母と渡り(わたり)温泉へ【岩手・花巻】
2010/03/20~21
田舎で暮らす90歳の母がいます。2月に大腸がんの兄を見舞ったとき、『これで最後だと思うから何処かに行きたい』と頼まれていました。リュウマチの症状が重篤でほとんど歩行が不可能な母を連れて行くのは本当に難しい状態ですから、何時も面倒を見ている姉に一緒に行ってもらう事にしました。妻一人では母の介助は不可能で、さりとて女湯に私が立ち入る事は出来ませんから必然です。姉も気持ちよく同道を引き受けてくれ、しかもこの渡り温泉の予約もしてくれました。
初めて・・・買い換えたリッターカーのパッソでの遠出です。妻の疲れが心配でした。思ったよりリッターカーは快適で・・・軽に買い換えなくてよかったです。
途中の平泉でパン屋に寄りました。既に14時ごろでしたが、少しのパンが残っていました。12チャンネルのソロモン流で紹介されたパンを食べてみたかったのですが、合格でした。コユキコムギのパンは風味・小麦の味が確り生かされ、我が家の舌に見事に馴染みました。
母はますます歩行が困難になっていました。辛いでしょうがどうにもなりません。田舎のうちですからバリアフリーなどとは程遠く、段差・階段ばかりで車椅子が不可能なのです。考えようによっては全く車椅子になるとリハビリにならない・・・とも言えますが、もう90歳ですし生きても数年でしょうから、楽をさせたいと思うのですが・・・難しい。何故って普段面倒見ているのが私ではないからです。私が預かっても施設に入ってもらうしかありませんが、母にとってはそれが一番楽かもしれません。しかし田舎を離れる気は全くありません。
ですから目をつぶっているしかないのです。そしてたまの親孝行に自己満足するしかないのです。
母はそれで十分だと言うのです。悔しいのはここまで症状が悪化する前に、もう少し医療費をかけていれば結果は違っていたのでは・・・という思いか断ち切れないのです。本当に親不孝な息子でした。
食事は値段の割にはガッカリするものでしたが、何より好き嫌いの激しい母が確り食べる事ができたのが救いです。やっぱり田舎のホテルです・・・折角、娘が退職のお祝いに送ってくれたものが・・・食事が終わってから届きました。あるいは忘れていたのかもしれません。それでも娘の気持ちは確り届きました。
花巻温泉郷は子供の頃から来ています。祖父母の農閑期の湯治は毎年志度平(しどたいら)温泉でしたから数え切れないほど入っています。先生とは山登りで鉛(なまり)温泉に。兄と母を連れて花巻温泉や新花巻温泉にも来ています。東北では泉質として下位にランクしなければなりません。
母に心を残し、姉には感謝し・・・故郷を後にしました。なるべくは顔を見せてあげたいのですが、何せ交通費が馬鹿になりません。高速代が1.000円でありがたいのですが、寄る年波には抗しきれず・・・やっぱり辛いものがあります。もう頻繁に車で走ることは不可能になりますから、新幹線がメインになるでしょう。
それにしてもあとどれだけの孝行が出来るのでしょうか?
連休で矢板付近は大渋滞でしょうから、いくつかの街並みを見て帰ることにしました。心配したほど妻を疲れさせる事が無くて済みました。