何度も言ってましたが、今日は山行の予定でした。しかし昨夜の天気予報では雨なので、中止にして朝ゆっくり起きました。しかし待てど暮らせど雨は降らず、十分に山に行って来られました。暗くなってからやっと雨らしくなり、久しぶりに恵になりました。
今日は私の誕生日。嫌ですけど・・・6α歳になりました。来年の今日からは70歳に日々近づいて行きます。今までは戻る方が近かったのに・・・。
ちなみに韓国語で誕生日は『センイル』。『セン』が漢字で言うと『生』で、『イル』が『日』です。ちなみに【生年月日】は『センニョンウォルイル』。もうわかりますよね。セン・・・生まれる、ニョン・・・年、ウォル・・・月、イル・・・日。
ちょっと知識をひけらかしました。ハングルを勉強しても、試さないと力にならないので、韓国旅行も早く行きたいんですけどね・・・。
さて今日も小説まがいの遡行記にお付き合いください。第3回です。
《挑戦》
全員が思わず「ウワァーッ」と声を発した。なんと沢はここで行き止まるかのように、天から落ちる滝となって岩壁の奥へと消えている。
この滝の下にもすばらしい釜があり、きっと大物がいたことだろう。しかし、だれももうそんな余裕は無い。この先どうしたらいいんだ。林道まではまだ6~70メートルもあるにちがいない。
最初の草つきこそまだ角度はゆるやかだが・・・。それでも75度はあるだろう。10メートルも上ると岩壁は完全に垂直である。装備は25メートルの6mmザイル一本。
リーダーとして私は「撤退」の決断をすべきだった。しかし、トップがクリアさえすればと考えていた。ゆるされない過ちである。
鉄人がアタックを開始した。25キロもあるザックを背にしたまま・・・。25メートル付近まで上った鉄人が、木にザイルをしばり下に降ろした。そしてさらに横にヘツり(横に移動する事)ながらアタックを続けて行く。
続いて素人がザイルを頼りに上った。25メートル付近から素人も潅木(かんぼく⇒低い木)に掴まりながらヘツりだした。
しかし素人の右上方で鉄人は、支持点が見つからず完全に立ち往生していた。下から声をかけると、「ダメだ」と言う様に首を振っているのが見えた。
この時、上では鉄人が素人に「これ以上無理だから戻れ」と声をかけている。ザイルから相当離れてしまった二人は、進むに進めず戻るに戻れない状況に陥ってしまった。
それでも二人は岩壁と懸命に戦っている。私は完全に行き場を失った二人を、下からただ見ているだけしかない。実に苦しい時間が続いた。
じっと耐える時間が続いた。私の頭の中では色々な想いがかけめぐった。最悪のケースも頭をよぎった。こうした状況が改善されようとしないまま続く。
だがやっと状況が動き出した。再び鉄人が上りだし潅木帯の中に消えて行ったのである。一方、素人はヘツりながらザイルに戻ろうとしている。私は必死に声をかけた。
「左の木に掴まれ! 」「木がしなるからザイルのところへ降りれるはずだ」などと・・・。やっとの思いでザイルにたどり着いた素人は、何とか無事に戻ることができた。
素人に鉄人は「何とか上りきる。」と言った。確かにあそこからでは戻る事は不可能だったろう。
「鉄人なら大丈夫だ。やつならやってくれる。」私はそう信じていたが、しかし、目に見えない状態が長く続くと不安は募る一方だ。
下から二人で声をかけるが、ロケーションが悪すぎた。鉄人からの声は滝の水音でかき消されてしまうのである。
明日に続く。写真はこの日のモノではありませんが、後日の大石川西俣の下流部です。増水しても逃げ場のない川なのが良く判ると思います。
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