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兄が逝く

日常

今日、頑張っていた兄が逝きました。ホスピスに移って僅か4日目でした。移った日に姪と電話で話し、姪は『伯父ちゃんが元気で良かった』と言っていたのが、僅かに3日前ですから・・・あまりに急激な変化。

土曜に私と妻が訪ねた時には【昏睡状態】で、おそらくは私達を理解することは無かったと思います。でも安定剤の影響かもしれず・・・ただ眠っているだけかも・・・そんな風に考えたい私がいました。

兄と私とは9歳も離れていて・・・跡取りの兄は祖父からも父からもとにかく大事にされ、我がまま放題に育ってそのまま大人になってしまったような人間でした。

私とは【水と油】、つい十年ほど前までお互いに歩み寄る努力もしないで40年も過ごしました。ずいぶん迷惑もかけられました。

でもやっぱり兄弟・・・ここ数年は私の思いも理解してくれて・・・常に感謝の言葉がまずありました。私もそんな風に変わってきた兄が嫌いではなく、兄弟としての10年を過ごさせてくれました。

昏睡状態になっても1か月も永らえている方も事実いらっしゃるので、そんな期待をしながら埼玉に向かっていたのですが・・・。

福島の松川PAで寝ていました。そしたら3時半ごろに大きな地震でした。キャンピングカーの高い位置で寝ていたので、震度6にも7にも感じていました。そして・・・何かただならぬ予感が・・・。

その予感は見事に的中しました。宇都宮まで戻ったとき兄の娘からの電話・・・今、逝った・・・っと。咄嗟に自分より先に息子が逝ってしまった母の顔が思い出されました。
母にどう説明したら良いのだろう・・・。

父が亡くなったとき・・・父が先に逝くのは自然の摂理・・・そんな思いが心の80㌫ぐらいを覆っていて・・・泣くこともありませんでした。94歳まで生きたのですから大往生です。でも兄はまだ72歳・・・あと10年生かしてあげたかった。

その連絡があったとき・・・妻が・・・『お父さんが呼びかけた時・・・お兄さんの目から一粒涙が落ちたよ。だからきっと私たちの事を解ったよ』

私の心の中は土砂降りの雨の様に・・・涙が流れて止まりませんでした。

今回、一緒に山に行く約束をしていた方がありました。仕方のない事とはいえ、ご迷惑をかけたのは事実です。あらためてお詫びさせていただきます。気持ちよく・・・また土日にでも計画しようと言ってくれました。ドクターで忙しい中を割いてくれた時間でしたから、貴重な夏休みを台無しにしてしまいました。

こんな時まで迷惑をかける兄・・・でしたが、ホスピスに移って4日目という速さですから、如何に短気な事か。痛みで苦しむ姿を家族に見せずに逝ってくれて、初めて兄を褒めたいと思います。

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