アマギシャクナゲ真っ盛り・・・天城山(万二郎・万三郎)
平田影郎
伊豆に車で行くのは億劫で・・・伊豆東海バスの時刻表をインターネットで調べると8時55分に伊東駅を出発する天城高原ゴルフ場行きがある。
本庄を5時40分発の高崎線から追っていくと伊東駅に8時50分に到着する。十分間に合う。そこまで調べて電車で行く事にした。ところが到着してみるとバスがいない。
隣のバスの運ちゃんに聞くと“3月いっぱいで55分のバスはなくなり、30分のバスは既に出てしまった”と言う。
案内所で聞いてくれと言うので行ってみると、受付のおねーチャンが少しも悪びれず新しい時刻表を差し出した。
インターネットでおたくのホームページで調べてきたのにおかしい、一ヶ月以上も時刻表を更新しないのはおかしいと抗議しても、おねーチャンは『私が悪いわけではない』という素振り。
確かにそうだ。また会社が悪かったと認めたとしても私一人のためにバスが出るわけではない。次は10時30分。待っても良かったが空模様は何か怪しい。早いうちに登った方が良さそうだ。
6,000円も払ってタクシーを利用してしまった。こんなことなら車にすべきだった。のっけからトラブルに見舞われた山行であった。
さすが人気の百名山、団体さんも多い。出発が遅いので戻ってくる人ばかり。速いペースで登って行くことが出来た。帰りのバスは3時半まで無いので・・・早く歩けてもそれ自体にあまり意味がないのだが・・・。
万ニ郎で休むことも無くそのまま万三郎に向かった。もっと単純な尾根歩きと思っていたが結構なアップダウンである。それでも他の山とは比較にならない。危ないところがあるわけではないが捻挫には注意しながら快調に進んだ。
何とか天気は持ちそうだったが元々眺望は望めない山、登山道は木々に視野が遮られている。登山道の脇に咲くシャクナゲが唯一の楽しみである。
それにしてもシャクナゲは見事だった。花の百名山天城の面目躍如である。アマギシャクナゲという固有種らしい。
確かにアヅマシャクナゲと比較しても赤色が強く出ているように感じたが、植物学者でもないので固執するつもりは無い。
『同じだよ』と言われればそんな気もする。
万三郎に到着し弁当を開いているととうとうパラパラと落ちだした。妻が出がけに握ってくれた玄米にひじき等を混ぜ込んだ炊き込みご飯である。
車で来ればお湯ぐらい沸かすことができる道具を持ってきたはずなのに・・・あくまでも電車が祟る。
早く下山してもバスが無いのは解っていた。ゆっくり下山したがそれでも2時間かからずに下りてしまった。タクシーを呼ぶにしてもまた6.000円の負担は気が重い。東海バスに電話をすると日曜なので2時半にバスがあると言う。
1時間以上あるが待つことにした。
小雨がパラつき風は強く汗をかいた状態では寒さがこたえる。ウロウロ歩き回って寒さを紛らわせた。それでも辛いときにはトイレの中で寒さを凌いだ。
誰かがトイレに入ってきた時にただ立っているのはいかにも変なので、水道を使っている振りをしながら。
そんな時は時間がなかなか進んでくれない。車で来なかったことが悔やまれてならない。車で来ていれば今頃はもうどこか温泉に浸かっているはずである。
バスにやっと乗ることができ伊東駅に到着すると直ぐに踊り子号が発車すると判り、急いで飛び乗った。結局温泉は無しである。
外湯回りでもしようと思っていたのに、それも億劫になっていた。
早く下山したら新婚旅行で泊まった宿を探して見ると妻に約束していたが、ぜーんぶ、全部億劫になってしまった。
反面、いいことも有った。踊り子号では当然ビールを飲んでいい気持ち。列車はガラ空きで一両に数人ずつという状態。車ではこんなゆったりゆっくり感を味わうことが出来ない。
どんなことでも一長一短・・・である。