花の百名山 尾瀬ヶ原
平田影郎
花の百名山も60座を超えて、終盤へと入ってきた。ここに来るまで私は尾瀬を知らない。環境保護や自然保護運動の聖地なのに、アウトドア派として関心の高さは自他ともに認める私に・・・なかなかチャンスが無かった。
百名山を完登しているが燧ケ岳の柴安嵓に登っていなかったので、今回は別コースで柴安嵓へ。
この山行と併せて尾瀬ヶ原を歩く・・・というのが今回の目的。ついでに時間の余裕があったら至仏山にも登りたい。
一度に三座の高効率山行計画。
6月を予定していたが、今年の残雪量は半端じゃないと聞いていたので、6月中は敬遠していた。
がっ7月になっても今度は天候がイマイチスッキリせず、ますます尾瀬は後回しになってしまった。
戸倉から鳩待峠までのバスで知り合った方の『燧小屋は個室対応してくれる』という話を聞き急きょ予約。
これで泊まりの心配は無くなり、ゆっくり見晴(みはらし)へと向かう。
尾瀬の道は整備されていて、安心して歩くことができる。
途中の山の鼻では多くの人が憩っていた。また見晴へ向かう途中ですれ違う、登山者もほとんどが見晴に戻る人という感じ。今日の山の鼻は空き部屋がないそうだ。
当初、山の鼻での泊まりを想定したが、見晴に変更して正解だった。あのおじいさんに感謝。
天候は今日もイマイチだが、花の種類は期待通り。花に・・・ロケーションに・・・200枚以上の写真を写す。
種類が多い割には株数はちょっと想像をしたまわったが、初めて見る花などもあって流石に尾瀬は聖地だ。
毎年多くの人が押し掛けるのに、これだけのものが残されていることがすごい。
ボッカさんと良くすれ違う。この方たちのお陰で美味しい食事が頂ける・・・と感謝。
大きなビールの樽を4個も背負っている人がいて、驚く。
木道ですれ違う人の多くがツアー構成員。特に小・中学生、高校生の林間学校に多く出会う。
私は68歳で初めて尾瀬に立ったが、まだまだ人生を残していながら自然に触れる人生を選択肢にできる子供達がうらやましい。私は尾瀬と言う環境を知ったのは30歳に近かったかも知れない。
ゆっくり歩いてきたが2時前には燧小屋にチェック・イン。早速部屋に荷物を置いて近くを散策してみた。
翌日は燧ケ岳に登ろうと思っていたので、登山口を確認したり名だたる小屋の雰囲気を確認したり・・・。
見晴には6軒の小屋があって、尾瀬の銀座とも言える。どの小屋も雰囲気があって、一度は泊まってみたい。
弥四郎小屋の前に有名な『弥四郎清水』があって、キリリッと冷たくていくらでも飲めそうだ。
がこの後のビールを考えて少しだけにしておいた。
ビールが美味しく飲めるためには、喉は乾いていなくっちゃ!
チェック・インのとき『このあと相部屋にはなりませんよね?』と念を押すと、『予約は少ないし部屋は沢山あるので』と確約してくれた。安心してくつろぎ、ビールをやり始める。
下の写真の通り、混雑時にはおそらく6人が入る部屋だと思うが、一人で独占して広々と。
4時半ごろになるとお風呂に入れるというアナウンスがあり、私は一番風呂を頂く。石鹸もシャンプーも当然禁止。
でも汗が流せて・・・この時期特に長く歩いた後はありがたい。
食事はボッカさんのお陰で美味しいものが食べられる。この日は煮魚に鶏のから揚げ、キノコスパに汁物は御蕎麦。
何より嬉しいのは食べ放題のおかずが食堂の真ん中に置いてあり、セルフサービスで取って食べる。それがナメコの玉子とじやらウドの葉のきんぴら風。これが美味い。
私は2度もお替りして食べた。当然ビールをもう一本追加。
見晴には無料の休憩所・トイレ・キャンプサイトがあり、更には桧枝岐小屋・原の小屋・弥四郎小屋・第二長蔵小屋・尾瀬小屋そして宿泊した燧小屋と6軒の小屋がある。
長蔵小屋は場所的にも目立つし、この小屋の歴史も相まって人気が高い。弥四郎小屋もティスポットが女性たちに受けているようで、多くの宿泊客がいた。
長蔵小屋は夜遅くまで宿泊客の嬌声が響き渡っていた。
一方で燧小屋は昭和33年築で、かなりあちこちが傷んでいて廊下などの床鳴りがひどい。
サービスは良かった。
お風呂に入れて食事が美味しくて・・・もう一度歩くことがあっても燧小屋が良いかな!
翌日、燧ケ岳登山の後、見晴から山の鼻へと同じコースを戻った。行きには気が付かなかった花を発見して写真に収めたり、途中で雨に降られて雨具を着たり、逆さ燧を撮ろうとしたり・・・
それでも2時間で山の鼻到着。
雨は落ちて来たし、沢山の花を観て十分満足したので、至仏山には回らず、そのまま鳩待峠に戻った。
初めての尾瀬・・・高層湿原の雄大な自然を満喫した・・・満足の山行だった