る。何もない時代に育った我々は、観光地のソフトクリームは必須のアイテムのようだ。

この後の私は散々で・・・バスの切符がないと大騒ぎしたり(もちろんポケットに入っていた)、バスの中に携帯を忘れてバスを追いかけてターミナルまで行ったり・・・体は元気でも・・・脳は全盛時の半分程度しか期待できない。

天狗原から大喰岳
次のターゲットは2,670㍍の赤沢山
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