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限りない寒さとの闘い

百名山・南アルプス

悪魔のように襲い掛かる冷たい北風・・・頬が切り取られるように痛んで・・・とうとう我慢できずに首に巻いていたウールのマフラーで覆面に。そのマフラーに垂れ落ちる鼻水が沁みこんで・・・更に冷たくまとわり付くのが余計に辛く・・・。

このままでは家に風邪を持ち帰ってしまう事になりそうで、早く荒川小屋に向かって南斜面を歩きたい。幸いにして・・・目指す3.000㍍峰の【荒川中岳】も【荒川前岳】も僅かな時間で山頂に立つ事ができ、2座を一気に踏破した勢いで最終目的の赤石岳を目指しました。

荒川小屋が見えてくると・・・お花畑を鹿の食害から守るためにネットで囲まれた斜面を通ります。ここを通り抜けるためには自分で扉を開け、また自分で閉めなければなりません。鹿が開ける事ができないようにその扉にはナス環がセットされていますが、寒さに悴んだ指は操作ができず何とももどかしい事・・・。

完全に握力は失われ指の感覚はマヒし、時間ばかりが経過していきます。仕方なくグローブを外して操作するのですが、それでも普段では考えられない処理能力の低下です。
きっと厳冬期の山での遭難は、こんな状態の延長にあるのでしょうか。

写真はグローブをはめたままでは操作できなかった、ナス環。鹿どころか人間さえ開けられません。こんな扉を4か所開閉してお花畑を通過します。

荒川小屋は予定の10時前に到着、計画通りここで昼食に・・・メニューを見ても食欲を刺激してくれそうなモノはありません。仕方なく成り行きでおでんを頼んだのですが・・・これがまた袋を破いて温めるような・・・家では絶対食べたくない不味いもの。半分残してしまい・・・極限の状態で餓死しそうな時でも、食べきれる自信はありません。

私のおでんの拘りは・・・絶対に【コブ】と【玉子】と【コンニャク】が入っていなければなりませんが、何故かコプとコンニャクが入っておらず練り物ばかりのおでんでした。
不味いうえに・・・好きなモノが入っていなかった【おでん】は拷問のようでもあります。
写真は近づく荒川小屋です。

寒くて・・・お腹が空いても食べられず・・・そろそろ脚力も限界に近づき・・・二重にも三重にも試練は私に襲い掛かります。それでも・・・まるでヘレンケラーのように試練に立ち向かって、最後の3.000㍍峰【赤石岳】を目指しました。

2時間の厳しい登りを克服して、とうとう赤石岳の山頂に立ちました。百名山の81座目の登頂と、今回の山行の目的をすべて達成した事になります。この後は安全に下山する事だけに神経を集中させなければなりません。

写真は赤石岳山頂標とその右に一等三角点です。赤石岳の一等三角点は日本最高点の【一等三角点】です。最高点が富士山でも標高2位の北岳でもなく・・・有名な穂高や槍ヶ岳でもないのが、不思議だと思いませんか?
標高では7位の赤石岳に最高点とは・・・何故?
あくまで地図を作るための測量ポイントであって、標高の問題ではなかったからでしょうね・・・きっと・・・。

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