サンライズ出雲で熟睡、余裕の登り・・・大山
平田影郎
先週の浅間山で脚力の自信は7割がた戻った。天気予報を見ると米子方面は土日に晴れマークである。これを逃すと行けるチャンスは何時の事やら・・・行きたい時が行ける時・・・何処かで聞いたような言葉だが・・・決心をしてサンライズ出雲のチケットを手に入れた。しかしこのサンライズ出雲のチケットは実に解り辛い。売る側が四苦八苦して・・・とうとう私が希望したものではなく【A寝台のシングルデラックス】になってしまった。大きな出費だがJR職員が検索に手間取りもたもたしている間に、私の後ろには長い行列が出来てしまった。そしてついに『それでいいです、とにかく早くして』思わず言ってしまいました。
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大山寺に到着後、大型ザックの中から必要なものだけを出してサブザックにつめた。資料館の前に余分な荷物は置かせていただき身軽な状態での出発である。交番に登山届けを出し、歩き始めたがどうも様子が変で、犬の散歩中の奥さんに聞くと私が向かっている方向は逆であった。門前町を歩いて夏道に向かう。橋を渡ったがここも解りづらかった。どこでも登山口には悩まされてしまう。
健康祈願で阿弥陀堂に寄り道をするとなにやらあまり見かけない花が目に付いた。園芸種かなとも思ったがとりあえず写真に写した。帰りのバスで知り合いになった方に【シャガ】と教えていただいた。
『関東には無いですか、こちらでは何処でもありますよ』と言われたが、関東にもありますか?
夏道に戻りきつい上りをかなり進んでいくと、やっと一合目の標識が・・・『マジかよ』思わず出てしまった。中々きつい上りだが、この標識はなえた心をもう一度やる気にさせてくれる。この後何度も救われた。とにかく一本調子の上りは楽しくない事、この上ない。花を見る楽しみも無い。それでも日が差し込んで透き通った緑に輝くブナの森は唯一の救いである。
6合目あたりからチラっ、チラっと剣が峰の尾根や稜線が見え始めた。聞いていた通り荒々しい肌をさらけ出している。実にダイナミックだ。
6合目では多くの人が食事や休憩を摂っていた。そんな中で白人の女性の集団、おそらくは交換留学生かと思うが、その人ごみの中で虫除けスプレーを集団で使い始めた。知っての通りあれは吸い込むとかなり苦しい。経験した方も多いと思う。風上で食事中にやられてはたまらない。大体において山にはブヨぐらいいて当然。それを若さに任せて肌を露出させ・・・私がブヨでも当然吸ってやる。スプレーするにしても風下で手のひらに少しずつ出して、それを引き伸ばすように塗ればいい。相手は高校生・・・躊躇したが注意してしまった。素直に従う子もいたが、態度が悪くふてくされているのもいた。いずれの国も一緒だが・・・日本を舐めとんかい。
稜線近くになると一気に展望が開け、特に今日の天候では下界がパノラマで楽しめる。山頂に立たなくても十分に満足と思わず考えてしまいそうだ。楽しみの無いきついだけの上りを喘いで上ったご褒美だろう。
それにしても今日は快調で全然ヘバリが来ない。最もきつい割にはスパンが短いので救われているだけだが・・・。あえて調子の良い原因はと探すと【先週十分に鍛錬した】【このロケーションで心が活性化している】そして【サンライズ出雲でたっぷり寝た】とオチを見つけた。
八合目を過ぎてやっとお目当ての花がチラホラ。イワカガミは今が盛り、そしてダイセンキスミレと思しきものを数株見つけた。群生していました・・・という人もいたが私は見つける事が出来なかった。
山頂からも素晴らしい展望で特に剣が峰はこんなに近くみえる。多くの人が言うように怖いやせ尾根には見えず、何とか行けそうな気もしたが実際には相当の難所であろうから、今の足の状態では止めておこうと潔く諦めた。
下山後松江城に行く予定は何とか実現したいと考え、3時のバスを目指して下山した。爺婆集団を次々追い越し、たまにバランスを崩しながらも何とか無事にバス停に着いた。まだ10分程余裕があったのでデポしたザックから新しいTシャツを出して着替えてもまだ発車時間にはならなかった。
今回もバスの中で地元で写真を取り続けている方や、三鈷峰を歩いてきた方など何人かの方とお知り合いになった。ホームページに来てくれるといいが・・・。