観音平からのコースで・・・西岳・編笠山
平田影郎
シーズンの終わりに来て、やっと八ヶ岳に挑戦出来る程度に脚力を作れた。
全くコロナ禍出の生活は山の計画どころか、人生計画まで変更を余儀なくされる。
人生の残り少ない時間の有効活用を考え、そしてライフワークの完遂に少しでも近づくためには面倒でも挑戦し続ける気力が大切。
とは言いながらも厳しいメジャーな山行は、ちと怖い。
ここは安全策で・・・まだ八ヶ岳に残された未登頂の【西岳】がターゲット。そして西岳を上るなら当然登頂済みではあるが編笠にも。
西岳を終了すると八ヶ岳の主脈の山はほとんど制覇したと言える。
計画ではゴルフ場から西岳を登頂後、青年小屋を経由して編笠に上り、そこからゴルフ場に下ると言う周回コースの予定だった。
しかし現在の脚力では難しいかもしれないと思い直して、観音平から直接青年小屋を目指す最も楽と思えるコースに変更。
編笠山への登りから逃げた計画に変更。ここはくだりでりようしよう!
観音平はアプローチが楽で、私としては好きな登山口だ。
仮設の管理トイレもあり、駐車場も広い。
そして編笠にしても権現にしても、それほど難しくないコース取りが可能だ。
この登山口から赤ちょうちんがぶら下がる青年小屋の居酒屋に通う人がいるほどだ。
登り始めて1時間。丁度休憩を取りたい頃に【雲海】に到着。脚力に自信が持てず、ゆっくりだった。
紅葉が始まってはいるが、イマイチ綺麗に映えずなんとなくくすんだ感がある。
新しいシリオの靴は快調で、数年ぶりに足が痛くない山歩きを楽しんでいる。
更に1時間弱で【押手川】に到着。この辺りが最も紅葉が綺麗で、今が盛り。あたかもモミジを植林したように、素晴らしい彩だ。
押手川からは編笠へ直登する厳しい上り1時間に挑むか、それを回避して比較的斜度の無い青年小屋へのコースを取るか・・・迷う。
がっ、予定通りに西岳到達に主眼をおいて、編笠へは帰路に登ることにして、青年小屋コースへ。
いうほど楽なコースではないが、さりとて年寄りには無理だと言うコースでもない。
1時間で青年小屋に到着。既に閉鎖されているのか、いつもの赤ちょうちんは下がっていなかった。
小屋前には5組ほどの登山者が休憩していて、私が休憩している間に権現岳方面に登って行った。
西岳に向かう人は居なくて、少し寂しい。
一方、テントサイトには二張のテントがあったが、撤収するようで片付けが始まっていた。
西岳までは比較的平坦なコースを小1時間。実際には40分程度なのでザックをおいて空身で向かう。
途中ゴルフ場をスタートして、西岳→青年小屋→網笠山→ゴルフ場へというお年寄りグループと遭遇。15分ほど話し込んでしまった。
お年寄りとは分かれて、西岳へ。
ゴルフ場から西岳への登りは長くて辛かった・・・と。急遽、観音平からに変更して正解だったようだ。
西岳に到着するが、誰一人登山者はいない。如何に人気がない山なのか、想像に難くない。
八ヶ岳主脈の山並みからすれば、やはりマイナー感は否めない。
私のように・・・歩いたコースに赤線を塗りたいなどという特異な目的でもない限り、あまり挑む人はいないだろう。
眺望はというと・・・ほぼ目線の高さに青年小屋があり、その右手に編笠山が聳えている。
下界を見下ろす感じの眺望は得られないのが、不人気の一つの理由かもしれない。
歩いてきた方向を見ると、水平歩道のように尾根に沿って、青年小屋へと道は続いている。
木立の切れ間が、その見えない道を想像させてくれる。
青年小屋に戻り食事にする。おにぎり三個とバナナとジェル。心もお腹も満足感と満腹感でいっぱいになる。
数組が休憩していたが、ほとんどのパーティが編笠に行かず、押手川に下って行った。
そのうちの1パーティ・・・若者の集団だが、私が編笠山から下山にかかると、途中で登ってくるのと出会った。
話をするとこのままでは物足りないので、押手川から戻り返して編笠に登ろうと仲間で話がまとまったという。
面白い試みではあるが、若くて体力に自信がある年代だけが楽しめる方法だ。今の私はそこまで苦労したくない。
青年小屋から編笠への取り付きは大岩のゴーロ帯。隙間に挟まると動けないような大岩が続く。
それを飛び跳ねるように移動を繰り返して、ゴーロ帯を抜ける。
振り返ると眼下に青年小屋、遠くにはギボシや権現岳が聳える。
数年前にギボシのトラバースを経験しているが、まあ一般道としては危険マークが付くような箇所だ。
青年小屋から30分で網笠山山頂に到着。広い山頂はミニ蓼科山の感がある。大岩ゴロゴロは似た感じがする。
西岳と違ってこちらの眺望は別格で諏訪湖から富士山、南アルプスそして八ヶ岳の主脈から蓼科山まで、360℃の眺望。
こちらは保田氏のおすすめベスト10に入れても良いほど素晴らしい。
その割には今日は時間が遅いせいもあって、登山者が一人もいない。
一人いたけど偏屈な若者で、あいさつをしたけど無視して下山していった。
編笠からの下りは結構厄介で、これを登りに使っていたら失敗だったと思うほど厳しい。ただ厳しいのは1時間と思うが。
数年前の前回は登りに利用したけど、全く厳しいと言う記憶が残っていない。厳しかったんだろうけど、短かったから記憶に
残らなかったに違いない。