最難関をとうとう撃破・・・幌尻岳
- 16日新潟乗船
- 17日苫小牧着、道の駅むかわ泊
- 18日美瑛・富良野 道の駅蔵泊
- 18日大雪山登山 望岳台泊
- 20日十勝岳登山 道の駅 占冠泊
- 21日弟子屈に友人を訪ねる 雌阿寒温泉公共P泊
- 22日雌阿寒岳登山、平取に移動 豊糠山荘付近泊
- 23日幌尻山荘泊
- ~24日幌尻岳登山 道の駅むかわ泊
- 25日支笏湖・倶知安 半月湖キャンプ場泊
- 26日羊蹄山登山 道の駅ニセコ泊
- 27日移動 道の駅 鹿追泊
- 28日トムラウシ山登山 道の駅樹海ロード日高泊
- 29日苫小牧乗船
平田影郎
平取の振内と言う所でホロホロと落ち合い、昼食を済まして豊糠山荘に向かう。GPSで調べると、ここから11キロ程しかない。
ところが私が前を走ったのが良くなかった。ホロホロは車窓から土埃が入るのを嫌って私と距離を取って走っていた。
なんと私は豊糠山荘と幌尻山荘を勘違いして、【幌尻山荘】の看板に導かれ、第一ゲートまで延々20㌔も林道を走行してしまった。
そこまで行ってから気が付いて時には・・・既に遅し・・・大失敗をした。バスの発着所は【豊糠山荘】なのでご注意を・・・。
戻って豊糠山荘を確認する。豊糠山荘付近は車中泊が禁止になっている。おそらく山荘に宿泊してもらう手段だろうが・・・近隣に迷惑をかけない方法なら認めてもらいたい思いもある。
しかし実際、豊糠山荘の駐車場に接したお宅の犬は、ずーっと吠え続けていたので山岳会の言い分も100㌫否定する事はできない。
折衷案としては豊糠まで行かず、途中で車中泊するしかなさそうだ。
いずれにしても【百名山人気】におんぶしたシステムも、ニーズがあってこそ成り立っているのだから・・・
変革を求めても無駄な事だとは解っている。
近くの空き地に車を入れご飯を炊いて翌日の準備を進めた。この1週間で7キロもやせた私を見たホロホロが驚き、栄養満点の酒の肴を作ってくれて早速宴会。
ちょっとはばかる話になるが、久しぶりに肉などの栄養価の高い食物を摂った私の腸が驚いてしまって、せっかくの栄養源もすっかり下って(?)しまった。
それでも・・・この時確り栄養源を摂らないと、結局は自分を消耗しながら山に登る事に気づかさせてもらって、この後北海道旅行中の食生活を改めた。
確り栄養素を摂れる食事を意識して生活し、北海道を後にするまでの1週間で3キロの体重を戻す事ができた。
それにしてもホロホロの食物摂取量は、前々から驚くほどすごい。
翌朝豊糠山荘の駐車場に車を入れて、登山準備のパッキングやトイレ。そうこうしている間に7時の出発時間になる。
完全予約制のバスなので座れないことは絶対にない。
この日は20人�程のツアーが入っていて、送迎バスは2台。1台にツアー客、そしてもう一台にその他の客
2時間ほどの林道歩きは足早に見えなくなる人、だれか先行者を前に置きながらゆっくり進む人・・・思い思いに進んで行く。
林道を1時間も進むと先に出発したツアーに追いついた。しばらくツアー客と雑談しながら進んだが、途中からヒグマの【恐ーい話し】なってしまった。
そしたらガイドがあわててホロホロや私に『先に行ってくれ』と・・・追い出されてしまった。
仕方なくツアー客の前を露払いで進む。林道を2時間歩いて最初の渡渉点に着いた。
靴をはきかえ川を横断する。この横断は前半だけでも(我々が休憩をした場所より下流)15回ほど繰り返した。
丁度残り30分ぐらいだろうと思える地点で休憩を取って食事にする。
そこで下山者に聞くと『まだ1時間はかかる』とガッカリする情報。実際食事の後にも1時間ほどで、10回以上の渡渉が繰り返された。
前半も後半も途中までは渡渉の回数を数えていたが、いずれも判らなくなってしまって正確な数は分からない。併せて30回は無かった気がする。
ここしばらく雨は降っておらず、渇水状態だった水位は一番深い所でも精々ひざ下。安心して渡渉を終えた。
この沢では毎年増水による犠牲者が出ていて・・・途中の岩の上などにストックなどが放置されているが、あれは犠牲者の所持品だったのではないのかと想像する。
