サンライズ出雲は走るホテル
2008/06/13~14
永い間、カシオペアとサンライズに乗るチャンスをうかがっていました。今回は大山登山に組み合わせ、夜の時間を利用しながら欲張りなスケジュールを企画したのです。そのためには多少の出費もいとわない事に決めていました。
新幹線の駅にチケットを買いに行くと、どうも在来線には不慣れらしく長い時間かかって検索していました。駅員が不慣れなばかりではなくこのサンライズ、列車の構成や名称とグレードが一致するほどの知識がないと、お客さんのニーズに応える事は不可能なのです。私も事前にJR西日本のホームページで随分調べましたが、結局は希望したものではない《シングルデラックス》というチケットを買ってしまいました。というのも不慣れな駅員さんがアレコレやっている間に、緑の窓口に並んでいた人が長蛇の列になっていたのです。決して私が悪いわけではないのですが『良いです、それで良いですからそれをください』と思わず言ってしまいました。手にするまでどんなチケットか知りませんでした。お金を払うときも駅員は13,000円と言います。私は特急券とか必要なのでは・・・と言いました。が『いや、それ以上はかかりません』と言い張ります。答えは当然私の勝ちです。でも何か言っても『よその会社の列車なので・・・』との答えが見えていましたし、長蛇の列ですから・・・何も言いませんでした。本当に勉強しない人たちです。もっとも長蛇の列でイライラしながら待つのはJRの方たちではないですから、退職するまで理解する事はないでしょう。『お待たせしました』なんて言われた事がありますか?
昔々ですがこんな事がありました。鎌倉へお座敷列車でアジサイを見に行くツアーがありました。私は窓口の若い駅員に『今何分咲きぐらいでしょうね?』と聞きました。若い駅員は何処かに電話して確認しようとしたところ、奥にいた組合の力に胡坐をかいて権利だけを主張しているようなベテラン駅員が『そんなこと解るわけネーだろう』と言ったのです。当然私は聞き逃しませんでした。『プチ~~ン』と切れました。『おい、お前、ちょっと来い』
お米屋さんでも薬屋さんでも不動産屋さんでもありとあらゆるもの・・・・形のあるもの、ないもの・・・・およそ商品と呼ばれるものを販売している人が、商品の中身を聞かれて『解るわけネーだろう』と言えますか。『鎌倉ツアーはお宅の商品じゃないんか?』『そうです』『商品の中身を知らなくていいのか、無責任に販売していいのか?』『すみませんでした』『直ぐに電話して確認しろ』
鎌倉の駅に確認したら間髪いれずに『まだ少し早い』と返事が帰って来ました。さすがに鎌倉駅は把握していました。鎌倉駅も・・・解るわけネーだろう・・・だったら救われませんね。年金事業団、社会保険庁よりはましでした。国鉄解体の際にわが社にも何人かを引き受けてくれとの話があり、数人引き受けて採用しました。国労あがりの彼らはそこまでになっても勤務時間中の5時前に『風呂にはいる』慣習を主張していました。【親方日の丸】【権利だけを主張する】【平気で赤字を垂れ流し】【民営化】という流れになったのでしょう。
誤解してほしくないのであえて言います。私は新生JRの努力を高く評価していますし愛していますから、一部の方にもっと努力をしてもらいたい、旧体質を引きずってほしくないとの思いで非難めいた事を言わせて戴きました。
そんな事とは裏腹に当日が来ると私の心はウキウキです。いつから《鉄ちゃん》になったかな?
そうです・・・会社に一人いるんですよ。駅のホームからの風景を見ただけで全国の駅名を間違えずに答えるヤツ・・・。私が【君はマニア】と言うと【違います、私はファンです】と必ず帰ってきます。
どっちでも同じように感じますが彼にとってはイメージが大きく違うようです。マニア=変質的に執着する・・・的な感覚と思います。実際周りの方たちもそうかもしれません。
そいつと付き合い始めてからでした。
こういうチケットなんだけど、どういう内容かと尋ねると、当然のように期待したグレードの回答が返ってきました。駅員の対応に不安だったのですが、お陰で安心と期待を胸に列車を待つ事が出来ました。
サンライズが入線してきました。早速、写真は失敗してしまいました。記念に名盤を確り写したかったのですが・・・。
通路での人の動きが落ち着くまで少しデッキで待っていました。以外に少ない乗車人数でした。部屋のロックは自分で暗証番号を入力し設定します。ザックを肩から外してテーブルに置くとやっと落ち着いた気がします。
ベッドスペースはけっこう広く寝相の悪い私でも蹴飛ばす事はなさそうです。早速アレコレいじってみました。照明、テレビ、サニタリーグッズ・・・高い料金なだけにあらゆるものが付いています。
シャワーカードまで。しかしシャワーはのぞくたびに何人かが待っている状態でとうとう使う事が出来ませんでした。
BSのテレビは定期的に画像が乱れ、もともとあまりテレビを見ることがない私は直ぐにスイッチを切ってしまいました。
持ち込んだ発泡酒を睡眠薬代わりにいただきました。どうも一本では眠れそうもなく2本目もいってしまいました。カーテンをあけて確認できたのは沼津までで、そのあとは岡山まで気付くことがありませんでした。とは言っても横になって10分間ぐらいは気になって眠れない状態でしたが、それもつかの間でした。
でも妻にはこの揺れは無理かもしれません。神経質の人は難しい気もします。しかし心配した隣の部屋のいびきなどは聞こえてきません。と言う事は私のも隣の部屋に聞こえる事はなかっただろうと思います。
安心しました。
伯備線は単線で交叉する列車を待つ事がありますが、サンライズにはそれがないようです。前から聞いていましたがものすごく揺れます。サンライズがというより伯備線が・・・と思います。帰りの八雲などは信じられないほど揺れました。事前に地図に穴が開くほど眺めていましたので、知っている駅名や地名が出てきてそれだけでも私は十分旅をたのしんでいました。
大山が見えてからもしばらくサンライズは走り続けます。降りる準備を始めます。11時間の旅でした。
その間5時間ほどは確り眠っていました。静岡も名古屋も京都も大阪も姫路も夢の中でした。登山のためには睡眠を確実に取りたいと思って選択したサンライズでしたが、確り目的を果たしてくれました。少しリッチな気分も味わう事が出来ましたので、少々高い出費も後悔はありません。十分満足しましたし今後の九州や四国の登山にも利用したいと思いました。特にサラリーマンの私には休みもままならず、夜を移動時間に使えると言う効率的な旅が求められますから機会は多くなると思います。次の旅が待ち遠しい気分です。