初の北ア、初の3,000㍍峰は大荒れ・・・乗鞍岳
平田影郎
前日に襲来した台風22号での配備体制に明け方まで勤務し、そのまま乗鞍高原まで車を走らせたから、いつもながらの無理な山行になってしまった。タフな私もさすがに燃えない。
乗鞍高原から畳平へのシャトルバスに乗り込むためにバス停に並んだ。10時発は長い行列であったが5台目に乗ることができた。沿道の紅葉はそろそろ見頃で、アマチア写真家が三脚つきのカメラを肩にウロウロ・・・。バスが高度を上げるにしたがってはっきり望めた乗鞍が、1時間で畳平に到着するまでにどんどん霞んでいった。出発時は秋の紅葉狩り日和りだったが、山頂は強い風が吹き抜け軽装備では寒すぎる状態であった。アクセスは簡単でもやっぱり3000㍍峰・・・と実感する。寒さは高度の問題であって、いくらアクセスが簡単でもは関係ないようだ。
風を受けながら我慢しながら歩みを進めるも、早々雨も落ち始めさらに我々を苦しめてくれる。小屋からの本格的な登りにかかると風は益々吹き荒れ、眺望が全く得られないまま蚕玉岳を抜けて山頂の神社前に立った。
強すぎる風、落ちてきた雨、全く得られない眺望に期待も裏切られ、ガッカリ・・肩を落としての下山だ。いつもどおり百円での祈願だったから、ご利益は少ないかもしれない。
小屋で雨具を着けたが遅すぎたようで下着までがぐっしょり濡れてしまった。その上風が体温を奪っていくので寒くて・・・唇は紫色に変色しガタガタと震えは何時までも止まる事がなかった。
ところが畳平に戻ってみると1時のバスは出たばかりで、2時のバスは残された人たちが長蛇の列を作っている。一般観光客が落ちだした雨に驚き一斉にバス停に集中したようだ。
この寒空に50分も並んでいられる自信はない。確実に乗れるかどうか解らない2時のバスを諦め、ゆっくり食事をしながら暖を取って乗れるバスに乗ろうと決めた。
ラーメンを食べ身体が温まるとやっと震えも落ち着いた。それでも持て余した時間を調整するためコーヒーを頼んだりしているうちに、雨はほとんどやんでくれた。
2時のバスが出発した後バス停を見ると、積み残されたのはほんの20人で私も3時に乗ろうと2時40分頃に列に並んだ。陽が射してきて寒さも和らぎ楽にバスを待つことができ、2時発を回避したのは正解であった。それでも頭の上では雲が渦を巻いて流れている。
とても下界では見ることが出来ない自然現象である。ここでもさすが3.000㍍峰と実感した。暖かいバスに乗ったとたん安心と疲れから多くの人が居眠りを始めてしまった。
温泉は当たり外れの少ない休暇村が無難。入ってみると乗鞍としては珍しく乳白色ではない。しかし単純泉でも炭酸分の多いしっかりとした泉質であった。
蕎麦屋さんでの食事後、沢渡第二駐車場で7時半には眠りついた。