山慣れたホロホロも奥さんも岩場のへつり・渡渉を難なくクリアーして13時半に幌尻山荘に到着する。比較的早い順番だった。
幌尻山荘は天気が良いと庭先に敷いたブルーシートの上で過ごすことを強要される。
ザックは建物の下の物置に保管しなければならず、建物内には寝る時だけしか入れないし、持ち込んでいいのは寝具だけ。
夜になってからヘッドランプを忘れた事に気が付くなど、いろいろ不都合が出ることになる。
受付の方ももう少しきちんと説明していただいたり、愛想を良くしていただけたら嬉しかったなあ。
別に山小屋で快適な時間を過ごしたい訳ではないが、あまりにも登山者を軽視していると感じて仕方がない。へそ曲がりな性格でうがった捉え方をしているとは思っていますが・・・。
ツアーのガイドさんなど顔見知りの方には、非常に友好的な接遇態度でしたよ。
当然反論はあるでしょう・・・『登山者の安全のためにボランティアで山岳会員が骨を折っている』・・・なんて感じの話し。
でもねそこを言いたいんですよ。ボランティア精神で奉仕の心だけでやっているんでしょうから、なおさら登山者に喜んで貰える方が嬉しいのでは。
まんじりともせずに時間は刻々と過ぎて、周囲がざわつき出したのは2時ごろ。少し早いが寝ても居られず、我々も起きだして食事の支度。
この明け方の暗い時間でも調理は外でしなければならない。
火を使うので理解できなくはない。混んでいる中で火を使うのは、いかにも危険がある。お湯を沸かして味噌汁を作り、作っておいたおにぎりが朝食。
4時にはほぼ明るくなり我々も出発する。
しかし何とも空は雲に覆われ、周りはガスが巻いている。
樹林帯を抜け尾根に出ても山頂を望むことはできなかった。必然的に楽しみは足元の花々。
眺望のない山ほどつまらないものは無いとよく言われるが、私は花も楽しみの対象なので、このお花畑には大いに楽しめた。
種類・株数・・・特に固有種のエゾツツジなどが織りなす、さまざまな彩は圧巻だった。
この時点で私がこれまでの登山で経験した中で最高に満足できたお花畑だった。
この後のトムラウシ山のお花畑で、更に更新されて2番目のお花畑にランクを下げるが。
ガスは時折払われたりまた覆ったりするも、結局は山頂での眺望は得られなかった。
それでも尾根からカールは望めたし、下山時には戸蔦別岳(とつたべつだけ)に縦走しているツアーの登山者を望めるほどガスが晴れた時もあった。
山頂は寒くて雨具を着込んでも、長くは入たくないほどだった。
食事を摂っている30~40分の間に登頂者は30人以上はいたと思うが、その中でこの幌尻岳で【百名山完登】の方が3人もいたのに驚く。
いかに・・・難しくて最後まで残ってしまう・・・と言う事が想像できる。
写真のオジサンは帰路にずっと一緒に下山するが、お酒を持ってきてみんなに勧めていた。ホロホロも御馳走になっていた。
雨の心配もありそそくさと下山にかかる。山荘まで戻り付き預けておいた荷物を回収して、再度のパッキングと食事。
時折、パラパラと雨が落ちてくる天候で少しでも早く渡渉点を越えておきたかった。
結果としては天候が崩れる事が無く、急ぐことは無かったので安心する。それでも水位は前日より5~10㌢上がっていた。
渡渉が終わってしまうと・・・予約のバスの時間は17時。12時半には渡渉が終わったので、林道歩きの2時間をプラスしてもゲートには14時半に到着してしまう。
林道では休みながら・・・遊びながら・・・
10人ほどでグループを作って下山した。
ゲートのところは虫も多かったので、林道の途中の木陰で2時間も時間を費やす。
そのおかげでゲート手前では雷を伴った雨に遭遇してしまった。
豊糠山荘に戻ってホロホロと別れて私は次の山【羊蹄山】に向かう。
ホロホロは豊糠山荘近くで一泊したようだが、私は一気に【むかわ】の道の駅まで戻り、温泉に浸かってゆっくり過ごした。
アクセスが良すぎて混んではいても、この道の駅はなんとなく落ちついて過ごせるので好きだ。
この夜は一晩中強風だった。