もう一つあった“宝の山”・・・焼岳
平田影郎
中の湯から少し登った11号カーブに駐車スペースを確保するためには、結構厳しい競争で暗いうちに到着する必要がある。
4時半に着くとまだ5台ほどしか停まっておらず、楽々確保することができた。しかし計算違いもあって・・・6時近くなるまで暗すぎて歩き出すことができず、1時間以上車の中で空が白むのを待つことになった。
前日の岩場ばかりの乗鞍と違い、今日は米栂などの樹林帯の中を進む。途中で直径10㌢を超える山伏茸をゲットした。
登り始めてからずっと探していた。いただいて家にお土産で持ち帰り、他のキノコと一緒に甘辛く煮て食べた。香り,食感ともに素晴らしく山の恵みの豊かさ実感した。
きつい登りも僅か1時間半ほどで樹林帯を抜ける。一瞬、目の前に展開するロケーションは赤・黄・緑のコントラストが強烈に覆いかぶさってくる。例外なく樹林を抜けた登山者から「ウワーッ」と歓声が上がった。ナナカマドの紅葉は今が盛りで、絶好のタイミングで焼岳を選んで正解であった。
素晴らしい紅葉とは裏腹に目的の北峰はガスの中で、山頂からの眺望は期待できそうになかった。しかし私はキノコとこの紅葉のお宝がゲットできてそれで十分だった。
最後の登りは急登の1時間、優しさのない斜面だ。しかし振り返って見下ろすと励ましているように紅葉が飛び込んでくる。
今まで見て来た色とは鮮やかさが違っているようですらある。これを見たのにへばっているわけにはいかない。頑張りどころである。休み休みだが確実に高度を上げっていった。
南峰と北峰のコルに着くと登りは終わり、硫化水素が噴出す岩場を巻くように進むと山頂であった。昨日同様眺望はなく、楽しみにしていた上高地も大正池も望むことは出来ない。
新しい中の湯は気持ちよく浸かる事が出来た。応対も丁寧で良い印象が残った。昼食に先着何十食か蕎麦を頼むことが出来て、当然食した。蕎麦は美味しかったが出汁は塩辛く私にはあわない味であった。