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34. 平ガ岳

ザックの中にはカントリーマームだけ・・・平ケ岳

メ モ
登頂日 09/09/20(日)
天 候 晴れ
百名山登頂順 70番目
標 高 2,141㍍
登山口 鷹の巣
同行者 単独
温 泉 銀山平キャンプ場 かもしかの湯
アルカリ単純泉 600円

タイム
場所・地点 往路 (着) 往路 (発) 復路 (着) 復路 (発)
鷹ノ巣 4:35 14:50
台倉山 7:25 7:25 12:15 12:25
白沢清水 8:05 8:10 11:30 11:35
池の岳 9:25 9:35 10:45 10:45
平ケ岳 10:00 : : 10:20
往路 5時間25分 復路 4時間30分

平田影郎

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 長丁場に備えて前夜は6時に食事をして、7時には布団に入った。この年になると若いときのようには頑張りが利かず、寝不足が一番こたえる。0時過ぎに目覚ましで起きたが確実に5時間は眠る事が出来た。 

 シルバーラインの気持ち悪いトンネルはなるべく一人では通りたくないが、ローンウルフにとってこれは宿命である。無事に銀山平に出たがここから更にダム湖に沿って30㌔走らなくてはいけない。道の端には釣り師と思しき車が止まっている。昔は私もそうであった。暗いうちから先を争って入渓したものである。特に中の岐と恋の岐の入り口にはそれぞれ数十台の車が止まっていた。ご苦労な事である。イワナも大変だ。

 最も山登りの私も駐車場確保のためにはこの時間なのだから、釣り師のことばかり言ってもいられない。お互い様だ。鷹ノ巣までは所々に距離数が表示されていて非常に有りがたい。計算どおり4時半に到着できたが、駐車スペースは計算どおりではなかった。私の分が無い・・・私より後の人は仕方無しに路駐である。

 準備をして出発だ。まだ胃が動いておらず食事が出来そうも無いので、少し登って明るくなってから摂る事にした。

 15分ほどは林道歩きでヘッデンさえあれば歩くのに支障は無い。尾根に出る手前では5時を回って明るくなり始めた。私より前を3組ほどが歩いている。今日の持久戦を考えると歩行速度は必然的にセーブ状態になる。

 かなり前方まで見通せるようになったが、前坂への登りや下台倉山への上りが立ちふさがるようである。前を進む登山者が常に確認できるような傾斜が目の前にある。そんな登山者や振り返って長い尾根を写真に写しておいたが、戻ってから見てみるとほとんどピンボケになっていた。薄暗い状態でピントが合わなかったのか、あるいは呼吸の乱れで手ぶれだったのか一枚も使える写真はない。

 丁度適度な運動だった下台倉山までの歩きで、空腹感を覚えた私は食事を摂る事にした。既に2組が食事をしていた。朝食用にコンビニで買ったサンドイッチやコーヒーと妻が握ってくれた御握りを、ザックから出そうとして私は慌てた。ザックにはどうも見つからない。そんなはずは無いと・・・荷物を全部出してみたがやはりそれらしきものは入っていない。前回の非常食として持っていたカントリーマームとウィーダーインゼリーが一個入っているだけである。2時間も登ってきたのにここで断念せざるを得ないのか・・・私は悩んだ。帰路は食料が無くても我慢は出来るが、登りはそれなりのエネルギーが必要である。山頂で誰かに声をかけ、余っている食べ物を分けてもらおうか・・・とにかく引き返す愚だけは選択できなかった。元々歩いていて胃が受け付けない状態を無理に詰め込むのがいつもの事で、食料は安心のために持って歩いているようなものだ。何とかなるだろう・・・ととりあえずウィーダーを流し込み、そしてカントリーマームを3個ほどお腹に入れた。これで引き返す気は更々なくなった。

 長くて厳しいと言われるこの登りはペースを考えて登るとそれ程とも思えない。確かに下台倉山までは厳しいが、それも2時間の頑張りである。後は小さいアップダウンで台倉山に到着し、そこから白沢清水までは気持ちの良い木道歩きが続く。この一時間半ほどの息抜きが力を温存させてくれる。

 途中台倉清水も白沢清水も水は涸れてしまっていて、2リットルも担ぎ上げたのは正解であった。食べ物が無いのだから、せめて水はふんだんにほしい。

 池ノ岳への上りでは既に真っ赤なナナカマドが点在し、パッチワークのような山肌が広がっている。立ち止まって写真を写しながら振り返ると、右後方に銀山湖を望む事が出来た。昔はその流れ込む沢を釣り歩いたものだ。その頃は平ケ岳なんて知りもしなかったし、まさか山登りに凝ることさえ考えられなかった。

 山頂に9時半を目途としていたが流石に腹ペコが答えたし、池ノ岳への上りもエネルギーが必要であった。少しタイムを遅らせてしまって姫ノ池が9時半になってしまった。

白沢清水は涸れていた
池ノ岳への登り
平ケ岳

 低木帯を少し歩くと目の前が一気に開け、突然素晴らしいロケーションの中に放り出されてしまう。こんなに登ってきた山上にこんな世界が展開するとは、にわかには信じられない世界である。姫ノ池を始めとする池塘群と草紅葉、そしてハイマツの中に点在するナナカマドやオレンジに紅葉する草木・・・これは感動ものであり、これほどの紅葉は焼岳以来だ。

 よく平ケ岳を称して長いだけのつまらない山だのコメントが多いが、その人たちは何を見ているのだろうかと疑念を抱かざるを得ない。池の原のこんな素晴らしいロケーションを見ていないのだろうか?

