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74. 木曽駒ケ岳

片手で宝剣・・・木曽駒ガ岳

メ モ
登頂日 00/10/06(金)〜07(土)
天 候 晴れ
百名山登頂順 13番目
標 高 2,958㍍
登山口 しらび平
同行者 タケちゃん
温 泉 早太郎温泉 こまくさの湯 単純泉 入浴料 500円

タイム
場所・地点 備考
所要時間 1日目
5:00
2日目
2:00

平田影郎

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明日は山に行くんだからケガしちゃつまらない、もうやめよう・・と思った矢先、カッターナイフの刃先が小指の下を大きく切り裂いていた。病院に駆けつけると出血を認めてすぐに診察と手当てを受けることができた。がッ・・・実に六針の縫合で、おまけにギブスのように固定されてしまった。

『その手じゃ無理だ、やめよう』と上司のAは早々予定を中止してしまった。

残ったタケちゃんと私は内緒にしてでも行こうと決めた。前々から準備を整え楽しみにしていたがさすがに槍ヶ岳は自信が持てず、片手でも行けそうな木曽駒に変更した。

3,000㍍級の10月は半端じゃなく厳しいと聞かされ、U社のフリースまで購入し寒さ対策は万全である。

リーズナブルな価格の割には大活躍のこのフリース。ほぼバラック建ての木曽駒山荘の夜には参った。夕方から風が出て寒さに耐えかねて布団に入ったが、ガタガタと振るえ通し・・・もう一枚布団を重ねても歯がガチガチと鳴っている。

夕食時ストーブに火を入れてもらって、やっと震えが止まった。外に出てみると7時で既に水溜りが凍っていた。それもそのはず氷点下6℃である。10月初旬でこの気温、真冬のことなど想像もできない。やはりアルプスはすごい。

明日だけ営業して小屋は閉じられるという。フリースが無かったらとんでもない事になっていた。

ロープウェイを降りたら千畳敷カールを抜けて稜線までのきつい登りが30分。そこから木曽駒までは中岳を越して行く。中岳からの下りで左手に御岳がどっしりと待ち受ける。

山頂では焼肉パーティのグループもおり、かなり騒々しかった。少しだけ休んで馬の背の尾根を濃が池に向かい、小1時間も下ると紅葉真っ盛りの濃が池を望むことができた。

千畳敷の紅葉も素晴らしかったが、こちらの方がさらにベストタイミングで、これ以上無い紅葉を堪能できた。手を怪我しているのに・・・嘘をついてまで来たのに期待を裏切られなかった。

ナナカマドと宝剣岳
しらび平にて

紅葉を楽しんだら宝剣に向かって1時間ほどの登り返しだ。宝剣は多くの登山者が取り付いていて大渋滞。どうも下りの人たちが原因のようだ。

登るときは何とか登ったものの下りでの恐怖感に勝てないビギナーが渋滞を引き起こしている。数百㍍もスパッと切れ落ちている絶壁が足の下にあれば、足がすくんで動けなくなること請け合いだ。岩場の経験の無い人や自信の無い人は、宝剣には登らないことだ。

私も片手しか使えない状態での宝剣はやはり緊張したし、事実苦労もした。ホールドできない分肘関節で鎖を使うという離れ業は必死のなせる技でもあった。何とか無事に帰って来れた。ただ宝剣に登らなければ本当に家族で紅葉を楽しめる最高のコースである。濃が池まで直接向かえば2時間弱で着く事ができる。

岳からの御嶽
濃ケ池

お奨めは10月初旬の平日。そして朝一番のロープウェイで登り日帰りで計画した方が良い。泊まるなら下に降りてからにすべきだ。数件の山小屋はいずれも質が悪く、食事は決まってイシイのハンバーグのみである。

我々の下山は土曜日だったが登りのロープウェイの順番待ちは朝の9時で1.000人を越えていた。おそらくは20回待ちだったと思う。そのかわりご来光・空木・乗鞍・御嶽・南ア・北アと何時間でも見飽きることの無いロケーションが待っている。片手でも・・・嘘をついてでも・・・その価値はある。

温泉は市が営む早太郎温泉・こまくさの湯へ直行。そして食事は直ぐ隣にあるレストランかみじまのソースカツ丼がお奨め。

イシイのハンバーグを温めただけの食事だったから余計に美味しかったのかもしれない。

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