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旅あれこれ 関東36【国宝 阿修羅展】

国宝 阿修羅展 【東京・台東】

2009/04/04

 法相宗大本山興福寺が【創建1300年】を迎え、上野の国立博物館では国宝の阿修羅像など70件が展示される【国宝 阿修羅展】が開催されています。最近どうも出かけるのが億劫気味で閉じこもりに近い状態でしたから、山仲間の通称先生の力を借りて無理に出かけました。妻も気分転換をしたかったようで『私も行く』と付いてきました。

 テレビでは初日の入場者数を報じていましたが、平日にも拘らず何と10000人を突破したようです。どれほどの混雑になるのか計り知れません。いつもならここで急遽辞めてしまうのですが、先生と待ち合わせていましたから出かけないわけには行きません。約束した事が引きこもりを止められた大きな要因のようです。

 もう一人仲間を誘ったのですがどうしても他の用事があったようで『仏像は拝めませんが家で阿修羅や風神・雷神の外見をした人を見ています』と断られてしまいました。ところが興福寺の阿修羅は普通考えられる阿修羅のイメージと違って優しい顔立ちの仏様ですから、結果としては彼の言った内容は正しい事になります。それとも知っていて自慢げに言ったのでしょうか。皆さんの想像にお任せします。

 西洋美術館の手前にある案内所では9時からチケットが販売されますが、そんなに込み合うと思っていませんでしたから求めずに博物館に行きました。ところが既にチケットを持っている方の列が折り返しで伸びています。慌てて先生が9時から販売する案内所に戻る事になりました。その間に並んで番を確保しようとしたのですが係りの方にチケットの保有を確認され、持っていない私達は当然のように列外に押し出されてしまいました。

正門の大看板
9時前にはこの人だかり
桜が咲き誇る上野公園

 先生が戻ってくるまでの間にも列は伸びて、敷地内に誘導されてなお伸び続けます。そうこうしている間にチケットを求めた先生が戻ってきました。そして私達が誘導される頃には先頭が平成館の玄関に到達していました。それでも開館時刻にはまだ間があります。どれほどの列が出来るのか・・・とうとう平成館前のスペースを利用してつづら折れの列が出来上がりました。それでも一旦入場が始まると人の波はあっという間に平成館に飲み込まれていきます。

伸びていく長い行列
玄関までまだまだ
つづら折れに伸びていく
ピクチャーウインドー

 和銅3年(710)に藤原不比人によって創建された興福寺は、これまでに七度焼失すると言う不幸に見舞われています。その苦難からのがれて国宝に指定されている阿修羅像を初めとする【国宝 八部衆(はちぶしゅう)像】、釈迦に従った【十大弟子(じゅうだいでし)像】、今回再建されている中金堂に安置される【薬上菩薩・薬王菩薩】、運康作の持国天などの【四天王像】、さらには運慶作の釈迦如来像頭部、中金堂の須弥壇(しゅみだん)から発見された鎮壇具などが展示されています。

 会場は〝押すな押すな〟の状態で危険を感じるほどでした。最初に展示されている鎮壇具の場所は一向に人並みが動く気配すらなく、諦めて仏像が展示されていくコーナーに移動しました。結果としてはこれが正解で仏像類は間近でしっかり拝観することが出来ました。八部衆は珍しい表情が魅力的です。十大弟子は現存する6体の展示でしたが、仏の衣に施された細工や部分的ではありますがいまだに鮮やかに残る色彩に驚かされました。

 薬上・薬王の両菩薩立像も運康作の四天王像も荘厳さ・迫力に圧倒されました。肝心の三面六臂の阿修羅像は流石に黒山の人だかりでしたが、最前列でしっかり見ることが出来ました。正面のお顔がやはり一番完成度が高いと感じました。他の二面は何か表情がいまひとつ違うような気がします。

 法隆寺から特別に出展された阿弥陀三尊像も、およそ千数百年前のものとは思えないほど、素晴らしい輝きを放っていました。

 長蛇の列が納得できる・・・本当にビックな催しでした。この後常設展もいくつかのコーナーを楽しんできました。日本に伝来し日本特有の美意識と融合して作り出された文化を感じ、いにしえ人の思いに触れた一日でした。どうして皆さんはこんなに並んでまで仏像を見ることに価値を見出せるのでしょうか。私の場合は美術品的な価値というより信仰の対象としての要素が強いかもしれません。浄土信仰のような・・・。

 何となく引きこもりは解消されたような気がします。

阿修羅像
迦楼羅(かるら)【八部衆】
薬王菩薩立像
持国天像【四天王】

 ※ 上の写真は主催者のパンフレット、図録等から借用しています

 食事をしようと思ってレストランを数店まわったのですが、順番待ちばかりでした。アメ横に移動して待たずに入れる店に入りましたが、やっぱりいつもどおり不味い店に当ってしまいました。妻にいつも言われます。『あなたは美味しい店で食べる事ができない人だ』って・・・。

 それでも久しぶりに触れた友の軽妙な会話は、不味い食事を補って余りある程に私の憂鬱を霧散させてくれました

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