奈良の寺院巡り【室生寺】
2019/10
前夜は道の駅宇田路室生に宿泊。野菜の直売所も併設した、便利な道の駅でした。
今回の関西の旅の口開けが室生寺でしたから、室生寺へのアクセスが便利なこの道の駅を選択しました。
室生寺には20分ほどで到着しましたが、門前町は道幅が狭くこのまま進んでいいものか迷いを感じながらの走行でした。うまい具合に駐車場がみつかり、まだ早いので門が開く時間まで待ちながら、担当のおじさんといろいろ話します。階段が多いとか、予備知識をいろいろ教えていただきました。
あまりに早い時間で、見学者は数人でした。
その昔、高野山が女人禁制で女性のお参りが叶わなかった時代、室生寺は積極的に女性のお参りを受け入れました。そのため【女人高野】と言われてきました。
縁起は桓武天皇が山部親王時代に、自身の病気平癒ための祈願が効果があり、国家のためにこの地に創建させたのが室生寺です。
以来、山林修行の道場として、また法相宗・真言宗・天台宗などの各宗派の教育の寺院として、独特の仏教文化を形成してきました。
この寺の素晴らしさは・・・多くの国宝を含む文化遺産もさることながら、季節ごとの自然とのマッチング。大自然と調和し四季折々にうつろう伽藍のたたずまいの美しさにあるのです。
代表されるのは金堂への石の階段の両脇に咲き誇る石楠花で、旅行誌やパンフレットに載っているあの写真を観て、誰でもが一度は行ってみたいと思ってしまう筈です。
室生寺の御本尊は如意輪観音様。ですからついさっきまで西国霊場三十三ケ所の一つと思ってました。嘘を書いちゃいけないと思って調べたら、入っていません。調べて良かったです。
この寺の国宝と言えばまず最初に奉拝する金堂がそうです。平安時代の創建。
金堂の御本尊は釈迦如来でこれも国宝です。
脇侍、左側の十一面観音様は平安初期の作でこれも国宝。本尊も観音様も一木造りの像です。
仏像は体幹部分と腕などを別々に彫るのが一般的で、現存する像のほとんどがそうです。
それだけにこの寺の仏像が、歴史的価値・芸術的価値・宗教的価値・・・いずれにおいても貴重とされているのです。
そしてご本尊の後ろに描かれた帝釈天曼荼羅図も国宝です。
向かって右側に我が家としては深い縁を結びたい仏様の薬師如来が。
そして運慶の作とされる十二神将の仏様たちは、表情や掘りの細やかさなど素晴らしいものでしたが、如何せん須弥壇まで遠すぎてよく見えません! 双眼鏡が必要な奉拝でした。
もっと近くで見せてほしい。
さらには十二神将のうち、四体の神将は何処かに出張中でした。
本堂(灌頂堂)も国宝です。御本尊の如意輪観音様も国宝ですが、国立博物館に出張中で・・・奈良ではなく東京で見る事が出来るのでした。
そしてもう一つの国宝が五重塔。これも平安時代の創建で高さが16メートル。
他の寺院の塔に比較すると小さく、屋外に建つものとしては国内最小です。
朱に塗られた柱と白壁の対比が美しく、国宝らしい荘厳さも感じられます。
塔のさらに奥には弘法大師の御影堂があります。
そこまでのぼって、見学は終了としました。
自然界の中でしっとりと落ちつけた感じがする見学でした。
私が確認しただけで国宝が7つ。そのほかに重文は数えられないほどです。
埼玉には全県揚げても国宝は僅かに妻沼の聖天様ただ一つ。しかし関西には一つの寺院だけで国宝がゴロゴロ。歴史が違うんですね。