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旅あれこれ 東北18【松島で芭蕉を偲ぶ】

松島で芭蕉を偲ぶ・・瑞厳寺

2005/10/01~02

 電話の向こうから母の引きつった叫びが飛び込んできました。父が倒れて救急車で運ばれたというのです。話の様子からは脳障害のようでしたが、病院に駆けつけた兄に電話を入れると父は話をしていると言います。そして『多分大丈夫だから来なくていいよ』との事。明朝まで様子を見ることにしました。母は冷たい息子と思ったかもしれません。

 翌朝寝ている間に兄から電話です。意識も確りしていて、ドクターも『このまま出血が止まる』との見解です。が、とりあえず朝一番の新幹線で田舎に向いました。途中で娘が乗ってくるはずです。降車駅で娘と会うことが出来ました。歩いて病院に向います。孫を見た父は大いに喜びました。どうやら大丈夫のようです。

 妻も父に会いたいというので3日後の土日を利用して車で出かけました。気丈な父も大分気弱気になっていて、妻の顔を見るなり泣き出してしまいました。病身の妻には自分の弱った姿を見せたくなかったのでしょうか。倒れた翌日に私と娘が駆けつけたことは記憶にありませんでした。この病気の特徴です。左手にほとんど力が入らないので、左側に少し障害が出るかもしれません。様子を確認した妻も安心できたようです。病院のシステムで長居をさせてくれませんから、心を残して病院を後にしました。

 宿を探しましたが生憎この日は全国規模のスポーツ大会が開催されていて、県内で宿を見つけるのは至難の業でした。とにかく埼玉に向かって田舎を離れました。途中、妻が行ったことの無い松島に行こうということになりました。私自身も45年振りぐらいです。行き当たりばったりの思いつきですから、どんな旅になるのか不安です。
 
 魚の美味しい民宿はないかと探しましたが、全く情報を持っていませんし既に17時です。不本意ながら不本意な宿に決めるしか選択肢はありません。夕食は外に食べに出ます。しかし既に陽は落ちて夕闇が辺りを包んでいます。僅かにオープンしている食堂を覗いても食べたいような雰囲気が湧いてきません。案の定、選んだ遊覧船発着所近くの店は最低でした。一見の客相手の観光地では当然でしょう。妻のホタテ焼き定食も私の刺身定食も、海の近くで食べたものではありませんでした。話になりません。こんなことをしているからどんどん観光客が減ってしまうのでしょう。 
                          
 翌朝、奥松島を目指しました。綺麗な海とそこに浮かぶ幾つもの島々を見たかったのですが、ビューポイントを見つける事が出来ませんでした。事前の情報収集を怠った結果です。芭蕉が感激した松島は遊覧船で回るしかないのでしょう。天候の影響もあってか何かすっきりしない島影ばかりで、期待はずれの感が残りました。45年前は遊覧船から見たのかもしれませんが、既に忘却の彼方です。

【松島の島影】
【ビックリするほどの芭蕉の人形】
【僧侶の修行場】

 伊達家の菩提寺である瑞厳寺に参拝します。第三代天台座主【慈覚大師円仁】が828年に開いた寺ですが、宗派変えがあり現在は臨済宗妙心寺派の禅寺となっています。みちのくには円仁によって開かれた寺が多くあります。平泉の中尊寺・毛越寺、山寺の立石寺、恐山の菩提寺(円通寺)などです。いずれも名刹として夙に知られています。

 霊場としては恐山や山寺が《いかにも》という気がします。豪華さや話題性、歴史ロマンの壮大さは平泉が圧倒的に上でしょう。しかし宝物類は瑞厳寺が上と感じました。鎌倉幕府の庇護を受けて大いに栄えたものの、戦国時代には寺勢は衰えました。が、やはり伊達家の力に寄る所が大きいのだと思います。しっかり家族の健康をお願いさせていただきました。寺側では恐山を除く4つの寺を巡る旅を《四寺廻廊》と名づけてキャンペーンを実施しています。図らずも私は達成してしまいました。やっぱり・・・嬉しいものです。当然、近いうちに叡山と恐山にも行くことになるでしょう。

 仙台を目指す途中、塩竈の仲買市場を発見しました。妻がこういう所を見逃すはずがありません。アクセスも便利で港に向う大きな通りからすぐで、駐車場も十分にあります。それでも暮れの買い物をする時期には車が溢れるのでしょうけど・・・。飛び込んでみて驚きです。店舗数などの市場としての規模、品揃えなど寺泊などとは比較になりません。三崎に次ぐマグロの水揚げ高を誇る塩竈らしく、マグロの店は充実しています。どの店も競争で安さ爆発です。試食だけで一食分に十分だと思います。なかなかそれを実施するには勇気を必要としますが・・・。海から揚がったばかりの牡蠣もコイン2枚で、その場でレモンをかけて堪能できます。
 
 仲間にこういう場所に目が無いのがいます。毎年正月の準備に寺泊に出かけていますが、今年は塩竈を薦めます。きっと夢中で品物をあさると思います。旦那(鉄人)の嘆きが聞こえるようです。考えてみれば寺泊でも川越(鉄人宅)から3時間半はかかります。塩竈も4時間ぐらいでしょうから、十分現実的です。
 
 我が家はいつもの事で、私の大好物のワタ焼き用のイカ、キンキの開き、甘露煮用の秋刀魚などを求めました。イカのワタは私にとって三大珍味のフォアグラより価値が上です。と言ってもフォアグラを口にした事はありませんが・・・。

 買った魚の始末は家に帰り着いてからが勝負です。魚に関して妻は一切手をだしませんから・・・。

 氷水に入った秋刀魚を20匹も処理すると手は冷たいのを通り越し、もぎれるように痛みます。それはそれは辛いものがあります。

 海鮮丼ののぼりを立てた美味しそうな食堂もありましたが、残念なことに詰め込んだ朝食のお陰で胃には少しもスペースがありませんでした。

【瑞巌寺山門、左手は御成門】
【国宝屏風絵(複製)】
【塩竃市場】
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