 似た様な会津駒の中門岳付近、苗場山、巻機山などよりタイミングが良かったせいか、私には上に感じられた。上や下という評価は馴染まないかもしれないが、決してつまらない山とは思えない。池の岳への厳しい登りで蓄積した膝や太腿のプレッシャーを癒す目的もあり、写真を写しながら大分時間を使ってしまった。食料が無い以上は消費エネルギーを節約しなければならない。そして確実に下山する方法を選択しなければならない。玉子石は諦める事にして山頂を目指した。

姫の原の池塘群
姫の原の草紅葉
池ノ岳

 一旦下るも小さな登りで山頂である。一面の草紅葉と浮島のように点在するハイマツと笹の緑の中に、燃えるようなナナカマド。まあ・・・私のボキャブラリーではこの素晴らしさを的確に表現する事は不可能である。そして上毛の山並みや会津の山。池ノ岳を振り返ると限りなく見渡せる草紅葉とパッチワークのような緑と赤。赤にも3種類ほどある。エンジのようなくすんだ赤、燃えるような赤、そしてオレンジに近い赤・・・本当に楽しめました。

 三角点から移動して周遊してみた。薄っすらとガスっている割には風が強く、いつもは半そでの私も耐え切れずに長袖をザックから出して纏った。

平ケ岳山頂付近の紅葉
山頂からの山並み展望
池ノ岳を振り返る

 いよいよ残りのカントリーマームをお腹に入れた。一気に寂びしさがましてきた。誰かに声をかけて残りの食料を分けてもらおうと思っていたが、まだまだ我慢の範囲だし流石に声をかけることは躊躇われた。【武士は喰わねど・・・】恥を忍んで・・・という訳にはいかない。でもお腹が減っていたら・・・・・やっぱり恥を忍んで声をかけたでしょう。

 相変わらず彩り鮮やかな中を下る。小さなアップダウンを繰り返すのは織り込み済みである。ほぼコースタイムどおりで下台倉山まで戻りついた。ここまでは『長い、長い』と言われる平ケ岳も私の中で普通の山の範疇であった。と言うより剱岳早月尾根を歩ききると大概のところはビックリしない。まだまだ余裕があった。

最後のカントリーマーム
台倉山への登り返し
下台倉山への途中で一息

 一転下台倉山からは地獄の下りになった。普段鍛錬不足は承知しているし、山行が少ない今年はこうなることも致し方ない。下っても下っても延々と続く尾根、特に下台倉の岩場の下りは膝に相当こたえた。本当にこんな辛い下りを登ったのだろうか、自分の頑張りが信じられない。どうして登りはあんなに簡単だったのだろう。

 台倉山では2時には下山できると考えていたが、降りてみると1時間も余計に要していた。山と渓谷社の日本百名山登山ガイドではコースタイム登り5時間45分を5時間半で登った私が、下りは4時間20分を4時間30分も要してしまった。特に下台倉の下りに入ってからのカメ足が際立っている。

前坂の延々と続く下り

 特に上りでは食料の問題や長い戦いに意識が奪われていて、靴擦れで痛む足は意識の外であったのに、下りになってからは靴擦れや足の裏が燃えるように痛んで・・・その戦いも熾烈なものであった。全く本来の戦いとは別のところで戦わなければならない私の登山も辛いものがある。こんな事が続くと登山も楽しいモノではなくなってしまう。

 尾根の下りでは痩せた部分が数箇所あって、よじけないよう慎重に足を運んだ。意識すればするほど何故か足がふらついしまう。ギリギリの状態で林道に到着する事が出来た。あと1キロ長かったらダウンしていたかもしれない。

こんな事では来週予定している空木岳は無理かもしれない。車の中に残っていたサンドイッチを焦って詰め込んだが、胃が痛くなってしまった。相当胃も弱っていたのかもしれない。また靴擦れは左右のかかとが赤く皮が剥がれていた。満身創痍の挑戦であった。さらには現在筋肉痛と戦っている。それにしてもカントリーマームだけで平ケ岳に挑んだ登山者が過去にいただろうか。最近の私をあらわしている出来事である。歳は取りたくない。

尾根にはところどころ痩せた箇所が
ふらつく足には厳しいヤセ尾根
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