脳裏に残った天狗岳・・・石鎚山(天狗岳・弥山)
平田影郎
狭い道と聞いていたがすれ違う車も無く、またそれほどの悪路ではなく安心して走ることが出来る道であった。結局
交叉に苦労するほどの場所は全く無く、西条インターから40分ほどで登山口の京屋駐車場に到着できた。500円を
支払い一番旅館よりに駐車した。既にザックは準備が完了しており、靴を履き替えれば出発できる。
ロープウェイの駅まではほんの数分である。料金を確認すると往復で1,900円で、チケットを買い8時40分の便の一番前に並んだ。そして僅か6分の空中散歩で成就社駅に降り立つ。成就社の標高は1,450㍍で山頂との差は530㍍、単純に1時間で300㍍登る事が出来るとすれば2時間のアルバイトだ。
本殿で参拝をしさらに遥拝殿で無事を祈願して鳥居をくぐり抜けた。八丁坂を一旦下るから標高差はさらに100㍍は増えそうだ。そして前社の森から登りとなり、夜明峠からは石鎚山の全貌が露になる。まるで立ちふさがる屏風である。山麓や屏風に貼り付くような紅葉は、常緑樹の中に点在する程度でそれほどの驚きはない。
工事現場に設置されているようなパイプ足場の階段を登って行った。
例の鎖は膝痛もあって試しの鎖は止めておいた。前を行く若者カップルと外人数人のグループが手間取っていて渋滞が起きてしまっている。周りの状況に配慮できないのは若者ばかりと言えないところが辛い。
厳しい登りだとしても延長は4㌔弱だから、今まで歩いてきた山に比べれば比較にならない。
山頂には多くの人々がお弁当を広げ、そして天狗岳とを行き交う人々がアリのように行列をなしている。オバちゃん達が挑むのを見ていると、私が行かない訳には行かなくなってしまった。それにしてもロープウェイの乗車人数からは考えられない喧騒である。何処から湧いてきたか不思議だったが、後から【土小屋】から多くの人が登ると判った。
天狗岳には登りと下りが譲り合いながら進む。少しコースを外してしまって青くなる場面もあったが、落ち着いて見回すとスタンスが確保できて事なきを得た。
天狗岳に到着する。弥山から見えているピークは天狗の山頂ではなく、もう一つ先のピークが本当の天狗である。
紅葉は観光パンフレットなどでよく目にするあの状態で、全く非の打ち所が無い。ある失態で写真は無いが瞼の裏には確りと焼きついている。この紅葉を目の当たりにしただけで、今回遥々やって来た甲斐があった。
天狗から弥山への戻りは岩の上ではなく笹原の中のルートを選んだ。これは全く安全なコースでお奨め。しかしスリルを味わいたい人には全く向いていない。
小屋で食事を頼むとビックリ・・・たいして美味しくもないおでんが700円、カップめんが450円・・・と仰天価格。併せて1,150円も取られてしまった。下界であれば私の3日分の食費である。美味しければこんな思いをしなかったはずなのだが・・・。
成就社に戻り遥拝殿からお礼をし、ロープウェイ駅に向かった。
温泉は車を停めた京屋旅館の白いお風呂。冷鉱泉ではあるがイオン数が桁違い。ナトリュウム6,000、塩素7,600、炭酸水素6,000・・・・・高張泉のいい湯だった。