本谷釜瀬林道の紅葉はベストタイミング・・・瑞牆山
平田影郎
朝どうしても起きる事ができなくて高妻山の予定が瑞牆になってしまった。こんな天候に恵まれた日は、早起きして厳しい山を片付けておいたほうがよかったが・・・。
信州峠を越えて本谷釜瀬林道に入ると紅葉が真っ盛りだった。ベストシーズンの紅葉を車を降りては夢中になって写真を撮っていたので、山荘到着は10時になろうとしていた。
心配したとおり駐車できるスペースが無い。路肩でさえ1台分の隙間をやっと確保できた状態であった。
私同様にゆっくりスタートする人が意外に多いのには驚いた。登山口に次から次と吸い込まれていく。この山はやはりこの時季と考える人が多いのだろう。ベストシーズンの休日は本格的な山行に使い、マイナーな山はベストシーズンを外してという考えは誰しもが同じようだ。
富士見平小屋までは30分程で着いた。実に歩きやすい優しい道である。沢を渡り登りにかかると例の二つに割れた岩が正面をふさいでいた。道はその岩を回りこむと一気に高度を上げていく。
いたる所に足を投げ出してダウンしている人がいる。岩場の急登にアゴを出しているのだろう。鍛錬などという言葉とは無縁の人が、いきなり挑戦しようと思える山なのだろう。
この一気の登りで数百人を追い抜いた。岩場には絶対の自信を持っている上に、ここ数週間で歩きこんだ脚力だ。面白いように高度が上がっていく。振り返ると屹立した奇岩越しに黄葉のカラマツの林が展開していた。一度の休憩を挟んであっという間の山頂到着であった。
それ程広くは無い山頂は食事をとる人で溢れかえっていた。頂上標での証拠写真も順番待ちだ。食事をしながら様子を伺い、隙を見て写真を撮ってもらった。食事中も360度の眺望を楽しむことが出来た。
下りは富士見平小屋を過ぎてから林道を下った。登山道よりはヒザにダメージが無さそうに感じたからだ。赤や黄色の絨毯を踏み
ながら歩くのは実に気持ちが良い。この時季ならではである。余りの気持ち良さにゆっくり歩きすぎたのに加え、林道は大きく迂回していて登山道を登った往路よりはるかに時間を要してしまった。
温泉は《みずがきランド》に寄る。受付のおネーサンは親切だし、ノンアルコールのビールは置いてある。
沸かし湯で少ない湯量という悪条件ながら、かけ流しにこだわっているのは立派である。更には空いていて600円なら文句は無い。30分ほど須坂市のご夫婦と話し込んでしまったが戸隠蕎麦の《仁王門屋》を教えていただいた。丁度数日後に高妻山に挑戦だ。そんな時期に戸隠蕎麦の情報とは、これもグットタイミングだった。
初めての三国峠を越えて中津川林道を走る。梓山から大滝を目指せば時間は大幅に短縮できるはず・・・だった。
長野側は舗装済であったが埼玉側は一転して胃が踊るようなダートの悪路。救いは中津川林道の今を盛りの紅葉だが、切り立った崖沿いに続く林道では脇目も儘ならない。その上対向車が何時飛び出してくるのかヒヤヒヤで、30キロがやっとの走行だ。走っても走っても終わりの見えないダート道。
暗闇が迫る悪路で神経をすり減らし、今週もやっぱりヘトヘトに疲れてしまった。簡単山行の筈が。佐久を廻って帰るべきであった。