3日で3座のいそぎ働き(1)・・・伊吹山
平田影郎
余りにも眠くてついつい養老SAで後のシートに身を横たえて目をつむってしまった。夕べの22時に本庄を出発してここまでは予定の時間に到着したのだが・・・。再び目を開けると既に7時半・・・もう下から登るのは諦めるしかなかった。あのまま登山口まで行っていれば・・・と悔やまれる。下山後、現存する12の天守閣に登るため彦根城、それから福井の丸岡に移動して丸岡城を見て、そして白山麓の別当出合で寝ることになる。予定は分刻みでびっしりと詰まっている。
『今日の無理は3日間尾を引くことになる』と考えれば、ドライブウェイを利用しての伊吹山も仕方が無かった。
花の百名山伊吹山は多くの種類の花が咲き始めていた。とりあえず東コースを進むと、早速ニリンソウ・キツネノボタン・グンナイフウロが出迎えてくれて中々進むことが出来ない。あっという間に24枚撮りのフィルム1本が終了してしまった。楽しみにしていた花は満足、満足。御仏にお参りをして、御朱印もいただいた。日本武尊の像で写真も写して、ノルマは達成だ。それにしてもこの花の数、見事な雲海・・・とても1.300㍍の山とは思えないほどダイナミックである。違った季節にもう一度来たい山が増えてしまった。明日の山、白山は残念ながら雲に隠れて見ることはできなかった。
下山は西コースをたどるが、花の種類はほとんど同じである。あっという間に駐車場に戻りついて、花旅は終ってしまった。もう一度チャンスがあるなら次回は是非【コイブキアザミ】の時季に来たいものだ。
団体の観光バスが5台も止まっていた。入れ違いになったようだ。早く出発して良かった良かった。やっぱり人気の山のいい時期はこうなる宿命・・・今頃山頂はごった返している事だろう。
彦根城に向かう途中、名水百選【泉神社の湧水】を見つけて寄ってみた。4㍑のペットボトル6本に汲んだ。3日間の生活水だがせいぜい1本しか使わない。残りは持って帰り我が家の飲用となる。長い塩ビのパイプにいくつもの穴が明けられていて、その穴から勢い良く水が流れ出ていた。多くの人が一度に汲める様になっていて、少しも待つことなく汲むことが出来た。
彦根・丸岡を回って白峰に向かう。白山の永井旅館に到着する頃には、時間的に日帰り入浴が出来ないかも知れないので、途中の天望の湯に浸かる。掛流しではないものの窓から御前峰(ごぜんがみね・・・白山本峰)を望む半露天は十分に合格点の湯である。
別当出合は6時になっていた。急いで食事にする。車は10台ほど停まってはいるがだれもいない。日は落ちて暗闇が辺りを包みだすと、やはり一人では寂しい。おまけに食事のメニューも寂しい限り。熊でも出てきそうな白山麓の夜は更けていくのだ。