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谷川岳 Ⅲ

百名山・上信越

山頂は全くガスに覆われ眺望は利きませんでした。今日こそは確実に360度の視界が開けると信じて登ってきたのに・・・ガッカリです。

渋滞で進めないほどの人の列ですが、来た以上はオキノ耳にも行くことにしました。行っても眺望は得られないとは解っていました。と言うのはトマノ耳の僅か10分先にそびえるオキノ耳が見えていないんです。

ところで谷川岳のように頂上が二つある山を【双耳峰(そうじほう)】と言います。
耳が二つある・・・と考えられています。有名な山としては後立山連峰の鹿島槍や南アルプスの塩見岳があります。

多くの山の耳の呼称は【南峰】【北峰】などと言うのがほとんどです。ところが谷川岳は【トマノ耳】と【オキノ耳】と呼ばれるんです。
意味は良く解っていませんが、北海道でペンションを営む友人が昔教えてくれました。

彼はバリバリの岩屋でバリエーションルートもアタックするほどの山男でした。当然谷川にも何度も挑んでいます。その彼が言うには
【トマノ耳】は・・・手前側という意味でこの地方では『とばっかた』と表現しますが、それが『とまっかた』→『とまっかたの耳』→『トマノ耳』
【オキノ耳】は・・・海などでも使いますが向こう側という意味で『おきがわ』→『おきがわの耳』→『オキノ耳』になったそうです。彼も聞いた話だそうですが・・・。

この彼、実は私の山の師匠なんです。アルプスの縦走なども彼が始めて経験させてくれました。早いもので20年近い歳月が流れています。
そんな山行の中で忘れられない体験があるんです。奇しくもその場所はやっぱり谷川岳でした。

ホームページの【谷川岳】の山行記にも書かれていますが、一緒に登った仲間が行方不明になってしまったんです。本当に慌てました。
実際には天神尾根を下った勢いそのままに、熊穴沢避難小屋から道を間違えて二股に下ったのです。それを知らない私と師匠は懸命に捜索(?)しました。
師匠の中では忌まわしい記憶となっているはずです。

山では確実に確認しながらの行動が大切です。今でもあの事故は私の中で、忘れてはいけないエピソードとして記憶されています。常に行動の指針にしています。昨日も言いましたが・・・山を必要以上に怖がる必要はありませんが、しかし細心の注意を払いながらの行動も忘れてはいけません。服装もその一つの要素という意味で申し上げました。この行方不明事件の詳細は私のホームページでご覧いただけます。

写真は忌まわしい記憶が甦る【熊穴沢避難小屋】です。

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