花は・・おそかった・・・苗場山
平田影郎
先週の雨飾は今年初めての本格山行ということを割り引いても、登り返しのパンチが効いた。今週は何が何でも登り返しのない山行にしたい。しかし選んだ山は知らなかったとはいいながら、登り返しがきつい苗場山。この程度の山では下調べを軽んじる自分が怖い。
和田小屋までは何度か行ったことがありリフト小屋に駐車スペースがあることは知っていた。往復で40分ほど得が出来たがあえて下から歩くことにした。そのお陰でヤナギランやシモツケの群生を見ることができた。
和田小屋で100円支払ってトイレを使わせてもらった。綺麗に手入れがされていて実に気持ちがいい。豊富な水を利用して洗い流した事が良く分かった。
登山者はポツリポツリで静かな山歩きだ。下の芝が近づくに連れてイワショウブが目を楽しませてくれる。上の芝ではさらにすごい。一面イワショウブに覆われている。振り返ればダイナミックに平標・仙ノ倉が空を覆っていた。
神楽峰からは鳥甲山・頸城の山々が目の前に展開する。堪えられない・・・思わずため息が漏れるようなロケーションである。
雷清水で一息ついて、さあ最後の登りである。稜線にはタカネナデシコやハクサンフウロも僅かに見受けられたが、時季としてはやはり遅かった。が・・ウメバチソウは可憐な花をつけていた。30分ほどのきつい登りを喘ぎ喘ぎ・・・頂上に飛び出すという感じで平原の片隅に立っていた。辺りは僅かなリンドウと圧倒的なイワショウブに覆われ、遅いとはいえやはり花百の山だ。
神楽峰で写真を撮っている私に「なんと言う花ですか?」と声をかけてきた岐阜からの老夫婦。ご主人は常に奥さんを置きざりにして歩いている。奥さんは「いつも主人はこうなんですよ。思いやりがない」などといいながらも、仲良く50座を超えたと言う。とうとう下山するまで一緒であった。
頂上では一気に人が増え、むしろごった返していると言っても過言ではない。小赤沢からの登山者が多いのには驚いた。
学校登山も行われいかにもアルプス県、長野である。
30分ほど木道を周遊し下山にかかる。相変わらず山々がダイナミックだ。膝には支持力がなく帰路は3度も転倒してしまった。1度は頂上からの下りで背中から地面に落ち、もう少しでがけ下へまっ逆さまであった。
やはり疲れていたのか赤城高原辺りで目が重くなり・・・一瞬眠ってしまったようだ。舗装の切れ目でタイヤがバウンドしその衝撃で目が覚めた。完全にハンドルにうつ伏していた。今年はもう無理な山行は止めよう。命あってのモノダネ・・・である。