山梨-3. 乾徳山
山梨百名山
平田影郎
阿弥陀岳で一緒になった国立の方が教えてくれて、近いうちに訪れたいと考えていたがヒョイっとチャンスができた。私のアクセスはキャンピングカーで、林道の奥までは何となく気が重くなってしまう。
事前の情報でキャンピングカーでも大丈夫と知っていないと、その山を選択する事は無かった。
橋の袂に確りした駐車場があって、バスも入っていると聞いて安心して出かける事ができた。実際には集落を抜けた下山道の登山口にも数台停められるスペースがあったが、僅か10分ほどの違いなので広い駐車場に停めたい。
人気の山・・・とよく分かる。私が到着した段階で既に数台の車があり、出発しようとしているパーティもあった。集落のトイレを使わせてもらって下山道方向に進んだが、すぐに間違いだと気が付いて集落の中をショートカットして道満尾根登山口に向かう。
登っていくと左手にお墓があり、また鹿除けの金網などを通って登山口へ。地元の方が『蛇が沢山いるから注意して』と教えてくれたが、結局一匹も出会うことは無かった。
杉木立の中を黙々と登って行く。このコースは人気がないのか登山者と出会う事は無く、とても寂しい。道満山に近づくとブナなどの広葉樹林帯となる。丁度斜度がうまく写せそうなところがあったので、一枚写してみた。まさしくこんな斜度を九十九折れに喘ぎ喘ぎ登ってきた。道満山は立ち木に打ち付けられた朽ちたような山頂札があるのみ。
道満山の樹林帯を抜けると目の前が一気に開け、月見岩と呼ばれる大岩が現れる。ここが高原ヒュッテの分岐になっていて、私も帰路はここまで戻って右折して高原ヒュッテ方向に向かった。
のコースを登ってくる方が意外に多く、数人のパーティがここで休んていた。挨拶をして追い抜かせてもらった。
乾徳山に取りつくと本格的な岩場になり登山らしくなる。梯子があり数十㍍の鎖があり、この鎖では遊んでいる登山者が多くいた。
その中の一つのパーティは『穂高に行くので鎖の練習のために来た』と言って何度もアタックしていた。
確り迂回路もあって鎖が嫌な人は別のコースを選べる。肩が痛かったので私は鎖に取りつくのは止めておいた。
山頂で休んでいる間ずーっと見ていたが、迂回路を使ったのは私だけだった気がする。
あいにく登頂時はガスが巻いていた。残念なロケーションだった。登山を始めたばかりのパーティなのか、山頂で『やったー』とハイタッチしていた。まあそれほどの難所と言う山ではないが、十分楽しめた良い山ではあった。
食事を摂りながら30分ほど周りの山々を眺めて楽しみ、晴れないガスに痺れを切らして下山にかかる。
このころには登ってくる方も多くなってきて、人気のほどを再確認する。月見岩に戻るとやはり多くの方が休んでいたし、下山路側から登ってくる人も沢山いた。また私と前後して下山する人も結構いた。
月見岩から少し下ると、草原に鹿の群れがいて私の前を横切って林の中に消えて行った。丁度高原ヒュッテの分岐のところで家族が食事していたが『鹿は危なくないですか?』と奥さんに尋ねられた。先ほど近くまで来たらしいのだ。『危ない事は無いけど、最近は恐がらない。特に食べ物をねだってくるから、近づいてきたら食べ物は隠した方が良い』と教えたあげた。
家族でここまで食事に来ることは、子供にとっても良い情操教育になるだろう。今時若いのに感心な親だと思った。