3日目はガスが巻く朝を迎えました。今日のコースは三俣山荘から笠ガ岳ですが、ひょっとしたら登頂せずに笠新道をいきなり下る可能性も、山荘に泊まるケースもすべて足の調子次第だったのです。広島の三人組と別れて出発です。
巻道ルートがガスで心配でしたが、トレース(踏み跡)が確りしていましたし、1時間ほどでガスも晴れましたから迷う心配はなくなりました。
三俣でキャンプをしていた人と前後しながら、笠ガ岳を目指します。
写真は雪渓を横断するキャンパー氏です。こんな雪渓が巻道ルートには数箇所残っていました。
昨日の関西のご婦人達も笠を目指したのですが、三俣蓮華に登頂したため到着は夜6時ごろになっていました。というのは、このコースはやっぱり長くて辛い。笠新道を登らずに鏡平からこのコースに上がってくる方もいましたが、大マノ岳などアップダウンは相当のものがあります。
キャンパー氏と歩いているうちに、昨年まで双六小屋で小屋番していた若者が加わりました。前後する度に会話を交わすようになり、ロケーションを見ながらいろんな事を説明してくれるようになりました。
双六小屋の夕食の天ぷらは『年寄りにはきつい』と話すと『でも、いい油使っているんですよ』。こんな話をしながら小屋番の若者と同じスピードで歩けたのですから、この時は今日中に笠に登頂して下山まで考えていました。
秩父平からの登りの雪渓では一旦トレースを見失いますが、ベンガラを見つけて事なきを得ました。ベンガラとはエンジ色した染料ですが、道しるべとして雪渓などに散布されます。
稜線に出るともう笠新道の分岐は1時間程です。今日の行程の最終結論が出ないうちに、自分の予定通りの正午に笠新道分岐に到着してしまいました。写真は笠ガ岳への稜線です。
いかにも平坦な・・・簡単に歩けそうな尾根ですが、近づいて思ったことはとても山頂までを3時間で往復できそうにない・・・ということです。
日帰りで下山するためには笠新道登山口に19時(夜7時)までに到着していないと危険が伴います。笠新道を下るのに4時間はかかりますから・・・ここに3時に戻れるだろうか・・・迷いました。大いに迷いました。
今の脚力から判断すれば山頂に行かずにこのまま分岐から下山するか、しっかり登って山荘に泊まるかしかありません。黒部五郎を諦めたのですから、登らずに下山する事などありえません。
泊りを選択して良かったです。頂上に2時間近くもいることが出来ましたし、その間にガスっていた槍・穂高のガスは晴れ、オコジョまで可愛い顔を見せてくれました。
写真に撮ろうと思って頑張りましたが、とてもすばしっこくて撮る事が出来ませんでした。それにしても可愛い顔していました。
山荘ではブロッケンも現れたのですが、2階から走って降りる間に太陽は雲間に隠れてしまって、私の姿がガスに映し出されることはありませんでした。
頂上で知り合った沢登の先鋭的集団【わらじの会】のメンバーだったT氏と槍・穂高を眺めながら冷えたビールを飲み、韓流ドラマやアウトドアの話に花が咲きました。
笠ガ岳山荘に泊まる事を選択したことは正解でした。翌朝のご来光は感動的で自分でも震えが来るような写真が写っていたからです。
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