蝶ガ岳に登った日のことです。山頂は30㍍はあろうかという強風で、そそくさと下山にかかりました。お花畑まで下ると反対斜面のため、風はほとんど当たらなくなりました。そしたらザックの中で電話が鳴っていることに気が付いたのです。
さっそくザックを下して電話を取り出すと仲間の一人だったのですが・・・我々が【親分】と慕う人を招いての飲み会の話でした。こんな話は山を歩いている時でも、大いに歓迎です。
先日、塩見岳に登った時も記載しましたが、ドコモからの発注で業者さんが小屋にアンテナを設置していました。このお蔭で三伏峠小屋周辺はカバーされたことになります。この後も【木曽殿越し】や【南木曽岳】の発注も受けているそうで、カバーされる地域はどんどん増えていきます。
事故があった時などは大いに有効ですが・・・繋がりすぎると・・・実は不便な時もあるんです。昔、御嶽山に登山中、電話が鳴りました。御嶽は独立峰ですから、斜面で結構下界の電波を拾うようです。
電話に出てみると当時の会社の部下で、休日の出勤担当者からでした。『現場でこういう事故が起きました。どうしましょうか?』
当然上司には報告の義務があるので電話そのものは良いのですが、現場も見ておらず状況もわからない私に『どうしましょうか?』と聞かれても答えに困ります。
『私は状況が解らないので正しい指示はできない。あなたが最善だと思う対応を取なさい。結果の責任は私が取るから』と言うしかありませんでした。長年、現場でメシを食っている部下の技術力に頼るしかありません。
期待に応えられる部下ならいいのですが・・・私はあれこれ他の部下に連絡をしてフォローさせる手配をしました。
ここで大切なのは・・・頂上目前だったことです。登頂を放棄して現場に駆けつけるほどの仕事人間ではなかった私は、確り残りの標高差200㍍ほどを登って頂上に立ちました。
この日は10月と言うのに御嶽に雪が降りました。下山時は電波の状態が悪く、登山口の田ノ原に着いても電話は繋がりませんでした。本当はこの後更に二日間恵那山などに登る予定出したが、泣く泣く中止して一路埼玉を目指しました。
電話が通じるところまで下って会社に電話を入れると、何度電話しても繋がりません。きっと現場で奮闘していると判断し、山行を中止し会社に向かった自分を心の中でほめていました。
高速で大分埼玉に近づいたころやっと電話に出てくれる人がいて・・・ところが社員は誰一人残っておらず、下請け会社の人が電話口で『皆さん1時間ぐらいで帰りましたよ』
全く、高速を数時間走っていた間に十分可能だった『無事終わりました』ぐらいの連絡をしてくれても・・・と、嘆いていたのを思い出します。
責任を持って対応し後で報告してくる優秀な社員もいれば、報告したというアリバイ作りにだけ電話をしてくるダメ社員もいます。一時間もかからず対応できる問題を『どうしましょうか?』って・・・普通・・・聞いてきますか。
何年この世界でメシ食ってんだ・・・と思わず怒鳴りつけたいような社員。皆さんの会社には『どうしましょうか?』という社員は・・・いますか?
電話が繋がるのも善し悪し・・・もっとも社員教育ができていない会社力の問題を、電話に責任転嫁してはドコモに申し訳ない気もします。
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