何とか歩けた高ボッチ高原・鉢伏山
平田影郎
骨折以来休んでいた中山道を『そろそろどこか行きたいね』という妻の一言で、和田宿からの続きを下諏訪までやることにした。峠道でしかもこの暑さ、骨折した足に対しても自信は中途半端。この区間は【いろいろ旅】の特権を生かして車で行くことにしました。そして下諏訪で秋宮にお参りしてから花を見るために高ボッチに向かったのです。
明日だと思っていた【草競馬】が実は今日で、道は交通規制が実施されていました。ですが既にお昼を回っていたので、通してもらうことができました。8キロ程の山道を何台かのシャトルバスとすれ違いながら進むと、遠くから・・・マイクを通した声と多くの人々のどよめきが聞こえてきました。一気に開けたその場所には上り旗が立てられ、多くの観客が行き交い、想像以上の馬たちが動き回っていました。林の中で休んでいる馬もいます。一年一度のイベントを楽しんでいる様子がひしひしと伝わってきました。
妻が『競馬はイイヨ』というので、私たちはそのまま鉢伏山の方に進みました。そこからは多くの花々が咲き、それを楽しむ多くのハイカーがいて、何より清清しい高原の風が吹き渡っていました。
ハクサンフウロやタカネナデシコが足の踏み場もないほど咲いていました。何度も車を降りて花から吹き渡る風を感じました。ゆっくり走行しながらも窓を大きく開けると、風は私を吹き・・・妻を撫でて・・・そして再び花の咲き乱れる草原へと通り抜けていきます。
やっと一台がとまれるほどの道端に車を止めコーヒーを落として飲みました。こんな何の変哲もない時間が私たちには無常の〝シアワセ〟なのです。
花を写そうと草むらを手で押し広げると、ちょうどセミが羽化しようとしていました。しばらく生態をみていました。また別の草むらでは蝶が飛び立とうとしています。そのまんまの自然がここにはありました。
アクセスは不便ですし霧ケ峰や美ヶ原、白根火山ルートより規模も小さいのですが、開発の手から逃れられている分よけいに自然の風を感じることができるのではないでしょうか。
『競馬が終わると渋滞するのでその前に帰ろう』と3時前には鉢伏山を後にしました。帰路も何台かのシャトルバスとすれ違いましたが、大変な状況は一切無くスムーズに走ることができました。やっぱり足首の関節が確り曲がらない状態では、あるくこと自体を楽しむことは無理でした。あと少し努力が必要なようです。
高ボッチからR20に出てそのまま何度目かの奈良井宿に向かいました。あの街並みを往復すると1キロ以上は有りそうですが、平らな路面は何の問題もなく、確り歩くことができました。